激しくはないけれど的確に性感を煽ってくるキスを受けながら、下着越しに勃起ペニスを弄られる。基本的にはその動きは緩やかで、形を確かめるように撫で擦るばかりだけれど、時折ぎゅっと握って扱くような仕草をしたり、先端から零れる先走りを拭うみたいに指先で抉ってきたりするから、そのたびにガクガクと腰が揺れて膝が笑った。崩れずに済んでいるのは多分いつもより壁が近いせいで、背中は完全に背後の壁に預けきっていた。
「先走りが染みて、布の色が濃くなってるね」
キスの合間、下を覗き込んだ相手が腹にかかるシャツの裾を捲り上げて、わざわざ確認してくる。言われなくてもわかってる。
「そろそろ直接、弄られたくない?」
首を横に振りかけて、でも途中で止めてしまった。たとえ嫌だと言ったって、結局こちらがいいって言うまで、下着の上から焦らされ続けるだけなんじゃないかって、思ってしまったからだった。
「それとももっと、いっぱい焦らしてあげようか? お願いだからパンツ脱がせてって、お前がおねだりするまでさ」
こちらの躊躇いを拾うように、聞いて確かめずとも肯定されてしまい諦める。
「直接、弄って……ください」
「そんな諦めきった顔して言われても、ねぇ?」
指先が下着のウエスト部を引っ張って、ほんの少しだけずり下げ指を放した。結果、亀頭部だけが下着の中から露出するという、なんともみっともなく恥ずかしい格好にさせられてしまう。
「えっちなカッコ」
んふっと笑われて、ますます羞恥が募って顔が熱くなる。
「出てるトコだけ、可愛がってあげような」
「ゃあっ、あっ、ぁあっ」
「さきっぽクルクル気持ちぃ? トントンするほうが好き?」
尿道口の周りで指先が何度も円を描いたり、尿道口に指の腹を押し付けては離す行為を繰り返された。かと思えば、こういうのもあるけどなんて言って、五本の指全部で亀頭を覆うように摘んでそれを先端に向かって滑らせてくる。しかも少しずつ圧や触れ方を変えて繰り返される。
特に指の腹ではなく、爪の先で擽るようにされると、ゾワゾワに誘われて先走りではない何かが漏れそうになる。というか、トイレに行きたい気がしてくる。
「やっ、それ、や、だぁ」
「キモチイイから嫌だは聞き入れないよって、言わなかったっけ?」
「だって、だって、ダメっ、きもちく、ない、し」
「うん。気持ち良くなるまで、繰り返してやるから」
「やっ、ヤダって、やめて」
逃げようともがいたらグッと背後の壁に押し付ける力が加わって、逃がすわけ無いだろと少し低い声が囁いてくる。いつもより少し余裕がなさそうなその声に、ときめいている場合じゃないと思いつつも、鼓動が跳ねてしまう。
「嫌だヤメテは聞き入れない。でも、パンツ脱がせてさきっぽ以外も触って弄って、ってお願いなら、聞いてやる」
どうするなんて聞かれるまでもなかった。
脱がせてって言ったら最初にズボンを脱がされたときみたいに、また跪かれてゆっくり下着を抜き取られるのかと思ったけれど、さすがに相手もそこまで焦らしてくる気は無いようだ。ただ、あっさり抜き取った下着を、わざわざ目の前にぶら下げてくる意味がわからない。
「なぁ、さっきもチラッと思ったんだけど、もしかしてこれ、俺が初回にお前にあげた下着だったりする?」
「あ、はい」
「マジか」
「だって今日はズボン脱ぐつもりだったから」
「ついでに下着も脱がしてもらうつもりはなかったんじゃないのか?」
「それはそうです、けど。というかあんな適当に渡された下着に、脱がせるために贈ったとか言わない、でしょ?」
「まぁ確かにそういうつもりで渡したわけじゃないけど、そういう知識が一応あって、贈られた下着つけてきた理由って何かある? お前の言い方だと、わざとこれ着てきたんだろ?」
なんでそんなことを聞かれるのかわからない。下着を見られる予定だったから履いてきたみたいな言い方をしたけれど、実際は、前回だってこの下着をつけていた。だって自分の立場は、バイトとはいえ愛人なんだから。
「だって俺、あなたの愛人、なんですよね? バイトだけど」
「ああ、それで……」
「貰ったものは、あなたの前で、使うべきかなって、思ってました」
お前律儀すぎじゃね? なんて笑うけど、でも多分、自分の選択は間違ってなかったと思う。口に出していい子と言われたわけじゃないけれど、そう言う時と似た顔を見せている。
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