いつか、恩返し23

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 改めて、童貞なのずっと隠しててゴメンねと言われたのは、腹を満たして片付けも終えた後だった。
「いやそれ、別に謝ることじゃないだろ。ただ、なんで隠してたんだよ、ってのは聞きたい気もする。だって、童貞なのが気まずくて言えなかった、ってだけじゃないんだろ?」
「まぁね。童貞だってことが気まずいとか、恥ずかしいっては感情はあまりなかったかな。でも、重たいだろうなぁとは思ってた」
「初めて貰ってくれってのが?」
「まぁ、そう。同じ初めてでもさ、後ろの初めてとは別というか、少なくとも貰って嬉しいもんじゃないと思うし。お前が経験あるのもわかってたし。知識はそれなりに詰め込んでたって、実際に上手く出来るかわかんないし、というか、やっぱ思ったようにはいかなかったし」
「あー待て待て待て」
 つらつらと流れ出てくる言葉を遮って、ちょっと考えすぎじゃないかと言ってみる。
「嬉しくないか嬉しいかで言えば、嬉しいよ。まさか童貞だったとは思わなかったから、びっくりした、ってのが大き過ぎただけなんだって。後、思ったようにいかなかったって、何狙ってたのかわかんないけど、ちゃんとお互い気持ちよくイケたんだから充分だろ。てか凄いと思うって言ったの、本心だからな」
「お前のそういうとこ、好き」
 ふふっと嬉しそうに照れ笑う顔を見ながら、最近本当に多いなと思う。思いながら、それをそのまま口にした。
「なぁそれ、最近妙に多いけど、やっぱわざとやってんの?」
「お前を好きってやつ?」
 すぐにこう返ってくるってことは、わざと、が正解らしい。
「そう」
「そうだね。多少は意図的に。でも、ちゃんと言葉にしてこう、って思ってるのが大きいよ」
 なんで、と聞くのはさすがに野暮だろうか。もちろん、好きと言われて悪い気はしないのだけれど、何かがどことなく引っかかってしまうその理由が今ひとつわからなくて、なんとも胸の中がモヤッとして気持ちが悪い。
「ちゃんと言葉に、ってなら、そういうとこってのをもっと具体的に言って欲しい。ことが多いんだけど」
「そこはニュアンスで察して。というか別に理解してくれなくてもいいんだよね。俺が、あー好きだなぁって思った気持ちを、そのまま零してるだけだから」
「のわりには、意味深というか、なんか目的とかあんじゃないの? わざとやってる部分が多少なりともあるならさ」
「鋭いね。じゃあ聞くけど、お前、どれくらい俺に都合よく動かされてるか、どこまで自覚ある?」
「あー……なんだかんだお前の言いなりというか、まんまとお前の狙い通りにこんな関係になってる。とお前が思ってんだろうな、というのは感じてるけど」
 言えば、嫌な言い回しだなと苦笑されてしまった。嫌な、と言われたって、それ以外に言いようがない。
「つまり、お前自身の自覚としては違うって言いたかったりするの?」
「嫌だって思うことをお前に強要されたことはないし、納得ずくでお前と恋人やってるのに、あんま気にされるのも負い目に思われるのも、なんか違くないか、って思ってるだけだって」
「うん、だからさ。そういうとこが、好きなんだって」
 困った顔をしながらも、どこか笑いを噛み殺しているみたいな様子もあるから、どうにも噛み合ってなさげなこの会話を、そろそろ投げ出したくなってきた。

続きました→

 
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