金に困ってAV出演してみた15

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 お風呂にお湯がはれるまで休んでてと言われて部屋に一人残された後、どうやら寝落ちていたらしい。そろそろ起きてと軽く揺すられて意識が浮上した。
 もう少し寝かせてと思う気持ちはあるが、一緒にお風呂を了承したのは自分で、しかも楽しみでもあったから、仕方なくゆるりと目を開けていく。開いた目に入ってきたのは顔の前に何かを構えている相手の顔で、その何かというのは多分カメラだった。
「なに、してんの?」
「記念撮影?」
「動画?」
 聞かなくたってわかっていたけれど、一応で確認を取れば、あっさりそうだと返ってくる。ただ動画を撮られているという認識がされた後も、どう反応すればいいのかはわからなかった。
「もしかしなくても困ってる? よね?」
「そりゃあ……」
「俺ね、どっちかって言ったら、撮る側になりたいんだよね」
「ああ、そうなんだ」
 それを聞いて、なんとなく腑に落ちた面はある。
「だから本当は、ハメ撮りとかも狙ってたんだけど、そっちは諦めたから事後のイチャイチャくらいは撮影させて欲しいなぁって思って」
「ハメ撮り、諦めたんだ?」
「だってカメラ向けたら、撮られてるって思って構えちゃうでしょ。撮影の時よりずっと可愛かったから、カメラ意識されるのは勿体ないなって思って。このまま安心して抱かれてて欲しかったし」
「そっか」
「で、一緒にお風呂するとこ、撮ってて、いい?」
「えーと、つまり、フェラするとこを?」
 風呂場でお口でして欲しい、と言われたことを思い出しながら問いかける。AVを撮る側になりたいというなら、この口でしてという発言も、最初から撮影する気での提案だったんだろう。
「まぁそれが一番の狙いってのは否定しないけど、でも体の洗いっことかだってしたいし、お風呂上がりに体拭いてあげたり、髪乾かしてあげたり、そういうの全部だよ。お風呂でイチャイチャしよって言ったでしょ」
 今現在、カメラを手で構えているのに、体の洗いっこだのをどうやって撮影する気なんだという疑問は湧くものの、練習がしたいなら好きにすればいいと思う。プライベートとは言っても、互いに本名は知らないままだし、AVに出てる時点で流出どうこうを不安に思うのはバカらしい。
 いいよと言えばやったぁと大げさに喜ばれて、またしても手を引かれながら風呂場へ移動する。ただし今度は、相手はこちらにカメラを向けた状態で、後ろ向きにそっと歩いている。
 別にいいんだけど、カメラはそこまで大きいわけじゃないから、彼が楽しげに口角を上げているのもしっかり見えていて、だんだん笑いが込み上げてくる。楽しそうで何よりだ。
 自分のように何か後ろ暗い事情があって、仕方なくAVに出たり作ったりしてる人たちが大半なのかと思っていたから、そういう後ろめたい雰囲気を全く感じさせない彼を見ていると、手っ取り早く体を売るような真似をした自分の疚しさが少しだけ薄れていく気がする。
 たどり着いた風呂場には別のカメラも用意されていて、話しついでに温度差がどうとか結露がどうとかを説明されたけれど、ようするにそれを使えば浴室でもバッチリ綺麗な動画が撮れるって事らしい。あと、カメラを置く用の台とかカメラを下げておくフックだとかも設置された、ちょっと特殊な浴室だった。
 いやまぁ、カメラを持ち込んでるから、カメラ用の台なのかって思うだけで、そうじゃなければシャンプーボトルでも置く用かなって思ってたかもだけど。フックも、ボディタオルでも引っ掛けとく用かなって思ってたかもだけど。
 そんなわけで、体を洗い合う時はカメラは置いて、フェラをする時は彼がカメラを手に持って、撮影が進んでいく。
 二人きりだしこの前とは全然違うんだけど、でもだんだんと彼が監督のAVを撮影しているような気分にもなってきて、フェラの最後に顔写されるのも許したし、それをけっこうしっかりアップで撮られるのも受け入れた。だってどうせ風呂場だし。
 セックスの後、風呂場でこんなにキャッキャとはしゃぐなんて凄く珍しかったし、練習だろうと撮影するためじゃなきゃこうはならなかっただろうと思うと、カメラを向けられるのもそう悪いもんじゃない。

続きました→

 
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