二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった13

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「気持ちよくないセックスなんか、欠片も楽しくないだろ? それにこっちだって、気持ちよさそうにしている相手を抱くほうが断然楽しいし」
「ああ、なるほど。そ、いうもの、なんですね」
 なんで、と問う言葉に返答がなかったので、とりあえずでこちらの気持ちを伝えてみれば、一応は相手の勃起ペニスを弄ろうとしたこちらの気持ちには納得したようだ。けれど困った様子で何かを考えているから、気持ちよくなりたくない、というのはそれなりに根深い理由がありそうだとも思う。
「もう一度聞くけど、気持ちよくなると、何かマズい問題があるの?」
「いや、ない、です」
「いやいやいや。さすがにそれは嘘だろ」
「いえ、本当に。もし問題があるとしても、それは俺個人の問題なので、自分でどうにかします。俺もちゃんと一緒に気持ちよくなった方がいいのはわかったんで、その、続きを……」
 続きを促されたところで、そう簡単に気持ちがセックスに向かわないのは、どう考えたって加齢のせいなんだろう。やりたい欲求よりも優先されるものが増えている。
 もちろん加齢だけの問題ではなく、目の前の男を、気楽に突っ込んで楽しめる相手ではないと認識済みなのも、相手の求めに応じて抱いてやるのだいう意識があるのも、そのくせ相手の意図を掴みそこねているのも、歯止めをかけるには充分すぎる要因になっているのはわかっているけれど。でも若かったら、そういうのを脇に置いて、とりあえず突っ込む方を優先した可能性は高い。
「あの……?」
 再開せずに相手をジッと見下ろし続けるこちらに、戸惑いと不安が混ざりあったような声が上がる。顔は相変わらず困り顔のままだ。
「なぁ、やっぱどうにも気になるから、自分でどうにかするにしても、俺にもその問題教えてくれ」
「え?」
「なんでそこまでと思わなくもないけど、俺に抱かれたくて仕方ないのは伝わってるし、何聞いても抱くのやめるとか言わないから、正直に全部話しちゃえよ」
 言いながら体を起こして、ベッドの上にあぐらをかいて座った。相手は最初、寝転がったまま呆然とこちらを見ていたが、こちらが完全に待ちの姿勢だと気づくと、仕方なさそうに体を起こす。膝を抱えるような体育座りで体を丸めるさまは、自らの身を守ろうとしているように見えて、攻撃する意思などないはずが相手を痛めつけているような気分になる。
「で、気持ちよくなると、どんな問題が起こる可能性があって、どうやってどうにかするつもりなの?」
「あの、先に言っておきたいんですけど」
「うん、なに」
「俺が何言っても、気にしなくていいというか、本気にしなくていいというか、その、迷惑になりたくない、ので」
「ん? 迷惑?」
「だって、俺が正直に話したら、面倒くさい奴って思われそうだし、それでもう一緒に飲みに行ってくれなくなる、のが、一番イヤというか、避けたい、です」
「あーちょっと待って。そっちの優先順位先に聞きたいわ。俺に抱かれるのと、今後も俺と一緒に飲みに行くの、どっちのが優先度高い?」
「え?」
「もし俺が、抱いてはあげるけど今後一緒に飲みに行ったりするのはなし、って言っても、抱かれたい?」
「飲みには行かないけど、やりたくなった時に呼んでくれる、なら、どっちでもいいです。けど、」
「抱くのは今日だけって言ったら?」
「それは、一回だけ抱いて貰う代わりに、今後、俺と個人で会うのはなし、ですか?」
「そう。法事とかで顔は合わせるだろうけど、今まで通りの親戚づきあい」
「それは、イヤ、です。だったらこんなの試さなくていいから、時々一緒に飲みに行ける方を選びます」
 試す、という言葉選びが引っかかって、そういや、悪くなかったって思って貰えたらやりたくなった時に呼んで貰えるようになるかも、と言っていたのを再度思い出す。抱かれたいという気持ちばかりが伝わってきていたが、その目的は端的に言ってセフレになることで、ここまでの話を合わせると、こちらとの継続的な関係を求めているだけのようにも思えてくる。

続きました→

 
 
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