エイプリルフールの攻防・エンド直後13(終)

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 簡単に後始末を済ませたあと、二人して寝落ちしたのは当然だと思う。なんせお互い間違いなく寝不足だ。
 こっちは電話を切ったあとも結局あれこれ考えてしまってほとんど眠れていないし、相手が昨夜電話を切ったあとすぐに眠れたのか知らないけど、なんせ片道3時間超えの遠距離から始発でやってきてるので、即眠れてたとしても3時間眠れてるかどうか怪しいと思う。
 起きたら部屋の中は薄暗くなり始めていて、つまりは夕方だった。しかも隣に横たわる彼は、未だ健やかな寝息を立てている。
 相手の方に体を向けて、気持ちよさげに眠る相手の顔を遠慮なく眺め見る。
 小学生の頃から面識があったけれど仲が良かったとは言い難く、大学に入ってからは年に1回数時間しか会わない関係だったこの男と、恋人になってセックスまでした。という事実がなんとも不思議だった。
 過去を振り返ったら、どうしたって苦い記憶ばかりなのに。自分の中の好きに気付いたあとは、なんで好きになんかなったんだろって、思ってたのに。エイプリルフールに嘘の好きを交換したあと、虚しくて、苦しくて、何度も泣いたのだって事実なのに。
 ほんと無駄に遠回りした。って思う気持ちはどうしたって残っているけど、でもまぁいいか、と思える程度には今が幸せだった。
 チョロい、って幻聴が聞こえた気がして思わず眉をしかめたけれど、でもそれすら、チョロくて可愛いって言ってると言いはった相手のお陰で、そこまで不快な記憶にはなっていないようだ。そこが好き、の言葉も多分嘘ではないんだろうし。
 何度も繰り返された、好きだとか可愛いとか愛しいとかって言葉が、耳の奥にまだ残っている。そこそこ長時間に及んだ初セックスは、思い返すと色々と恥ずかしい出来事も満載だったけど、間違いなく気持ちが良くて幸せだった。
 気持ちだけの話で言えば、今すぐまたしたっていいくらいに。と思ったところで、小さくお腹が鳴ってしまって苦笑する。
 気持ち的にはOKでも、体はそんなに都合良く出来てはいない。しかもそちらに意識が向かったら、ますます空腹感が増してしまった。
 ここのところエイプリルフールを意識しすぎてちょっと食欲が落ちていたのだけれど、無事にセックスできたどころか、両想いが判明して恋人にまでなった安心感で、食欲がかなり戻ってきたっぽい。
 とりあえず米くらいは炊いておこうか。
 あんまり食材がないから、買い出しにも行ったほうが良さそうなんだけど。でも眠る相手を置いて家を出るのは躊躇われるし、この穏やかで幸せそうな寝顔を見ていると、叩き起こすのも気が引ける。
 そんなことを考えながら、そっとベッドを抜け出しキッチンへと向かったのだけれど、どうやらその動きで相手を起こしてしまったらしい。
「何してんだ?」
 少しして、部屋へと続くドアが開いて相手が顔をのぞかせる。
「ご飯炊こうと思ってお米といでただけ」
「なるほど。そういや腹減ったな」
 俺の分もあるのかと聞かれたので、あるよと返す。
「といっても食材はあんまりないから買い出し行かないとなんだけど」
「俺的には塩にぎりとかで充分なんだけど」
「え、なんで?」
「買い出し行ってる時間がもったいないっていうか、さすがに外でイチャイチャって難しいだろ」
「え、ええ……」
「あ、引いた?」
「引くっていうか、えっと、し足りないとかそういう……?」
 自分だって寝起きに、気持ち的には今すぐまたしたいくらい、と思ったのだから、相手だって同じように思ったのかも知れない。だったら嬉しいし、丁寧な前戯のおかげか体もそこまでダメージがある感じではないから、食後にもう一度も無理ではなさそう、という下心もあった。
「出来るならしたいくらいだけど、まぁそれは時間的に無理そうだし。せめてキスしたりハグしたり、好きって言ったり可愛いって言ったり、まあとにかく、時間許す限りお前と恋人っぽいこと目一杯しておきたくて」
 お前が嫌じゃなきゃ、と言われて、嫌なわけ無いと思ったけれど、口からは別の言葉が出ていた。だって言われるまで、残り時間がないってことに気付いてなかった。
「てか今日って何時に帰るつもり?」
「終電で。っつってもここ出る終電じゃ途中までしか帰れないから、家にたどり着けるギリギリ最後の電車でって意味だけど」
「えっと、その、明日の予定は?」
「明日?」
「予定ないなら泊まってけばいいのに、って思って」
「はぁっ!?」
「や、別に、無理に」
「いいのか!?」
 無理にとは言わないけど、と最後まで言う前に食い気味に問われてしまって、泊まりの許可が出る想定がなかったから驚いただけで、喜んでいるらしいとわかった。
「うん。いいよ。てか出来れば泊まって欲しいって思って言ってるよ」
 これから遠距離恋愛が開始するのがわかっているのだから、恋人っぽことを目一杯しておきたいのはお互い様だ。
「外でイチャイチャはしないけど、一緒に買い出しもしたいし、お前の好物とか聞いてみたいし、それが作れるかはともかく、せっかくだからお前に俺の手料理的なもの食わせてみたい気持ちもある」
 3年一人暮らしした実力ってやつを見せてやるよと笑えば、相手は大きく目を見張る。
「え、まじで?」
「でもってイチャイチャは夜な。ちゅーしたりぎゅってしたり、好き好き大好き言い合いながら、もっかいセックスも全然有り。てかしたい」
「マジ……ってかお前、体どうなんだよ。どっか痛いとか。っつうか、お尻の穴の違和感が凄いとかどうとか言ってたのは?」
 そういや繋がりを解いた直後に、そんなことを言ったような記憶はある。だってやっぱり指で解し広げるのメインで弄っていたのとは、終えたあとの感覚が全然違った。
「違和感全くないわけじゃないけど、痛いとかはないし多分平気」
「本気にするぞ?」
「うん。気持ちよくて最高に幸せだったから、早くお前ともっかいしたい」
「おっ前、だから、そういうとこ!」
 好きなんだろ? と聞けば、やけくそ気味に、そうだよ好きだよ、と帰ってきたから笑ってしまった。

<終>

オマケの1年後 →

リクエストは「エイプリルフールの攻防」のエンド直後の初エッチと1年後のエイプリルフールをどう過ごすのか気になる、でした。
1年後はオマケな感じの小ネタでしたが、初エッチは本編以上の文字数でガッツリ目に書いてしまいました。誰とも経験したことない童貞同士の初エッチ、久々で楽しかったです。
リクエストどうもありがとうございました〜

1ヶ月ほどお休みして、残りのリクエストを5月31日(金)から更新再開予定です。
次に書くのは「彼女が出来たつもりでいた」の女装バレ後デートです。
残りのリクエスト詳細はこちら→

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後12

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 呼応するように相手もふわっと柔らかに笑って、でも同時にお腹の中のペニスがゆっくりと引き抜かれていくから、相手の笑顔にときめく余裕がない。いやまぁ間違いなく鼓動は跳ねてドキドキしてるけど。
 でも意識の大半はやっぱり相手の顔よりも、自身のお腹の中や相手と繋がる穴やそこから発生するゾワッとした何かに向かっているから、このドキドキはこの先への期待と不安なんだろう。ゾワッとした何かが快感の芽だってことはもう、わかっている。
「んっ……」
 鼻から漏れていく息が、自分でもわかってしまうくらいに甘えを含んでいて恥ずかしい。
「気持ちよさそ。良かった」
 ホッとした様子を滲ませながらも、いつの間にやら笑顔を引っ込めた相手の顔は、真剣そのものだ。さっき散々、お腹の中を探られながら見た顔でもある。
 中の感じる場所を探されている。そう思ったら、前立腺を捏ねられて喘ぎまくった記憶とその感覚が蘇って、お腹の中がキュンと疼く気がした。というかお腹の中の相手のペニスをギュッと締め付けてしまった。
「ぁっっ」
 締め付けたことで、相手のペニスに前立腺が強く擦れたらしい。
 小さく体を震わせながら、相手の肩を掴む手に力を込めてしまう。相手をこちらに引き寄せようと、その体に縋ってしまう。
「っは、締め付け、やばいな」
「んぁっ」
 抗うことなく体を寄せてくれたから、相手がこぼす熱い声が耳元を掠めてゾワゾワする。
「ふ、かぁいい声。好きだよ」
「お、ひぅっっ」
 そんな囁きのあと、ぴちゃと濡れた音が耳の中に響いて、俺もと返す間もなくまたしても体を震わせた。しかも耳を舐めながら同時に小さく腰を揺すられる。
 今、相手のペニスが前立腺に当たっていることを、相手もしっかり把握済みらしい。
「ぁ、ぁっ、ひっ、ぁ、あんっっ」
「はぁ、好き」
「ぁ、おっ」
「お前がかわいいし、めちゃくちゃ愛しいよ」
「おれ、あっ、もぉ、んぁっ」
 宣言通り、合間に何度も好きだとか可愛いとか愛しいとか繰り返されたけれど、まともに言葉が返せない。あちこちからゾワゾワが押し寄せて、ぎゅうぎゅうとお腹の中を締め付けてしまうから、相手の動きはそう激しくないのに、いつまで経っても全然落ち着けなかった。
 そのゾワゾワは間違いなく快感だけど、さっきと違ってこちらのペニスは放置されているから、こちらがイッて一旦終わりになりそうにもない。お尻も気持ちよくなってしまったけど、さすがにペニスへの刺激無しでイケるほどじゃない。
「ぁ、あっ、も、ゃ、やぁあっ」
 喘ぎすぎているのか、だんだん息が苦しくなって音を上げた。
「どっちが?」
「わ、わかんな、ぁあっ」
「どっちも気持ちよさそ、だけど」
 本当に嫌なの? と聞かれて、でもそれじゃイケない、と正直に答えてしまえば、相手の片手が腹の間に潜り込んでくる。ペニスを握ってくれる。
「はぁあん」
「っくぅ、やっ、ばぃ」
 持ってかれそ、などと言いながらも相手が達してしまうことはなく、けれど明らかに腰の動きが早くなった。
「っはぁ、好き。好きだ」
「あっ、あんっ、おれ、おれもっ、すきぃ」
 耳を舐めたり食まれたりする代わりに、耳元で何度も好きだと言われ、喘ぎながらも必死で好きだと繰り返す。
「も、いき、そ。イッていい? 一緒にイケるか?」
「ん、うん、いい、いいから」
 ペニスは握られているものの、扱くような動きはほぼされてないので、そんな都合よく一緒にイケるとは思えなかったけれど、それでも必死に頷いた。
「んっ、でるっ」
 そんな宣言とともに相手がグッと腰を押し付けてくる。けれど相手のペニスがお腹の中で射精しているのかどうかは正直良くわからなかった。というかそれを感じるどころじゃなかった。
「ぁ、ああっ、ちょ、あっ」
 握られたペニスがしっかりと扱かれだして、あっという間にこちらも上り詰めていく。
「イケよ。一緒にイこって言ったろ」
「ん、うん、い、いくいく、イッちゃう」
 相手の甘い声に促されて、本日3度目の吐精を果たした。

続きました→

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後11

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「おまっ、も、ほんと」
「あああっっ」
 ぐぐっと押し込む圧が増えて、とうとう、ぬぽっと一番大きな部分が通ったのがわかる。しかしホッとする間もなく、そのままローションの滑りを借りてグッグッと奥にまで入り込んでくる。
「ぅあっっ……ぁ、……あ……っく、……ぅ、……」
 強い痛みは感じないけれど、圧迫感はどうしようもない。指では届かなかったその先まで押し込まれると、さすがに少し恐怖した。どこまで入ってくるんだ、これ。
「ぁ、あっ、すごっ。ふか、ぃっ」
 怖いとは言えなくて、言っちゃいけない気がして、でも声はちょっと震えてた気がするし、半泣きだった気もする。
「だぁから、煽んなっ、てぇ」
「んぁあっっ」
 今回のは意図的に煽ったわけじゃないけど、どうやら相手は煽られてしまったらしい。グンッと勢いよく突き込まれて、悲鳴に似た声を上げてしまったし、目尻からは涙が落ちていった。
 それが呼び水となってしまったのか、次々涙が溢れてくる。苦しさはあるけど痛みはないし、悲しいわけじゃないはずなんだけど。
「ちょっ、えっ、どっか痛くしたか?」
 慌てる相手の声が聞こえて、滲む視界の中、相手の顔が寄せられる。
「い、痛く、ないっ、けど」
「けど?」
「お腹、なか、熱くて、お前が俺ん中、いる」
 言ったらお腹の中の相手の存在を、より実感した気がする。
「俺いま、お前と、セックス、してる」
 これもだ。はっきり言葉にすると、実感が増す。
「そうだな。お前がいっぱい準備してくれたから、初めて同士なのに、ちゃんと繋がれたな」
 お前のおかげ。ありがとう。って言われながら、ちゅっちゅと涙の滲む目元に交互に唇が落ちた。
 胸の奥から溢れてくる好きを口に出したら、すぐに、俺も好き、って返ってくるのが嬉しい。
 嬉しくて、ホッとして、なのになんだか余計に泣けてくるから困る。
「ご、ごめっ。ホント、痛いとか、悲しいとか、ってわけじゃない、から」
「いいよ。両想いセックスに感極まって泣かれてんのかと思ったら、嬉しい以外ないだろ。それに焦って肝が冷えたから、三こすり半の即イキも回避できたしな」
 どこまで本気かわからないけど、バキバキに興奮してたペニスを見ているので、あながち嘘ではないのかも知れない。
「ふはっ、お前に即イキされたら、満足できなかったからまたしたい、ってすぐ言いそうだもんな」
 笑ったら、相手が安堵するのがわかったから、やっぱり冗談だったのかもだけど。
「俺としては、気持ちよくて最高に幸せだったからまたしたい、って言わせたいけどな」
「それは、俺も、言わせたい」
「既にもう、好きだ、好きだ、可愛い、愛しい。って気持ちが、胸ん中に溢れて、最高に幸せだし、お前の中、めちゃくちゃ気持ちぃよ。これから先もずっと、お前が嫌がらない限り、何度だってお前を抱きたいって思うよ」
 熱烈な告白にまた少し笑ってしまう。
「お前の言う、ずっと、は重みがすごいよな」
「だろ。だから信じていいぞ」
「うん。嬉しい」
「これに嬉しいって返ってくるのが、もうホント、俺的には奇跡っていうか、そういうお前がたまらなく好きだし、お前のことしつこく好きで、諦めなくて、良かったって思うよ」
 心の底から、なんて付け加えてくるから、やっぱりまた笑いがこみ上げてくる。大げさって思う気持ちと、そこまで想われているという嬉しさや安堵があるからなんだろう。
「涙、止まったな」
「うん」
「体はどうだ? 動いても平気そう?」
「多分、だいじょぶ。けど」
「けど?」
「えと、指が届かない奥の方は、その、ちょっと怖い、かも」
「わかった」
「あと、いっぱい」
「好きっていうよ。何度だって言う」
 更に、可愛いも言うし愛しいも言うと宣言されて、うへへと笑ってしまう。頬が緩んでしまう。

続きました→

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後10

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「おかげで痛いくらいだわ」
 こちらの視線が相手の股間に向かっていることに気付いたらしく、おかしそうに笑いながら、薄いゴムを被せた完全勃起ペニスを見せつけてくる。ローションを纏ってテラテラと光るそれは、なんとも卑猥だった。
 さっき一度この手で、握って扱いて射精までさせたのに。でもあれは、同時に自分も相手の手でされていたから、必死だったし、手の中のそれをじっくり見れたわけじゃない。
 今、目の前に突きつけられているペニスは、紛れもない凶器に見えた。
 ガッチリと張り詰め大きく反り勃つそれは、薄い膜越しにでもはっきりと、亀頭を大きく膨らませてあちこち筋を浮かせているのがわかる。まるで、早く気持ちよくなれる穴に入って、快楽を貪りたがっているみたいだった。
 アダルトな動画の中でガツガツと腰を振る男優が脳裏にチラついて、今から自分がされる側になることを意識してしまう。想像してしまう。
 気持ちよく、なれるだろうか。多少の痛みや苦しさは覚悟してるけど、あんまり激しいのはやっぱり怖い。でもお尻もかなり感じるようになったみたいだから、意外と気持ちよくなれてしまうのかもしれない。
 期待と緊張に、ゴクリと喉が鳴った。
「それってどんな感情?」
「えっ?」
「お前に煽られてバキバキになってんの見て、嬉しくて仕方ないって顔には見えないんだよな。けど、バキバキちんこにビビりまくってる、って感じでもないなと」
 怖くない? と聞かれて、首を縦に振った。
「怖くはないけど、緊張は、してる」
「みたいだな」
 深呼吸でもするか? と言われながら、とうとう相手の手が腿裏を支えるように触れる。
 こちらの緊張を探るみたいにジッと見られると、ますます緊張してしまうのに。逃げたくて、でも、相手から視線をそらせない。
「呼吸」
「えっ?」
「ちょっとマジに深呼吸、してみて」
「う、うん」
 促されて深呼吸を始めてみたけど、そう簡単に緊張が解れる感じはなかった。どころか、やっぱりますます緊張する気がする。というか、焦る。
「焦んなくていいから。っつか本当に怖いわけじゃないんだよな?」
 全く欠片も怖くないかと言えば、そりゃ怖い気持ちもあるけど。でもそんな凶悪なペニスでお腹の中を突かれて気持ちよくなれちゃう可能性、ってのに期待してるのも事実で、好きになった相手と体を繋げるセックスを、早く実感したい気持ちもホント。
「あ……」
 ガッツイてるのはどう考えたってこっちの方、という認識だったのに、イヤラシく張り詰めた勃起ペニスを前にして初めて、相手の欲の大きさを突きつけられた気がして狼狽えてしまっただけだ。多分。
 あんなに早く早くと思っていたくせに、その気持ちを忘れていた。
「どうした」
「あの、さ、好き、だよ」
「俺も好きだ」
 即答されて、ホッと体から力が抜けた気がする。良かった。
「好きだ。ずっと、好きだった」
 相手も気付いたらしく、更に2回も好きだと繰り返してくるから、思わず笑ってしまった。笑うともっと、緊張が解けていく。
「好きって言われて緊張解けるとか、お前才能ありすぎだろ」
「なにそれ」
「可愛すぎてめちゃくちゃ煽られるって話。つか大丈夫そうか?」
「うん。もう大丈夫。多分。待たせてごめん。てか待ってくれてありがとう」
 最後に、早くお前と繋がりたいから早く頂戴、と言いながら、両手を相手に向かってのばす。
 まぁ、煽った自覚はある。
 グゥと喉の奥を鳴らしながらも前傾してくれた相手の肩を掴みながら、クスクスと小さく笑い続けてしまえば、相手はわざとらしくため息を吐き出した。
「俺、お前のそういうとこも結構好きなんだよな。思い切りが良いっつうか、とりあえずやってみてから考えるみたいなとことか。あと、的確に俺を煽れるとこもだな。悔しいことに」
「褒められてる気がしないんだけど」
「だって悔しいからな。さっきといい、今といい、お前がエッチに誘ってくるの、全く抗えなかったし、なのに俺がまんまと煽られてんのをお前が、ホッとしたり喜んだりしてんの、めちゃくちゃ可愛いし、たまんないんだっつうの」
「あれ? やっぱ褒められてるかも?」
「どっちかって言うと、お前のことがめちゃくちゃ好きだって言ってる」
「ははっ、確かぁっ……」
 アナルにぴとっと押し当てられた質量に、とうとう来た、と思ってしまって、さすがに呑気に笑い続けてはいられない。
「出来ればそのまま笑ってて」
「む、むりだ、ってぇえっ、ぁあっはいって、る」
 ぐっと押し広げられたアナルに、ミチミチと押し入ってこようとする質量に、先程見た亀頭を思い出してしまう。3本にまとめた指がずっぽり入るくらい広げたはずの穴だけど、それでもやっぱりけっこうキツい。
 張り出した傘の一番太さのある部分が、多分、指3本以上なせいだろうから、そこさえ抜ければ後は楽になる。はず。
「痛い?」
「ん、だいじょぶ、そ、けどぉ」
「けど?」
「やっぱ、お、おっきぃな、って」
「おまっ」
 わざとか! と怒るみたいに言われたから、わざとに決まってんだろ! とやけくそ気味に怒鳴り返した。怒鳴るってほどでかい声も勢いのある声も出なかったけど。

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エイプリルフールの攻防・エンド直後9

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「あのさ、俺、お前にお尻弄られて、自分で慣らしてたときより確実に感じるようになっちゃったんだけど」
「お、おう」
「お前、俺と付き合う気、あるの?」
「へ? えっ??」
 感じるようになったって話から、付き合う気があるかどうかの問いに繋がりがわからないらしく、相手は明らかに混乱した顔をしている。
「俺達実は両想いだったわけだけど、今後どうなる予定?」
「どうなる、って……え、待て待て、えっ、あー……」
 あわあわと焦りながらも思考は進んでいるようで、恋人になろうだとか付き合おうだとかの話がないまま、お詫びセックスに突入している事実に相手もどうやら気付いたらしい。
「気付いた?」
「まぁ、確かに今後の話はしてなかったな。けど!」
「けど?」
「お前が俺を好きになってくれたのに、恋人にならない未来なんて、こっちは一切考えてなかった」
「そ、そっか」
 言い切られてホッと安堵の息を吐く。
「で、お前は?」
「正直、さっきまでそういうの全く考えてなかった。お前とホントの両想いエッチできる、ってのしか頭になかったっていうか」
「お前、ほんっと、どれだけ……」
 どんだけ抱かれたいんだよ、という指摘は飲み込んでくれたらしい。
 ニヤけそうになるのを堪えてるってわかるから、言われても肯定するだけなんだけど。どころか、言われなくても肯定しちゃうんだけど。
「お前に抱かれたくてがっついてる自覚はあるよ。でもこっちの一番の目的って、お前と嘘の好きをやり取りするの止めることだったっていうか、お前との関係をきっちり切ろうと思って体準備してたわけだからさ。実は両想いだったってわかっても、じゃあこれからどうする、なんてとこまで頭回らないって」
「そういやそうか」
 昨日、エイプリルフールとして押しかけてきた最初に交わした会話を、相手も思い出しているだろうか。
「でも考えてなかっただけで、予定通り、最後にいちど優しく抱かれて終わり、とまでは思ってない。ってことでいいか?」
「うん」
「じゃあ今すぐ俺と付き合ってくれ」
「えっ、今?」
「そう。今すぐ。お前の初めて、ちゃんと恋人って立場で欲しいから。それに、もしお前が今日はここまでって言っても、初めてはいつか絶対俺のものになる、と思えば、まぁ」
「じゃあ、今すぐ恋人になるし、俺の初めてもこのまま貰ってよ」
「いいのか?」
「いいよ。このまま抱かれるかはお前の返答次第でって言ったろ。お前に恋人になる気がないなら、これ以上お尻で気持ちよくなるの嫌だなって思っただけだから」
 次がないのに抱かれる快感なんて知りたくないよと言えば、なるほど、と返ってきたので、理解はしてくれたらしい。
「なら、早くまたしたいって思って貰えるくらい、お前を気持ちよく出来るよう頑張るわ」
「それは楽しみなような怖いような」
「てか疲れたし2回もイッたからもういい、とかは本当にないのか?」
「疲れてるしそこそこスッキリはしちゃってるけど、でも早く、お前とつながってみたいよ」
 こちらは疲れて横になったままだったし、来て、と言いながら両膝を立てて開いて見せる。だけでなく、散々弄られグチュグチュに濡れている穴を晒すように、膝を抱えて腰を突き出した。
「ちょっ、おまっ」
「は、恥ずかしいんだから早くしろっ」
 がっついてる自覚はあるが羞恥心はそれなりに持ち合わせているので、こんな格好で相手を誘うのが恥ずかしくないわけがない。
「言われなくても。つかなんのサービスだよ」
「だってここで終わりって思わせたから、お前ちょっと萎えたろ」
 尻穴を弄られている間も、この会話の間も、常にとは言わないがそこそこの頻度で相手のペニスの状態を確認していた。
 お前も脱げと、相手を全裸にしていたのは正解だった。だって興奮状態がわかりやすい。

続きました→

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後8

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 自分でするのと人にされるのはやっぱり全然違う。端的に言うなら、想定以上に気持ちが良くなれている。
 単純に相手が上手いのかも知れないし、好きな相手からの前戯という、精神的なものが大きく影響しているのかも知れない。
 慣らしていたのは事実だけれど、流血大惨事の回避や相手が萎えるのを避けたくて行っていただけで、正直、戸惑いも凄かった。でもそんなこちらの戸惑いが、相手にとっては嬉しいらしい。
 さっき、初めてが貰えなかったとかなんとか言ってたから、初めての気持ちよさにアタフタする姿が見れて嬉しい的なやつなんだろう。多分。
 相手の気持ちを知らなかったら、みっともない姿を見て笑われてると思って、反発する気持ちが膨らんだと思う。でも相手の言う可愛いも好きだも信じられる今なら、単純に嬉しいのだということも、素直に信じられそうだった。
 さっさと先へ進んで早く体を繋げてみたい気持ちももちろんあるけど、思いの外感じまくっている戸惑いや羞恥もあるけど。楽しそうに、嬉しそうに、愛しそうに、触れてくれる相手の手を拒みたくはない。
 その結果、相手が満足した様子で手を引く頃には、けっこうクタクタに疲れていた。
 本番、これからだってのに。
「なんかもうかなり疲れたんだけど……」
「あんだけ喘いで2回もイッたら、まぁ、そうだろうな」
「てかなんで俺、2回もイカされてんの」
 イッたら冷静になってお尻弄られるのキツくなるだろ、みたいに言われて、イクのお預け食らった記憶があるんだけど。
「ちんこ一緒に弄りながら解すのが良さそう。ってのが思った以上に効果的だったから。と、前立腺弄られて気持ちよさそうにしてんの、めちゃくちゃ可愛かったから」
 最初あんまり感じて無さそうだったけど、感じるようになれて良かったな。と満足げに笑われたけれど、果たしてそれは喜んで良いところなんだろうか。
 知識としては自分だって持ってたけど、自分で弄ってたときは正直場所すらよくわからなかったし、そっちの才能というか抱かれる素質はあまりなさそうだなと思っていた。でもそれで良かったと言うか、そんなところで快感を得て、新たな扉を開きたくはなかった。
 だって最初で最後の抱かれるセックスになるはずだったから。
 そう思ったら、次ってあるのかな、というのが気になってしまった。悪い事したと思ってるなら優しく抱いて、とお願いしたからこうなってるだけで、そういや恋人になりたいだとか付き合おうとか、どちらも口に出してない。
 ジッと相手を見つめてしまえば、相手からもスッと笑顔が消えていく。
「やっぱ出すと冷静になるよな。で、2回もイッて、スッキリしたし疲れたから、ここまでにして。とか言い出す感じか?」
「イッてスッキリしたからが理由じゃないけど、お前の返答次第では、ここまでにしてって言いそうかも知れない」
 正直に伝えれば、相手は盛大にため息を吐き出した。それから何かを言いかけて、でもぱっと口元を覆うと俯いてしまう。
 多分、ここまで来てやめたいってどういうことだよって、めちゃくちゃ詰りたいんだろうと思う。それを言わずに耐えるのは、これがお詫びのセックスだからなんだろうか。
 だったら悲しいな、と思うのを止められない。好きだから、せっかくの両想いを壊したくないから。そう思って耐えてくれてるんだったら、良いんだけど。
「あのさ、」
「悪い。ちょっと待って」
 そう言われてしまったら、こちらも黙って待つしかない。
 最後の部分が強く印象に残って、お前の返答次第でって言った部分が多分頭から抜けてるし、もう止めたいと思ってるわけじゃない事も、出来ればこのまま抱かれたいって思ってることも、きっと気付いて無いはずだから、出来れば早く伝えたいんだけど。
 しばらく待たされて、再度深めのため息が聞こえた後、ようやく相手が顔を上げる。
「で、理由って、聞いていいのか」
「ほらね」
「なんだそれ」
「俺別に、止めたいって言ってないんだけど」
「はぁ!? ぇえっ??」
 言えば相手は思ったとおり、随分と盛大に驚いてくれた。
「いやいやいや、言ったろ。ここまでにしてって言いそうかも、って」
「その前に、お前の返答次第でって言ってるけど、そこ、やっぱ聞こえてなかった?」
「聞いてな……くは、ない、な」
 どうやら記憶に残ってはいるらしい。そこをすっ飛ばして、ここまでにって言われた部分にだけ反応していたことに、ようやく気付いたようだ。
「あー……早とちりであんな態度とって、悪かった。で、俺に聞きたいことって?」
 すんなり謝ってくれたから、ほんのり胸の奥が温かい。さっき素直に謝ってくれるのは進歩だと言ったときに、せっかく両想いになれたから謝らないせいで拗れたくない、みたいに言ってくれたことを忘れてなんか居なかった。

続きました→

 
 
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