いつか、恩返し27

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「でもベッド行く前にもいっこ聞かせて。恩返し使って俺にねだりたいものって、何?」
「それも言わないとダメ?」
「ダメっつうか、この際だから言っちゃえよってだけ。多分、叶えてやれそうな気がするし」
「ああ、うん。それはね。言ったらお前は俺にそれをくれるだろう、ってのはわかってんだよ」
「なら尚更、さっさと俺にそれをねだればいい」
 うーん……と悩んで渋るから、よほど言いたくないような事なのかも知れない。
「どうしても言いたくないような事なのか?」
「そういうわけでもないんだけど、」
「ないんだけど?」
「くれって言って貰うより、お前から差し出してくれないかなぁ、みたいな期待?」
「なんだそりゃ。俺にそれを察しろって話?」
「違うよ。もうちょっと俺に好きにやらせてくれないか、って話。恩を返せよって言えばお前は俺にそれをくれると思うけど、でも、出来るだけそういう形ではなく、手に入れたい」
 恩を返せの言葉は、どうしても手に入らないとわかった時の最終手段にとっておきたい、ということらしい。
「それにさ、急いでないんだ。今をもっと楽しみたい。もしかしたらいつかお前から差し出してくれるかもって、わくわくした気持ちを持ったまま、もう少し今の関係を続けたい」
 ダメかと聞かれて、ダメだとは言えなかった。
「そりゃ、お前がそうしたいってなら、いいけど」
 ただ、こちらから差し出して欲しい何かとやらに全く見当がついていない。その期待を裏切りそうで不安だという気持ちは間違いなくある。
 まぁ、その時には恩を返せって言って強引に奪い取りに来るのだろうから、そこまで気にしなくてもいいのかもしれないけれど。
「じゃあ、お願いだからそうさせて。あと察してくれと思ってるわけじゃないから、あまり気にせず今までどおりのお前で居てよ。気にするなって方が難しいかもだけど」
 だから言いたくなかったんだよねと苦笑している相手に、気にはするけどそれで察せるかは別問題だからあんま期待されたくないんだけど、と言ってみれば、もう待てないって思ったらちゃんと自分で貰いに行くから大丈夫だと返ってきたから、少しばかり安堵する。本当に好きにやらせてくれるだけでいいんだと、念を押すように言われてわかったと返した。
 多分、勝算があるんだろう。こちらが頑張って察しようとしなくたって、いつの間にか誘導されて、いつの日か当たり前みたいに差し出してしまうのかもしれない。
 ああ、きっとそうに違いない。いつか、本当にそうなればいい。
「よし、じゃ、ベッド行こっか」
 もっかい抱かせてと繰り返し告げながら、今度こそ立ち上がる。うん、という返事と共に、背後で相手が立ち上がるのがわかった。

続きました→

 
 
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