理解できない52

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 感じすぎた汚い喘ぎ声がみっともないだとか、相手にこそ感じて欲しいだとか、そういう部分を本当に気にしなくていいなら、弱いとこばっかり責められるのだって、ただただひたすら気持ちがいい。
「ぁ゛っ、ああ゛っ、い゛ぃっ、ぎもち゛ぃっ」
 ヤダヤダ言う代わりに、気持ちがいいのだと伝わるように、なるべくイイと口に出すようにしてみたけれど、時々やっぱり不安になる。なんとも思っていない相手なら、どれだけ酷い姿を見せようと多分きっと気にならないのに、相手が彼だと、本当にこんな姿を見せてていいんだろうかと思ってしまう。
 はっきりと、可愛いとも、愛しいとも、もっと見たいとも、言われているのに。以前の自分なら、張り切って喘ぎまくった気がするのに。
「ん゛、んん゛っ」
「大丈夫。可愛いよ。お前がきもちぃと、俺も嬉しいんだから」
 躊躇って耐えるように口を閉じてしまえば、すぐにそうやって甘やかな声が不安を拭いに来る。大丈夫だと繰り返してくれる。
 縋るように見つめてしまう相手の顔は甘やかな声に違わず柔らかで、幸せそうで、そしてどこか楽しげだった。繰り返してくれる言葉が嘘じゃないことも本気だってことも伝わってくるから、ホッとして、嬉しくて、結局また泣いてしまうの繰り返しだ。
 そうやって泣いて喘いで甘やかされてを繰り返しながら、何度か追い詰められるまま絶頂した。ここ一週間は毎晩射精していたし、最後の一回なんて絶対、精子がちゃんと出てなかった気がする。
 相手も、一回で終わるつもりだったんだけどと言いながら、結局一度ゴムを替えて二回イッたし、終えた時はかなりクタクタだった。お尻を慣らされながら気持ちよくイッて後は寝るだけ、みたいな状態からのスタートだったのも大きいかも知れない。更に言うなら、余韻を堪能するみたいに相手が抱きしめてくれているのも、やたらと眠気を誘う。
「眠いなら寝ちゃっていいぞ」
 髪を梳くように頭を優しく撫でられながらそんなことを言われてしまえば、意識はあっという間に眠りに落ちた。


 次に意識がはっきりしたのはしっかり朝になってからだが、さすがに相手の腕の中での目覚めとはならなかった。とはいえ、狭いベッドでくっついて寝ていたのは確かなようで、背中に相手の気配が有る。
 もぞっと寝返りを打てば、見えたのは相手の背中だった。どうやら背中合わせに寝ていたらしい。
 起きちゃうかな? と思いながらもそっとその背に身を寄せる。広い背中に額を押し当て、方腕だけ腰に回して抱きしめる。
「ん……」
 相手が身動ぐのに思わず息を詰めてしまったが、そのまま起きてしまうことはなかったようだ。
 そろりと息を吐きだして、目を閉じる。そうして昨夜へ思いを馳せた。
 あんなに酷いセックスは初めてだったと思うのに、あんなに幸せなセックスも初めてだったなと思う。
「好き、って偉大だ」
 呟いて、はぁあと大きく息を吐きだせば、目の前の背中が小さく震えた。ギクッとして、慌てて腰から外そうとした手は、それより先に相手の手に掴まれてしまう。
「お、起きてたの。というか、起こして、ゴメン」
「いや。いいよ」
 返された声は、笑いをこらえているのが丸わかりだった。
「笑わないでよっ」
「仕方ないだろ。幸せだと、こぼれてくるもんなんだって」
「嘘だっ」
「嘘じゃないって。朝っぱらから可愛すぎんだって。やってることが」
「子供っぽいってバカにしてる」
「してません。で、好きが偉大だって思った理由とか、聞きたいんだけど」
「言わない」
「笑って悪かったよ。でも、随分可愛いこと言ってんな、って思っただけなのは本当だからな」
「でも教えない」
 ただの意地で言い張れば、しょうがないなぁと言いながら、相手が寝返りを打ってくる。

続きました→

 
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