一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた1

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 色々あって一回り以上も年下の、従兄弟という関係性のあるまだ大学生の男の子を恋人にしておよそ3週間。こちらの休みが基本平日ばかりだろうと相手は夏休み中なのだから、休みに合わせて頻繁に家まで押しかけてくるのかと思いきや、会うのはなんと、恋人となった日以来の3週間ぶりだった。
 その3週間の間には当然数回の休日があって、動画撮影込みの飲み歩きだって2度もしているのに。
 一番の原因は多分、休みの日程を知らせるときに、今日この日を指定して、こちらからデートしようと言ったせいだ。デートという単語を使いはしたが、要はセックス込みの泊まりのつもりで出かけようって話で、セックス込みでとまでは言わなかったが泊まりでとは言ってあるので、相手もさすがにこのデートを了承する意味はわかっているだろう。
 なぜこの日を指定したのかと言えば、珍しく2日続けて休みな日程を見たら、この日は逃せないなと思ったからだ。初回がビジホお泊りでのセックスだったから、同じパターンなら間違いなくヤレルはず、というゲスな試算に、こちらの体力やらを考えたらやはり翌日は休みのほうが都合がいいという、あまり認めたくはない加齢問題がプラスした結果でもある。
 ただ、デートの日を指定したからと言って、そこに「だから他の日には会わない」などという意味を含ませてはいなかった。どちらかというと、「お前の要望を叶えてやるぞ」のサービス的な意味を持たせて、デートという単語を使ったつもりだったんだけど。
 あまり遠出はしたくないけど行きたいとこがあれば教えてという問いには、なぜかまた撮影同行がいいと返ってきたし、店もこちらにお任せだった。一応、デートなんだから遊園地でも水族館でも映画でも小洒落たレストランでも、お前が行きたいとこ言っていいよと再度問いかけ直したけれど、相手の回答は変わらなかった。
 セックス前提のサービス精神ではあるが、よほど金銭的に引くような提案でなければ何を言われようと付き合う気でいたが、前回同様の撮影同行デートでという返答に安堵した面がないわけではないから、そこまで見越しての提案という可能性もあるかもしれない。もしくは、年の差ありまくりの男同士カップルでも浮かないデート先が思い浮かばなかった、という可能性。
 うん、そっちの可能性のが多分高い。というか、それを考えてしまうと、自分だってここならと思うデート先など思い浮かばないから、デート先ごと決めてくれと投げ返されなかっただけ良かったと言えそうだ。
 そしてデートが動画撮影となったせいで、その間の2回の飲み歩きにまで同行はしなくていい、となるのは納得でもある。顔出しも声出しもない動画だけど、彼の父である叔父さんが視聴者で、かつ投稿者の素性に気づいていないことを考えたら、そう頻繁に動画になりたいわけでもないだろう。
 同行したい理由の一つに、父親が気づくか確かめたい的なのもあったけれど、恋人関係になってしまった今も同じように思っているとは限らない。
 そして一番の原因とした以上、他にも要素はある。部屋が見てみたい的なことを言っていたのに、家に来ようとしない原因はこちらの母親だ。これも言っていたのは恋人関係になる前の話で、どうやら、合わせる顔がないので家には来たくない、らしい。
 母が彼に女の子の紹介の話を持ちかけた件に関しては、こちらから追求もしてないし、母からそんな頼み事をしたって話もされてないが、その現場に同席していたわけではない自分が、気にするなだとか無視すりゃいいとか言ったところで、きっと彼には響かない。なんせ、あんなにもこちらの結婚問題を理由に恋人になるのを拒んでいた相手だ。
 確実に母が家に居ない時間だけ滞在、というのも、パートタイムで一日の労働時間がそこまで長い訳では無い上に、母の勤務日やら時間やらを把握しきってないので難しい。今まで気にしたこともない母の勤務スケジュールやらを確かめるのは、どう考えたってやぶ蛇で、追求が始まるのが目に見える。
 結婚する気もなく、特に恋人を必要としていなかったというか、お付き合いのデメリットが増えて避け気味だった自分はともかく、二十歳になったばかりの大学生が、初恋を実らせたと言っても良いような現状に、そこまで浮かれた様子も見せず、3週間もお預けされて平気なものなのか。会えないにしても、もっとこう、色々と聞きたいことやら伝えたいことやらあるんじゃないのか。という疑問はもちろんある。
 この3週間、こちらからの連絡には割とすぐにレスがあるものの、相手からのアクションもほとんどなかった。
 ただまぁ、結構強引に恋人関係に持ち込んだのはこちらだし。と思うと、そうおかしなこともないのだろうか。でも相手は何やら拗らせた恋愛ど素人のちょっと難解なタイプだし。と思うと、今日のデートもそうすんなりとは行かないのかも知れない。
 そんな多少の不安を持ちつつ、本日の待ち合わせ場所へと向かった。

続きました→

 
 
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