エイプリルフールの攻防・エンド直後10

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「おかげで痛いくらいだわ」
 こちらの視線が相手の股間に向かっていることに気付いたらしく、おかしそうに笑いながら、薄いゴムを被せた完全勃起ペニスを見せつけてくる。ローションを纏ってテラテラと光るそれは、なんとも卑猥だった。
 さっき一度この手で、握って扱いて射精までさせたのに。でもあれは、同時に自分も相手の手でされていたから、必死だったし、手の中のそれをじっくり見れたわけじゃない。
 今、目の前に突きつけられているペニスは、紛れもない凶器に見えた。
 ガッチリと張り詰め大きく反り勃つそれは、薄い膜越しにでもはっきりと、亀頭を大きく膨らませてあちこち筋を浮かせているのがわかる。まるで、早く気持ちよくなれる穴に入って、快楽を貪りたがっているみたいだった。
 アダルトな動画の中でガツガツと腰を振る男優が脳裏にチラついて、今から自分がされる側になることを意識してしまう。想像してしまう。
 気持ちよく、なれるだろうか。多少の痛みや苦しさは覚悟してるけど、あんまり激しいのはやっぱり怖い。でもお尻もかなり感じるようになったみたいだから、意外と気持ちよくなれてしまうのかもしれない。
 期待と緊張に、ゴクリと喉が鳴った。
「それってどんな感情?」
「えっ?」
「お前に煽られてバキバキになってんの見て、嬉しくて仕方ないって顔には見えないんだよな。けど、バキバキちんこにビビりまくってる、って感じでもないなと」
 怖くない? と聞かれて、首を縦に振った。
「怖くはないけど、緊張は、してる」
「みたいだな」
 深呼吸でもするか? と言われながら、とうとう相手の手が腿裏を支えるように触れる。
 こちらの緊張を探るみたいにジッと見られると、ますます緊張してしまうのに。逃げたくて、でも、相手から視線をそらせない。
「呼吸」
「えっ?」
「ちょっとマジに深呼吸、してみて」
「う、うん」
 促されて深呼吸を始めてみたけど、そう簡単に緊張が解れる感じはなかった。どころか、やっぱりますます緊張する気がする。というか、焦る。
「焦んなくていいから。っつか本当に怖いわけじゃないんだよな?」
 全く欠片も怖くないかと言えば、そりゃ怖い気持ちもあるけど。でもそんな凶悪なペニスでお腹の中を突かれて気持ちよくなれちゃう可能性、ってのに期待してるのも事実で、好きになった相手と体を繋げるセックスを、早く実感したい気持ちもホント。
「あ……」
 ガッツイてるのはどう考えたってこっちの方、という認識だったのに、イヤラシく張り詰めた勃起ペニスを前にして初めて、相手の欲の大きさを突きつけられた気がして狼狽えてしまっただけだ。多分。
 あんなに早く早くと思っていたくせに、その気持ちを忘れていた。
「どうした」
「あの、さ、好き、だよ」
「俺も好きだ」
 即答されて、ホッと体から力が抜けた気がする。良かった。
「好きだ。ずっと、好きだった」
 相手も気付いたらしく、更に2回も好きだと繰り返してくるから、思わず笑ってしまった。笑うともっと、緊張が解けていく。
「好きって言われて緊張解けるとか、お前才能ありすぎだろ」
「なにそれ」
「可愛すぎてめちゃくちゃ煽られるって話。つか大丈夫そうか?」
「うん。もう大丈夫。多分。待たせてごめん。てか待ってくれてありがとう」
 最後に、早くお前と繋がりたいから早く頂戴、と言いながら、両手を相手に向かってのばす。
 まぁ、煽った自覚はある。
 グゥと喉の奥を鳴らしながらも前傾してくれた相手の肩を掴みながら、クスクスと小さく笑い続けてしまえば、相手はわざとらしくため息を吐き出した。
「俺、お前のそういうとこも結構好きなんだよな。思い切りが良いっつうか、とりあえずやってみてから考えるみたいなとことか。あと、的確に俺を煽れるとこもだな。悔しいことに」
「褒められてる気がしないんだけど」
「だって悔しいからな。さっきといい、今といい、お前がエッチに誘ってくるの、全く抗えなかったし、なのに俺がまんまと煽られてんのをお前が、ホッとしたり喜んだりしてんの、めちゃくちゃ可愛いし、たまんないんだっつうの」
「あれ? やっぱ褒められてるかも?」
「どっちかって言うと、お前のことがめちゃくちゃ好きだって言ってる」
「ははっ、確かぁっ……」
 アナルにぴとっと押し当てられた質量に、とうとう来た、と思ってしまって、さすがに呑気に笑い続けてはいられない。
「出来ればそのまま笑ってて」
「む、むりだ、ってぇえっ、ぁあっはいって、る」
 ぐっと押し広げられたアナルに、ミチミチと押し入ってこようとする質量に、先程見た亀頭を思い出してしまう。3本にまとめた指がずっぽり入るくらい広げたはずの穴だけど、それでもやっぱりけっこうキツい。
 張り出した傘の一番太さのある部分が、多分、指3本以上なせいだろうから、そこさえ抜ければ後は楽になる。はず。
「痛い?」
「ん、だいじょぶ、そ、けどぉ」
「けど?」
「やっぱ、お、おっきぃな、って」
「おまっ」
 わざとか! と怒るみたいに言われたから、わざとに決まってんだろ! とやけくそ気味に怒鳴り返した。怒鳴るってほどでかい声も勢いのある声も出なかったけど。

続きました→

 
 
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