雷が怖いので8

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 本採用となった例のバイト初日は翌週の土曜日で、再度あの家を訪れたのは昼過ぎだった。夜間のほうが時給が良いというわけじゃないから、だったら何時からでも構わないと言ったらそうなった。
「で、今日はいくら稼いで帰りたい?」
 会って早々そんなことを聞かれても、すぐに言葉は出ない。少し考えてから一万くらいと返したら、ただ立ってるだけで終えるつもりなら六時間半超える感じになるけどチャレンジするかと、絶対に面白がってる顔で尋ねられた。
「それ、上乗せするから何かしろって意味、ですよね?」
「まぁそうなるね」
「俺に何を、させたいんですか?」
 自分から出来そうなこと申告してくれてもいいけど何かある? という言葉にはさすがにクビを横にふる。
「じゃあ前回もちらっと言ったけど、手っ取り早くオナニーして見せてくれたら一万円。別に服着たままお漏らしでもいいけど。他は……さすがに初っ端からあちこち弄らせろは嫌だろなぁ。でもキスくらいならさせる?」
 口にと言われたので、やっぱり少しだけ考えてから、まぁいいかと頷いた。
「なら回数制限無しで、触れるだけなら三千円。口の中まで好きにしていいってなら六千円。後は服全部脱いで立っててくれるなら時給五百円上乗せ、かな」
 どうすると聞かれて考える。まずオナニーだのお漏らしだのは考えるまでもなく論外だ。キスは出来ると言ったけれど、問題は触れるだけで済ませてもらうかどうかで、もし触れるだけなら残り七千円分となり、それを立って過ごすなら服を着て四時間半強。全裸になれたらちょうど三時間半といった感じだろうか。もし口の中まで許したら、残り四千円分なので、服を着て二時間半強。全裸で二時間だ。
 男としては若干小柄で童顔ではあるが、中学高校と普通に運動部に所属していたし体はそれなりに鍛えているので、男相手に裸を晒すことにはそこまで抵抗がない。けれど相手はバイを公言して、こんな自分を明確に性的対象として見ているわけで、そんな男の視線にまで耐えられるかはわからなかった。しかもまたエッチな動画でも見せられたら、内容によっては勃ってしまうかもしれないし。と思ったら、やっぱり服を脱ぐのはためらわれた。
 時給五百円の上乗せは魅力的に感じないこともないけれど、でもそれは時間が長くなるほど影響が大きくなるものであって、口の中までのキスを許すなら服を着ても来なくても差は四十分程度でしかない。
「えと、なら、口の中までのキス、で」
「それだけ?」
「それだけ、で」
「いいよ。じゃあ、行こうか」
 そう言って連れて行かれたのはもちろん防音室で、前回と同じ場所に立って相手を見上げる。
「割と簡単に許可したってことは、深いキスの経験はあるんだよな?」
 掬うように顎を持ち上げられて、まずは軽いキスが一つ。
「まぁ、多少は」
「なら、された経験は?」
「どういう、意味?」
「お前がまだ経験したことないようなキス、してやりたいよな。って意味」
 覚悟してと唇の上で囁くように言われて、ゾワリと肌が粟立ってしまった。
 再度触れた唇が、今度は離れるときにちゅうと軽く唇を吸っていく。そうやって何度も軽く吸われて、まだ口の中へは一切侵入されていないのに、既に腰が重く感じてしまう。
「お前は本当、可愛いね」
 迂闊でという言葉は続かなかったけれど、でも多分、そういう意味なのだろうと思った。

続きました→

 
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