いつか、恩返し9

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 準備してくるとトイレに消えた後、結構待たされた末に戻ってきた相手のアナルは、既にローションで濡れていた。そこそこ解れてるはずだから、とりあえず入るかやってみよう、なんて事をあっさり告げる相手に待ったをかけて、まずは指で触らせてもらうことにする。
 アナルの中に触れる好奇心は当然あって、それを否定する気はない。相手はお前らしいと苦笑しながら、ゴムとローションを差し出してきた。
 初めて触れるアナルの中は、当然膣内の感触とは違ったけれど、興奮そのものは初めて女性器に触れた時と変わらない。排泄器官だってことは充分理解しているけれど、ちらりとも汚いなんて思わなかったし、ローションでぐちゅぐちゅに濡れながらぬるりと指を飲み込んでいく様は酷く卑猥だ。
「そんな、慎重にしなくても……」
「確かに、もっと太くてもダイジョブそう」
「なら、」
「ん、でも、中弄るなら一本のが楽だろ。それとも、それじゃ物足りないくらい、自己開発進んじゃってんの?」
「そういう、わけじゃ」
「なら、もうちょい好きにさせて。耐えられなくなったら、もう焦らさないで、って誘ってよ」
 呆れたような溜め息の後で、わかった、と返ってくるところがさすがだと思う。理解されているという安心感がある。
 彼のそういう部分を、好きだと思う気持ちだってないわけじゃない。ただ、それを恋愛感情とは呼ばないだろうと思うだけで。
 好奇心を満たしてくれる相手への感謝だったり、自分という人間を理解してくれているという喜びだったり、彼からの好意をひしひしと感じてしまう心地よさだったり、そういった、自分に都合がいい部分へ向かう好ましさなんて、絶対に恋愛感情じゃない。
 それでもそれを、好きな子とセックスできるチャンスだと言うなら、せめて。
「ぁっ……」
「ここ?」
 甘くこぼれた吐息に、気持ちがいいのはここかと、その場所を狙ってゆるゆると指先を擦りつける。
「ちょ、ぁ、おまっ」
「お前が焦ってんのってちょっと珍しいな。で、何?」
 刺激を止めて相手の言葉の続きを待った。
「お前、まさか、前立腺、探してた?」
「そりゃ探すだろ」
「だよな」
 肯定すればあっさり納得されたけれど、その後、何かを迷って考え込んでしまう。
「好奇心で弄ってるのは否定しないけど、でも、お前を気持ちよくしたい気持ちで、ってのもある。ここ突っ込んで自分が気持ちよくなれるか、に関しては既に全く心配してない。後は、お前と一緒に気持ちよくなれるかどうかで、中の気持ちぃとこ知っておきたい」
 ペニスでそこを刺激してやれるほどのテクがあるかはまた別だけれど、少なくとも気持ちの上では、一緒に気持ちよくなりたいと思っていた。
 相手の事もちゃんと気持ちよくさせたい、という思いの出どころが、現状では相手への愛しさとはどうにも言い切れないから、結局好奇心でってことになってしまうし、好奇心って本当に便利な言葉だとも思う。
 好きだから気持ちよくしたい。好きだから気持ちよくなって欲しい。
 そう言えたら一番いいのだろうことはわかっているし、相手への好意がないわけでもないのに、相手の欲しい好意はこれじゃないだろうとも思ってしまって、どうにも上手く口にできなかった。

続きました→

 
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