二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった8

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※ 洗腸描写あり

 充分に反応を示したペニスを握る手の圧が上がってきたところで、それ以上されたらイキたくなるからと止めさせ、相手の準備を開始する。
「とりあえずそこに手突いて、尻こっち突き出して。あ、足は少し開いてね」
「はい」
「穴、触るよ」
「は、んっ」
 恥ずかしそうな様子はあるが、指示した姿勢にも文句なく素直に従い、位置を確かめるようにアナルに触れた指も、わずかに身を竦めた程度で受け入れている。
 なんだか健気だなと思う頭の中では、過去に準備を手伝ってやった時の、当時彼女だった相手の反応を思い返していた。既に何度か抱いた相手で、年だって近かったから互いに遠慮なんてものはなく、どちらかが手慣れているというわけでもなかったせいで、ぎゃあぎゃあ騒ぎながら準備をした。
 あれはあれで楽しかった気もする、なんて思いを馳せている場合ではないのだけれど。なんせ経験がないわけではないが、今だってさして手慣れているわけでもないのだから。しかも今回の場合、相手に洗腸知識がまるでない上にこの従順さとなると、相当注意していないと絶対に無理をさせるなと思った。
「なぁ、最後にうんこしたのっていつ?」
「今朝、です」
「快便だった? 最近便秘気味とか、逆に下痢気味とか、ある?」
「いえ。とくには」
「了解。ならぬるめのお湯入れてくけど、もし熱いと思ったらすぐ言って。我慢すんなよ」
「はい」
 ずっとチョロチョロと湯を流しっぱなしになっているホースの先を、アナルにぐっと押し付けてやる。
「んっ……」
「お湯、入ってるのわかる?」
「ぁ、は……い……」
「熱くない?」
「だい、じょぶ、……です」
「じゃあ苦しくなったら教えて。無理はしなくていいからな」
「は……い」
 顔は見えないが声は震えてしまっているし、体だってあちこちガチガチで、時折やはり力が入りすぎているのかプルプルと震えている。
 年の差がありすぎるせいか、やはり健気だと思ってしまうし、どうにかして少しでも宥めてやりたくなる。しかしそれをグッとこらえて、黙って様子を見守った。余計なことをして、意識が腹の中に注がれる湯から逸れる困るからだ。
「……ぁ、」
 苦しいの言葉を待たずにさっさとホースの先を退けて、代わりに指の腹でグッとアナルを押さえつける。
「トイレ移動してほしいんだけど、今指離したら漏れそうな感じ?」
「いえ、多分、大丈夫、です」
「わかった。じゃ、トイレ移動して、お腹の中のお湯出していいよ」
 指を離して促せば、多少ヨロヨロとした足取りではあるものの、すぐにトイレにたどり着く。
「朝うんこ出てんなら、お腹の中にうんこ溜まってるってこともないだろうし、なるべくさっさとお湯出しちゃって。音が気になるなら、そこのスイッチ押すといいよ」
 たまたま目についた擬音装置を指して言えば、軽く頷いてスイッチが押される。まぁ排泄音が聞こえなくなるわけではないけれど、気休めにはなるだろう。
「出たらもっかい洗うから戻ってきて」
 多少顔色は悪くなっているが、こちらの指示通り動けているし、酷くショックを受けているという様子もないので、さっさと終わらせてしまおうと思った。
 同じように二度目を終えたあと、戻ってこいと言う前に、排泄物を確認させる。
「どう? 水、汚れてる?」
「そんなには……でも、全く汚れてないわけでは」
「じゃ流さないでこっち戻って」
 曖昧な返答に、仕方がないので自分の目で確認に向かった。覗き込んだ便器の中は、まぁいいかと思う程度には綺麗だったので、そのまま水を流してバスタブの中の相手を振り向いた。
「頑張ったご褒美に体洗ってやろうか?」
「え?」
「それとも気持ち落ち着けるのに一人になりたい?」
「お尻の中、洗うのは?」
「うん、もういい。体洗って、あとはベッドの上でしよう」
 再度、体を洗うのを手伝ってもいいし、一人で出来るなら先に出ていると告げれば、一人でできますと返ってきた。
 やはりと思いながらも少し残念な気持ちになったのは、明らかに疲れた顔をした相手を慰め宥め、よく頑張ったと褒めて甘やかしてやりたい気持ちが湧いているからなんだろう。

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金に困ってAV出演してみた15

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 お風呂にお湯がはれるまで休んでてと言われて部屋に一人残された後、どうやら寝落ちていたらしい。そろそろ起きてと軽く揺すられて意識が浮上した。
 もう少し寝かせてと思う気持ちはあるが、一緒にお風呂を了承したのは自分で、しかも楽しみでもあったから、仕方なくゆるりと目を開けていく。開いた目に入ってきたのは顔の前に何かを構えている相手の顔で、その何かというのは多分カメラだった。
「なに、してんの?」
「記念撮影?」
「動画?」
 聞かなくたってわかっていたけれど、一応で確認を取れば、あっさりそうだと返ってくる。ただ動画を撮られているという認識がされた後も、どう反応すればいいのかはわからなかった。
「もしかしなくても困ってる? よね?」
「そりゃあ……」
「俺ね、どっちかって言ったら、撮る側になりたいんだよね」
「ああ、そうなんだ」
 それを聞いて、なんとなく腑に落ちた面はある。
「だから本当は、ハメ撮りとかも狙ってたんだけど、そっちは諦めたから事後のイチャイチャくらいは撮影させて欲しいなぁって思って」
「ハメ撮り、諦めたんだ?」
「だってカメラ向けたら、撮られてるって思って構えちゃうでしょ。撮影の時よりずっと可愛かったから、カメラ意識されるのは勿体ないなって思って。このまま安心して抱かれてて欲しかったし」
「そっか」
「で、一緒にお風呂するとこ、撮ってて、いい?」
「えーと、つまり、フェラするとこを?」
 風呂場でお口でして欲しい、と言われたことを思い出しながら問いかける。AVを撮る側になりたいというなら、この口でしてという発言も、最初から撮影する気での提案だったんだろう。
「まぁそれが一番の狙いってのは否定しないけど、でも体の洗いっことかだってしたいし、お風呂上がりに体拭いてあげたり、髪乾かしてあげたり、そういうの全部だよ。お風呂でイチャイチャしよって言ったでしょ」
 今現在、カメラを手で構えているのに、体の洗いっこだのをどうやって撮影する気なんだという疑問は湧くものの、練習がしたいなら好きにすればいいと思う。プライベートとは言っても、互いに本名は知らないままだし、AVに出てる時点で流出どうこうを不安に思うのはバカらしい。
 いいよと言えばやったぁと大げさに喜ばれて、またしても手を引かれながら風呂場へ移動する。ただし今度は、相手はこちらにカメラを向けた状態で、後ろ向きにそっと歩いている。
 別にいいんだけど、カメラはそこまで大きいわけじゃないから、彼が楽しげに口角を上げているのもしっかり見えていて、だんだん笑いが込み上げてくる。楽しそうで何よりだ。
 自分のように何か後ろ暗い事情があって、仕方なくAVに出たり作ったりしてる人たちが大半なのかと思っていたから、そういう後ろめたい雰囲気を全く感じさせない彼を見ていると、手っ取り早く体を売るような真似をした自分の疚しさが少しだけ薄れていく気がする。
 たどり着いた風呂場には別のカメラも用意されていて、話しついでに温度差がどうとか結露がどうとかを説明されたけれど、ようするにそれを使えば浴室でもバッチリ綺麗な動画が撮れるって事らしい。あと、カメラを置く用の台とかカメラを下げておくフックだとかも設置された、ちょっと特殊な浴室だった。
 いやまぁ、カメラを持ち込んでるから、カメラ用の台なのかって思うだけで、そうじゃなければシャンプーボトルでも置く用かなって思ってたかもだけど。フックも、ボディタオルでも引っ掛けとく用かなって思ってたかもだけど。
 そんなわけで、体を洗い合う時はカメラは置いて、フェラをする時は彼がカメラを手に持って、撮影が進んでいく。
 二人きりだしこの前とは全然違うんだけど、でもだんだんと彼が監督のAVを撮影しているような気分にもなってきて、フェラの最後に顔写されるのも許したし、それをけっこうしっかりアップで撮られるのも受け入れた。だってどうせ風呂場だし。
 セックスの後、風呂場でこんなにキャッキャとはしゃぐなんて凄く珍しかったし、練習だろうと撮影するためじゃなきゃこうはならなかっただろうと思うと、カメラを向けられるのもそう悪いもんじゃない。

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理解できない10

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 そう何度も機会があったわけではないけれど、風呂場への突撃は数回繰り返していたので、家の風呂場ではないものの、躊躇いも戸惑いもない。いつもどおり背中と腕とを力強くゴシゴシと擦ったあとは相手の手に泡立つボディスポンジを差し出した。
 手持ち無沙汰に相手が体を洗っていくのをじっと見守っていれば、すぐにおいでと声がかかる。慣れた調子で相手が立ち上がったあとのバスチェアに腰を下ろせば、相手も慣れた様子で背中と腕とを擦ってくれた。
 ただ、いつもどおりだったのはそこまでで、ボディスポンジを受け取ろうとした手はそっと降ろされ、後ろから回ってきた手が胸元や腹を擦っていく。慣れない感触のくすぐったさに軽く身を竦めながら、さすがに戸惑いどうしたのかと問いかける。
「どうしたって、そりゃ、卒業旅行終わったからだよ」
「どういうこと?」
「保護者と家族卒業したんだから、もう、お前にどう触っても、どこ触っても、いいかなと思って」
 これも前戯みたいなもんだろと続いた言葉を否定する気はないけれど、だったら、自分だって彼の背中と腕以外を洗っても良かったのではないかと思う。
「なにそれズルい。俺だって洗ってあげたかったよ?」
「言うと思った。けど、先にお前に好き勝手いたずらされたら、こっちが持たない」
「いたずらって?」
「んー、こういうこととか?」
 言われながらスポンジを持たない方の手まで前に回ってきて、えっと思った次の瞬間には、その大きな手のひらの中にキュッとペニスを握り込まれた。
「ひゃっ!?」
 突然の衝撃に驚き、肩を跳ね上げながら奇声をあげてしまう。
「いー反応」
 可愛いなと言いつつもおかしそうに笑って、その手はくにゅくにゅとまだ柔らかなペニスをいじり続ける。その刺激に反応して、ペニスが形を変えるのはあっという間だった。
「ちょ、えっ、やっ、やだっ」
「でもここもしっかり洗わないと」
「ぜ、絶対、それだけじゃ、ないっ」
 洗われていると言えないこともない手付きは、絶対に勃起したペニスの形を確かめている。相手はやっぱりおかしそうに笑って、だって前戯だしと悪びれる様子もなく告げてくる。更には、スポンジを手放した手が股の間にヌルっと差し込まれてくるから、またしても盛大に驚いた。
 変な形の椅子だとは思っていたけれど、見るのは初めてだったし用途もよくわかっていなかった。でも凹みに腕を突っ込まれたことでその形の意味は理解できたし、よく出来ていると感心してしまう気持ちもなくはない。ただ、すごい椅子だなどと、のんきに思っている余裕はないのだ。
 たまらず浮きかける腰を、ペニスを握る方の腕でぐっと抑え込むようにして阻止されて、下から股の間を探られる。泡立つボディスポンジを握っていた手はボディソープをまとってよく滑り、ぬるぬる擦られるだけでぞわぞわとあちこちの肌が粟立った。
「やっ、やっ、やぁあ」
 気持ちがいいというよりはくすぐったさの方が強くて、足をばたつかせてしまう。こちらが暴れたせいだろう。ペニスを握っていた手が外されて、背後からギュッと抱えられてしまった。
 拘束された、という意識に体がこわばる。それに気づいたらしい相手が、あっさり腕の力を抜いたのがわかった。

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生きる喜びおすそ分け39(終)

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 もう一度イカせてあげようかと言われながら、軽くペニスを扱かれつつアナルに挿し込まれたままの指で弱いところを柔く押されれば、腰に甘い痺れが走って膝が震えた。
「お、俺、だけ? 一緒に、イッてくれないなら、や、ですっ」
「さすがにここでもう一回一緒に、は難しいなぁ」
 半泣きで訴えれば、そんなセリフとともにギュッとペニスが握られて、ビクッと体を跳ねてしまう。
「や、やだっ」
「うん。ゴム外して綺麗にするだけだから」
 慌ててあげた声には宥めるみたいな声が掛かって、その言葉通り、タオル越しにズルっとゴムが引っ張られていく。お尻の指はそのままだから、ゴムを外した後のペニスを拭き取るのまで全部片手で済ませる辺り、本当に器用だと思う。
「お尻の方も、もう垂れてくるのはなさそうだね」
 抜くから声気をつけてと言われて、ゆっくりと指が引き抜かれていく。
「ふぅううっっ」
 その指が何かを掻き出すみたいに腸壁をこすっていくから、声に気をつけてと言われていなければ、甘い声を響かせていたかも知れない。
「はい、終わり」
 指が抜け出た後のアナルをタオルで軽く拭われて、どうやら後始末は終了したらしい。お湯に浸かって温まってと促されるまま、その場で膝を折り湯の中に腰を落とした。
 きっと中に出されたあの瞬間が、多幸感と達成感のピークだった。なんてことを思いながら、目の前の岩に縋るような気分で頭を乗せる。中出しの後始末を彼の手で直接されるなんて想定は欠片もなくて、脱力感といたたまれなさが酷い。
「疲れちゃった?」
 労り混じりではあるものの、どこか笑いを含んだ声だった。
「そーゆーあなたは、なんだか楽しそうですね」
「うん。楽しかったし、今もまだ、その余韻を楽しんでる」
 自分から望んでおいて、あんなにたっぷり楽しんでおいて、疲れた様子で脱力しているこちらをからかう笑いかと思っていた。まさかこんなにあっさり肯定されるとは思わなくて驚く。
「えっ」
 慌てて身を起こして、隣に腰を下ろしてくる相手をまじまじと見つめてしまう。風呂の縁に向いているこちらと違って、風呂の縁に背を向ける形の彼とは、ほぼ正面に向き合っている形になる。
「勃ってる……」
 だからこそ見えてしまった股間に気を取られて、相手の顔ではなく、そのまま釣られて湯面に視線が落ちていく。
「興奮してるよ、って言ったろ」
 苦笑されてようやく真っ直ぐに見た彼は、苦笑顔なのにどこか満足げで楽しげだった。
「でも……」
「君に誘われるまま、もう一度ここで中出しはあまりに無謀でしょ。朝食は七時半でチェックアウトは十一時だよ」
「つまり」
「うん。君にその気があるなら、朝ごはんの後、ベッドでしよう。お腹いっぱいになった君が、寝落ちなければ、だけど」
「寝ませんよっ。ってか、さっきの」
「さっきの?」
「余韻を楽しんでるって、ほんと、ですか?」
 自分と過ごす時間を、はっきり楽しんでいると肯定されたことはほぼない。昨日だって散々、楽しい気持ちはあるけどこちらが満足いくほどの熱量での楽しさではない、みたいな言い方をしていた。もちろん、言葉通りに楽しそうな様子を見せてくれたことだってない。
 こちらの、人生楽しいって気持ちを受け取ってはくれても、それが彼自身を楽しませているわけじゃなかった。こちらに釣られて、彼の人生もそう捨てたもんじゃない、って思えるのが良いって理由が大きかったはずだ。
「ホント」
 言いながら伸びてきた手が、頬をするっと撫でていく。
「さすがに認めないとね。君が傍にいてくれる人生は、楽しいよ」
 真っ直ぐに伝えられた言葉に、胸の奥が喜びで満ちた。じわじわと頬が緩んで、にやけてしまうのがわかる。
 嬉しいという言葉は相手の唇に塞がれて音にならなかったけれど、でも間違いなく、相手にも伝わっているだろう。

<終>

某電車広告から派生した 月収50万だけど人生つまらない男×月収30万だけど人生楽しい男 からのインスパイアでしたが、こんなに長引くと思いませんでした。長々とお付き合いありがとうございました。

 
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生きる喜びおすそ分け38

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 どうしたのと聞かれて恥ずかしいと返せば、今更何をと驚かれてしまったし、そう言われてしまうのも仕方がないとは思う。でもやっぱり、彼を受け入れるための前戯やら挿入の際にその場所を弄られたり見られるのと、ただの後始末とわかっていても、中に出されたものが流れ出るのを見られるのは違う。綺麗に洗えてるはずだから、出てくるのは彼が注いだ彼の精子だけだとは思うけれど、それでも排泄を見られるような抵抗感がある。
 後始末は自分でするからタオルだけ渡して欲しい。そして始末してる間は、せっかくの露天風呂なわけだし、遠くの海でも近くの庭木でもいいから眺めてて欲しい。
 そう訴えたのに、そんなことを言われたら逆に見たくなったなどと言われて、アナルを押さえる手の甲にチュッと相手の唇が落ちた。
「ね、後始末、って思わなければいいんじゃない?」
「どーゆー、意味、です?」
「そういうプレイ、的な?」
「なんすか、そーゆープレイ、って」
「君の中に直接射精した、って事実を俺に突きつけて、俺を煽ってよ。みたいな話」
 ちょっと逆の立場を想像してみてよ、と言われて、恋人に中出しを決めた場合を想像してみる。
「君自身、後始末は自分でしてねって、相手のこと放置するタイプじゃないんじゃないかと思うんだけど。それに、いっぱい出たねとか言われながら、中に出したものが流れ出てくるの見せつけられたら、そのまま第二ラウンド突入しそうなイメージ」
 そういうシチュエーションに興奮しないかと言われて、そりゃするけどもと思った時点で負けだ。別に勝ち負けではないんだけど、でもこれで、相手のことをこれ以上拒めなくなった。
「そういうあなたも、興奮、するんですか? して、くれんですか?」
 それでも最後の抵抗って感じに問いかける。そんなの、興奮してくれるなら見せても良い、という意味での問いかけなわけで、それをわかってて否定が返ってくるはずがないんだけど。
 まんまと、興奮するよときっぱり肯定されて、降参とばかりにそろりとお尻の穴を押さえる手を外していく。すぐにもトロっと流れ出ていく感触があって、ぞわわと肌が粟立った。
 はっきりと質量のあるものが、お腹の中から流れ落ちていくのがわかる。いっぱい出たね、とはさすがに言わなかったけれど、いっぱい出されたなと思ったし、その事実にはやはり興奮してしまう。
「いっぱい出たね」
 なぜか彼の方からそんな言葉をかけられて、凄くエッチだったよと続いた言葉に、お腹の中から彼の精子をいっぱい出せた、という意味かと思ってカッと体が熱を持った。しかも、羞恥と興奮が混ざって混乱しながら身悶える中、触るよの宣言とともに相手の指がぬるっとアナルに入り込んでくるから焦る。
 ちょっと前まで彼のペニスを受け入れていたのだから、あっさり挿入されてしまったのも全く不思議ではないんだろうけれど、圧迫感的に一本ってことはないだろう。多分、二本の指が挿れられている。
「ひゃっ、な、何を……」
「けっこう奥に出しちゃったからね。残ってないかの確認」
 お腹の中で指を開かれ、くぱぁと開いたアナルからまたタラリと残滓がこぼれ落ちた。なんてことをするんだ。わざとやってんのかと思うくらいエッチで、ますます羞恥が募って頭の中が沸騰しそうだった。
「ほ、ほんとに、興奮、して、ます?」
 なんだか自分ばかり煽られてるような気になって、思わず確認した声は泣きそうだ。
「うん。してるよ」
 と言っても君ほどではないけど、と続けながら足の間から伸ばされた彼の手に、ペニスを握られビクリと腰を揺らした。正しくは彼が持つタオルにペニスを包まれているのだけれど、二度吐き出した後にも関わらず、興奮していると指摘される程度にはしっかり勃起している。

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生きる喜びおすそ分け37

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 口を覆っていた手もペニスを握っていた手も外され、深い呼吸を繰り返す。そうやって呼吸を整える間、背中やら首の後やらに相手の唇が何度も落とされた。
 こそばゆくて、でも相手の興奮の余韻のようなものを分け与えられてるみたいで、嬉しい。振り返ったらやっぱり真顔と対面するのかも知れないけれど、と思ってしまって、ついついクフフと小さな笑いが漏れる。
 後ろからされる方が相手の気配が濃くて、相手の表情に惑わされにくくて良いかも知れない。もちろん腕を伸ばして相手の体を抱きしめて、好きの言葉をねだるのだって良いんだけど。なんてことをつらつらと考える間に背に降るキスの雨はやんで、けれど今度は手の平であちこちさわさわと撫でられている。
 愛しげに、という単語が頭の隅をチラつくくらいに優しい手付きで、ふわふわとした気持ちよさに包まれる。うっとりと吐き出す息は、満足感に満ちている。それはきっと、相手にも伝わった。
「満足、できた?」
「はい」
「体はどう? 体というか、主に足なんだけど」
「足?」
「結構足に来てそうだったから。おちんちん抜いても、もうちょっとこの体勢、一人で維持できそう?」
 お腹の中に出したものをそのままにしておけないでしょと言われて、確かにそうだとは思ったものの、体勢を維持しろの意味がわからなかった。
「足は、大丈夫、だと思います、けど」
 なんでと思いながらも取りあえず、ペニスを抜かれたからってそのままお湯の中にくずおれる心配はないと伝えれば、じゃあ抜くねと言われてゆっくり腰が引かれていく。射精して幾分萎えたとはいえ、それでもお腹の中をぬるりと擦られる感覚はあって、小さな快感の波が肌の上を走った。
「ふ、ぅぅ……っっ」
 柔らかな刺激に、漏れそうになる甘やかな吐息を噛み殺す中、ペニスの抜け出たアナルにすぐさま相手の指先が押し当てられて息を呑む。ただそれは押さえるように触れているだけで、その指が中に入ってくる様子はない。
「え、あの、何を」
 何をされているのかわからなくて戸惑いの声を上げれば、ほんっとうに申し訳ないんだけどと、申し訳無さのこもりまくった声が掛けられた。
「あのね、ちょっとだけここ、自分で押さえてて貰える?」
「えっ?」
「手、離したら、すぐにたれてきちゃうと思うんだよね」
「あ、ああ、はい」
 中に出されたものが垂れ落ちてしまわないように押さえている、というのはわかった。わかったけれど、じゃあこれどうすんの? という疑問符で頭の中がいっぱいになる。それでも促されるまま、お尻に手を伸ばした。
「じゃあすぐ戻るから、ちょっとだけ待ってて」
「え、ええっ、あの、どこに?」
「脱衣所からタオル持ってくるだけ」
 慌てて声を上げれば、既に足早に脱衣所に向かっているらしい相手から、そんな言葉が飛んできた。そしてその言葉通り、あっという間にフェイスタオル片手に戻ってくる。
「ごめんね。いきなり日の出見ながら抱かれたいとか言われて、さすがに焦って余裕なくしてたみたいで。タオルくらい最初から用意しておくべきだったよね。はい、もう手どけていいよ」
 足の間に柔らかなタオルが差し込まれて、でも言われるまま手を退けることが出来なかった。だって、お尻の中に出されたものを、そのタオルの上に吐き出せって意味だとわかってしまった。

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