「抵抗なんかあるわけ無いだろ。だってお前と繋がるための穴だぞ。それに、これからお前の穴弄るってだけでこんなに興奮してんだから、安心して弄られてくれ」
「お前が萎えてないのって、そういうぁふぅっ」
とうとう指先が窪みを突いて、途中で言葉は途切れてしまう。
「ぁ、……ふ……」
漏れ出たローションのぬめりを確かめるみたいに指先で穴をくるくると擦られて、ゾワゾワとした擽ったいような気持ちよさに、身を縮めそうになるのを耐えた。なにこれ。自分で触れるのとは全然違う。
「マジでぬるぬるだし、指くらいならスルッと入りそうではあるけど……なぁ、大丈夫か?」
「ぞ、ぞわぞわ凄くて」
「それ感じるって言ってんの?」
気持ちいい? って聞かれながら今度は先ほどよりも少し強めに、穴をクニクニと指先に抉らる。
「ぁあっ、やだぁっ」
「あ、悪い」
思わず口をついて出てしまった「やだ」に反応して、相手がすぐに動きを止めてしまうから慌ててしまう。
「ち、ちがっ、ごめっ、だってなんか、自分でするのと全然違くて」
「ああ、びっくりさせた?」
「そ、そう。あの、だから、本当にやだったわけじゃない、から」
「そ、っか。あー……なるほど、そうか」
「え? えっ?」
続けていいよ、むしろ早く続けて、って意味で嫌だったわけじゃないって言ったつもりだったのに、相手は一人で何かを納得していて意味がわからない。
「なんかちょっと、安心したわ」
「え、なに、突然」
「一人で慣らして広げたとか言ってても、初めてには違いないんだなぁ、みたいな」
「そ、そんなの当たり前、ってか、それがなんで安心?」
「一応俺も知識はそれなりに詰め込んだけど、誰かとこういうことすんの初めてだから」
「あ、お前も初めて……」
「そりゃお前にこんだけ執着してる自覚あって、他の誰かと、なんて無理に決まってる」
「そ、そか。えと、それは嬉しい、な」
相手の恋愛経験とか交際経験とか、そういや考えたことがなかった。高校卒業までに相手に恋人らしき影がなかったのは当然知っているし、大学入学後だって、恋人がいるのに毎年律儀にこんなことを繰り返してると思ってなかったのもある。
でも相手も初めてだってはっきり言われたら、確かに安心するし、自分だけをずっと想い続けてくれたというのはやっぱり嬉しい。自分とはいがみ合ったり反発したりが多かっただけで、相手にだって友人はたくさんいたし、全くモテてなかったわけではないのも知ってるのだから、余計にそう思ってしまうのだと思う。
「嬉しいって思ってくれんのか」
「え、嬉しいよ。ずっと俺だけ好きだったって熱烈な告白、今日何回目だろ」
「ふっ、お前のそういとこ、ほんと、好き」
「そういうとこ?」
どういうとこが好き、みたいなのも今日は何度も聞かされているけれど、今回のはイマイチ何を指して言ったのかわからず思わず聞き返した。
「俺が童貞なのを、熱烈な告白とか言っちゃうとこ」
「あ、え、童貞気にしてた? え、でも、俺も童貞だし」
お前はもうすぐ卒業できるだろ、とは続けられなかった。自分が相手の童貞を貰って卒業させるんだってことを、意識してしまったせいだ。
「そうだな。童貞だからお前に良い思いさせてやれなかったらどうしよう、とは思ってたよ。でもお前に自分で弄って広げたとか言われて、安心するより、初めて貰えなかったって気持ちのが実はでかくて」
だからお前の反応ウブすぎて安心、ってよりはすげぇ嬉しい。なんて言われながら、止まっていた指先がまた動き出す。
「んんっ……んっ……ぁ……」
軽く穴の周りを撫でた後、また少し強めに抉られて、でも今度は「やだ」とは言わずに済んだ。しかもしばらくそれを続けられて慣れてくると、だんだんお腹の奥がキュンと疼くような焦れったさが湧いてくる。
「ふっ、ふぅ……ねぇ、」
早く挿れてよとねだるのも、それはそれでなんだか恥ずかしくて、でも焦れったいのは事実で、早く先に進んで欲しい。そんな気持ちで、躊躇いながらも呼びかけた「ねぇ」に、相手はどうやら気づいてくれたらしい。
「そろそろ指、挿れるぞ」
「う、うん、ぁっ、あふっ、ぁああ」
ぬるると入り込んでくる指は、間違いなく気持ちが良かった。
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