竜人はご飯だったはずなのに1

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 開閉できないはめ殺し窓から見える景色からは、時間の流れというものを感じない。朝もなく、夜もない。ついでに言うなら時計もない。
 それでも夜になれば世話係の小さな竜人がカーテンを閉めに来るし、朝になれば開けに来るので、朝と夜の区別はあるようだ。
 朝、カーテンを開けにやってきた彼は、同時に、コップ一杯分の水のような何かを持ってくる。それは夜も同様だ。
 竜人の唾液や精液なら体が受け付けるとわかってから先、試行錯誤の末生み出されたらしいそれは、とりあえず吐き出すこと無く飲むことが出来る、簡易的な食事だ。これを食事だなんて認めたくないけれど。
 成分が何かは聞いていないが、精液を薄めたものに何かを足しているのかなとは思っている。相変わらず排尿も排便もないし、汗だって多分殆どかいてないが、だからってこんなコップ一杯の液体で、半日も体の飢えがしのげるはずがないからだ。
 でも使っている精液は、食事担当の竜人のものではない気がする。足している何かのせいという可能性もあるが、わずかに感じる味も香りも、彼のものとは全く違う。しかも毎回同じでもない。改良中なのかもしれないが、だったら美味しく飲める方へ頑張って欲しい。だって毎回なんとなくマズい。吐くほどじゃないけど結局のところマズい。
 いったい何を飲まされているんだと思うと気持ちが悪くて仕方がないのに、成分を確かめてしまうのも怖い。聞いたら今度こそ完全に飲めなくなる可能性もある。
 マズいし出来ることなら飲みたくないと思いつつも拒めないのは、拒んだ結果の体の乾きと飢えを知っているからだ。
 食事担当の竜人が定期的に抱きに来てくれる、みたいな話だったけれど、それは思っていたより、というかこちらが望むほど頻繁ではなかったから、こちらの体力が消耗しきって寝込めば、世話係の彼にも食事係の彼にも、心配と迷惑を掛けてしまう。マズいから飲みたくないなんて、子供みたいな我侭で彼らを困らせたいわけじゃなかった。
 ベッドに腰掛けたまま、受け取ったそれを渋い顔で一息に飲み干す。今日のは比較的マシでよかった。ホッと息を吐けば、これを運んできた彼も一緒に安堵の息を吐く。
「良かった。今日の、マズくない」
「まぁ、相変わらず欠片も美味くはないけどな」
「データ取る、する。マズいは減る、思う」
「ああ、確かに」
 やはり毎回味が少しずつ違うのはわざとなのか。そしてこちらの反応を彼に報告させているのか。
 でもそのおかげか、ゲロマズなものを飲まされる率は確かに減っているような気もする。
「口直し、いるか」
「それはいる。てか美味くはなかったって言ったろ」
 ん、と顔を突き出せば、相手の顔も寄ってくる。少し上向き大きく口を開けて待てば、相手も小さく口を開けて、溜めた唾液をトロリと落としてくれる。
 口の中へ広がる甘み。惜しむように口の中で転がすが、それはあっさり喉奥へ消えていく。
「足りない。もっと」
 空っぽの口を開けて、ねだるように舌先を少し差し出せば、少し迷う素振りを見せるものの、再度顔が寄せられる。同じように舌先を突き出し、その上に乗った唾液をこちらの舌の上に落としてくれようとするのを、首を伸ばしてパクリと舌先ごと喰んでしまう。
 口の中に入れた彼の甘い舌を、うっとり目を細めながら、ちゅくちゅくと舐めしゃぶる。
「んぅっ、ううっ」
 抗議するように呻かれはしたが、突き飛ばされることはなかった。最初にその口に触れた時のことを思えば、すごい進歩だ。
 マズいから飲みたくないと拒むのが子供の我侭なら、マズいから口直しがほしいと彼の唾液をねだるのだって、十分子供の我侭の部類な気がするけれど。でも、最初ははっきり断ってきていた彼が、毎回マズいマズいと言いながら嫌そうに液体を飲み干すこちらに絆されたのか、やがて応じてくれるようになって、困った顔で照れながらも少しずつ、この口直しのキスに慣れていくのがはっきりとわかるから、どうにも楽しすぎてやめられない。
 いっそ、食事担当の彼が来られない間は、この世話係の彼が食事も提供してくれればいいのにと思う。唾液だけで飢えを満たそうとするなら、かなり頻繁にキスしてないとダメそうだけど。
 いややっぱダメだ。ちゅくちゅくとしゃぶり続ける内に、体の奥が疼いてくる。勃ちあがった性器で塞がれ、擦られ、腸内へたっぷり精液を注がれたいと、ハクハクと尻穴が開閉している。
 自分から口を離して、ゆっくりとベッドの奥側へ退いた。
「抱かれたい」
 熱のこもったため息を大きく吐き出しながら呟けば、伝えておくという言葉を残して部屋を出て行ってしまう。
「抱いてくれるの、お前でもいいんだけど」
 そっと零した声は、もちろん彼には届かない。

続きました→

 
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