竜人はご飯だったはずなのに5

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 どうやら彼が話しておきたかったのは、少しずつセックスによる食事頻度を下げていくという計画についてらしかった。薬の話をしたのも、彼の体に大きく負担がかかっている現状を知らせ、抱きに来いと頻繁に訴えるこちらを牽制するのが目的だったのかもしれない。
 全くナシになるのは当分先になるにしても、頻度が下がればそれだけ彼と会う機会も減ってしまう。それが、なんだか酷く怖いことのように思えて、不安になる。
「薬飲まないと勃たないなら、舐めに、来てよ。精液食わせてくれなくていいから、唾液だけでも頂戴」
「飢えきった体に対してならともかく、唾液はそこまで栄養があるわけではないらしいぞ」
「それは体感的にわかってる。けど、薬飲まなくていいなら、今よりもっと頻繁に通って来れるだろ。だから回数でカバーして」
 あ、これは結構いい案なんじゃないか。なんて浮かれかけたのは一瞬で、すぐに無駄な提案だと言わんばかりに、彼が言葉を続けていく。
「いや、回数でカバーできるような問題じゃないというか、それこそ口直しくらいにしかならないというか。あの子が極力、食後にしかキスを与えないのは、キスじゃ腹が満たされないのをわかってるからだよ。食欲が刺激されるだけで、余計に抱かれたくなってしまうだろ?」
「食後だけでも、めちゃくちゃ抱かれたくなってんだけど」
「そう。そこが難しいらしくて」
 理論上はあの液体でエネルギーが補えていれば、そこまで抱かれたい衝動は起こらないはずらしい。んなこと言われたって、実際その衝動がどうしようもなく湧き上がってしまうのは事実だ。
「味が改良されて、食事として受け入れてもらえるようになれば、もう少し気持ちごと満たされてそんな衝動も減るかもしれない。ということで、あれを美味しくするってのが最前の目標らしいな」
「あー、まぁ、確かに。マズいもんばっか食ってたら、たまには美味いもん食わせろってなるよな。美味いもの、はっきりしてんだからさ」
「そうだな。というわけで、そろそろメインディッシュに移ろうか」
「いつまで待たされんのかと思ってたよ」
「悪かった。ただ、お前が抱かれたがっても何も出来ないってあの子が困り果てるから、こちらがどういう思惑で動いてるのか、お前にも少し知っておいて欲しかったんだ。何も知らずにただ焦らされるより、呼ばれてすぐには来れない理由がわかっていたほうが、いくらか気持ちが楽だろう?」
 ああ、そうだ。今後ますます彼と会える機会が減っていく、という点をどうにもできない。
 先ほど感じた不安を思い出してしまって、抱かれたいと切望する以外に彼をこの部屋に呼ぶ手段が何かないかと考えたいのに、抱かれ始めてしまえば余計なことに思考を回す余裕がなくなる。
 どうしようもない不安が胸の奥に燻っていて、どうやらそれは体を繋ぐ相手にも伝わっているようだ。何度も甘やかに情を交えたセックスを繰り返した相手なのだから、当然といえば当然だった。
 ついでに言うなら、世話係の彼がこちらの状態を彼を含むどこかへ報告しているように、彼だってこの食事内容をどこかへ報告しなければならないのかもしれない。二人共、細やかにこちらをよく観察している、と思うことは多かった。
「あんな話を聞かせたから、気分が乗らないか?」
「来てくれる頻度落とすって言われたんだから、今を大事にして、めいっぱい楽しまなきゃ損だろ、ってのは、思うんだけど。逆に、次っていつなんだとか、今度はどんだけ焦らされることになるんだとか、考えちゃって」
「なんだ。気になるのはそっちなのか?」
「他に、何か気にしそうなことって、言ってたっけ?」
「薬でむりやり体を発情させて、お前を抱いてる」
「ああ、うん。ゴメンな。毎回すぐ寝ちまうの、あんだけ出せば疲れもするだろと思ってたけど、薬による疲れもあったんだな」
 初回にここで寝ていけばいいと引き止めたせいか、二度目からは当たり前にそのまま寝ていく。翌朝スリットを弄って起こすのも変わらないし、その度怒られはするが、でもやっぱりその次もまた無防備に寝姿を晒してくれる。
「それはいいんだ。そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?」
「こんなに睦言を繰り返しているのに、その実、お前の体に欲情してるわけじゃないというのは、少し、申し訳ない気もしている」
「優しいな。そんなこと言ったら俺だって、あんたの体に欲情してるとは言えないのに」
 それでも、食事と割り切らないセックスに、もちろん情は湧いている。もし口から食べる食事だけで満たされて、彼とのセックスが必要なくなっても、彼さえ応じてくれるなら情を交えるためだけの食事じゃないセックスがしたいくらいには、この行為そのものを楽しんでいる。受け入れている。彼へ好意を寄せている。
 ただまぁ、薬の力を借りない本来の繁殖期が十年近く先では、どうしようもないけれど。

続きました→

 
 
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