Wバツゲーム18(終)

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 軽く流してしまってはいけない類の大事な話をされていたと思うのに、ゆるゆるとしたものから段々とイかせる目的へと変化した手の動きによって、彼の言葉について考える余裕なんて欠片もない。自分だけ先に達してしまう事態にはならないよう、必死にこちらも手を動かし、先程よりずっと強い刺激を送ってやる。
 互いに吐き出す熱い息も荒くなって、どちらも限界が近そうだ。
「イキそ、……っす」
 訴える声も熱を孕んで、切羽詰まった様子が酷く色っぽい。
「ん、いいよ。俺も、イク」
 頷いて、吐精を促すように弄ってやれば、息を詰めるような吐息とともに手の平が彼の吐き出したもので汚れた。それに誘われるようにして、自分もまた彼の手の中に吐精する。
 一度大きく息を吐きだして、後は互いの呼吸が落ち着くのを待つつもりだったが、のそりと起き上がった彼がさっさとティッシュの箱を引き寄せた。
 無言のまま、まずは彼自身の汚れた手を拭いて、それからやはり無言のままぼんやりとそれを見ていたこちらの手を取り、こちらの手の汚れも拭き取ってくれる。甲斐甲斐しいなとは思うが、それよりもうちょっと余韻があっても良かった。
 それとも吐き出して冷静になったら、さっさと汚れを拭き取らなければ気持ちが悪いと思ってしまっただろうか。
「夕飯、温め直していいっすか?」
 今にも立ち上がりそうな相手に、情緒がないのか元気なだけか、多分両方だなと思いながら苦笑する。
「その前に聞かせて欲しいんだけど」
「何っすか」
「俺としてみてどうだった? イッて賢者モード入ってるだろう今の正直な気持ちは?」
 まだ俺と恋人になりたいって思ってくれてるかと聞けば、先輩はどうなんすかと聞き返されてしまった。
「お前が告白してくれたらいいなって、思ってるよ。ちゃんと恋人になって、もっと色々お前としてみたい。もちろん、お前が出来る範囲ででいいんだけど」
「俺も、先輩の恋人になりたいって、ちゃんと思ったままっす」
「じゃ、夕飯温め直すより先に、はいここ」
「えっ?」
 ニコッと笑いながら、彼が横になっていたスペースをポンポンと叩けば、不審げな顔をする。
「お前帰らなきゃいけないのわかってるし、五分でいいから。イッてスッキリしてるのお互い様だし、男同士ならこういうの必要ないのかとも思うけど、やっぱ終わってすぐさっさとベッド出て行かれたら寂しいかなって思って。恋人、って考えたらさ」
「ああ、はい」
 頷いてすぐに隣に戻ってきた相手の体を引き寄せようとして、女の子と違って大きな体に結局、自分が擦り寄ってくっついた。片腕で相手の背を抱けば、同じように抱き返される。
 抱っこして貰う時にはポンポンと背を叩かれることが多いので、それを真似て背を叩けば、どこか戸惑った声が聞こえてきた。
「あの、これって」
「うん、何?」
「俺、甘やかされてるんすか? それとも、これも甘えられてる、……んすかね?」
「どっちだと思うの?」
「甘えられてるみたいに感じるから、なんかオカシイかなって」
 確かにこちらの動作だけ見れば、甘やかしているように見えるだろう。でも甘えられてると感じる彼の感性がオカシイとは思わない。引き止めて擦り寄って行為の余韻を欲しがっているのはこちらなのだから、それを甘えと言わずなんというのか。
「じゃあ甘えてる。オカシクないよ」
 背を叩くのを止めて、抱きつくようにきゅっと腕に力を込めた。
「でもお前を甘やかしてやりたいって気持ちもあるから、いつかお前も甘えてね」
 そうだ。この可愛い後輩を、甘やかしてやりたいのだ。甘えるばかりではなく、彼にも甘えてほしいなと思う気持ちはどんどん大きくなっている。
「それ、いつかじゃなく今でもいいんすよね?」
「もちろん。何して欲しい?」
 いったいどんな風に甘えてくるんだろうとワクワクしていたら、して欲しいのではなく、キスがしたいと返ってきた。そういえばキスもこちらからするばかりだったっけ。
 いいよと言えば、背に回っていた腕がスルッと背中から肩を回って頬を撫で、最後に軽く顎を支える。元々近い顔が更に近づいて、ちゅっちゅと軽いキスが何度も唇に押し当てられた。
 それはやがて唇から離れ、顔中アチコチにキスの雨が降る。なんだか随分とこそばゆい。甘えさせて欲しいと言われて許可したはずのキスで、結局は甘やかされているようだった。
 男だし、甘え慣れてないのかもしれない。自分だって、彼の抱っこに慣れて、自分からねだるようになるまでそこそこ時間が掛かった。
 恋人になってこちらが甘やかす時間を増やせば、いずれは彼も甘やかされることに慣れるのかもしれない。
 ああ早くこの罰ゲームが終わればいいのにと、たくさんの優しいキスを受けながら思った。

<終>

罰ゲーム終了後、先輩×後輩と後輩×先輩どちらにもなれそうな関係を目指してたら、こんな感じになりました。最後までお付き合いどうもありがとうございました〜

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