さっきみたいに口を自分で塞げるかという問いかけに頷いて、片手を上げて口元を覆えば、動くねという宣言の後でペニスの出し入れが再開される。しかも今度はあからさまに弱いところを狙ってきている。
「ふぅ、んっんんっっ」
必死で口を押さえつけなければ、大きな嬌声を上げていただろう。前立腺ばかりをゴリゴリと刺激されて、腰が痺れて膝がガクガクと震えてしまう。
こんな刺激が続いたら、きっとまたお尻だけでイッてしまうけれど、でももうその強烈な快感を知ってしまった後だから、怖さよりも期待の方が強かった。
「んっ、んっ、んっ」
口を押さえていても、鼻から甘やかな音が漏れるのまでは防ぎようがない。
「気持ちよさそうだけど、このままお尻だけで、イケる?」
イカせていいかと続いた声に何度も首を縦に振れば、ペニスが出入りする速度が上がった。しかも激しく擦られるだけでなく、押し込まれるような突かれ方をしている。
高まる射精感に身を委ねれば、彼のペニスに中から押し出されるようにして、自身のペニスの先から白濁がこぼれ出ていくようだった。
「んんんんっっ」
閉じた目の奥でチカチカと光が爆ぜる。お腹の中がビクビクと痙攣して、相手のペニスをぎゅうぎゅう締め付けている。
こちらがイッたのをわかってか、相手は腰の動きを止めてくれているけれど、だからこそわかってしまう。昨日みたいに、お腹の中で彼のペニスが脈打ってはいない。つまり一緒にイッてくれたわけじゃないらしい。
ちょっとどころじゃなくガッカリしながら、大きく息を吐きだした。
「そんな溜め息吐かないで。これで終わりなんて思ってないし、落ち着いたなら、続きするから」
「えっ?」
「朝食だって楽しみだろうから、抱き潰してってのはさすがに無理だけど。でももう一回か二回、イカせてあげるつもりでいるよ」
そういや抱き潰してって言ってたんだった。寝落ちた時点で、そんなお願いは反故になっていると思っていた。
「あの、それ、俺だけ?」
「君だけって?」
「あなたも一緒に、イッて欲しい」
「ああ、うん。それはもちろん」
「じゃ、あの、中出し、も……?」
このまま当然のように中に出して貰えるものだと思っていたから、わざわざその意志の確認なんてしていない。中に出して貰えなかった、というガッカリをもう一度味わうのは嫌だし、はっきりと中出し希望と伝えておくのは重要だ。だって本気でねだれば、きっと叶えてくれる。
「まぁ、続きは部屋戻ってベッドの上でって言うなら、ゴム使う方向で君を説得するけどね。でもこれ言った時点で、君の中から部屋に戻るって選択肢なくなりそう」
「ないですね。というか、それ言わずに部屋に誘導しない時点で、あなたも充分その気、ってことなんじゃ?」
お願いどおり露天風呂で抱いてあげたろと言い切られて、部屋に戻ってからなら続きをしてあげる、なんてことを言われたら、逆にさっさと部屋に戻って続きをして欲しいと思っていた可能性が高い。こちらをそう誘導することも、彼なら容易いはずだった。
「鋭いね。君に抵抗がないなら、君の中に出してみたいって思う気持ちは、ある」
お腹痛くなるらしいけどいいのと聞かれたけれど、そんなの全く気にしない。ゴムなしセックスは相手も初めてだと、さっきチラリと言っていたから、単純な興味や好奇心だっていい。自分相手だからこそ、と思って貰えるなら尚良いけれど。
生き甲斐なんてなくて、つまらない人生だといい切る相手が、自分相手に何かをしたいと思ってくれることが、それを伝えて実行していいか聞いてくれることが、たまらなく嬉しいと思った。
もちろん、中出しして貰える、という期待と喜びもある。つまり。
「嬉しさしか、ない、です」
背後を振り返り、にっこり笑って言い切ってやった。
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