弟は何かを企んでいる(目次)

リクエスト募集で書いた「兄は疲れ切っている」続編です。
引き続きキャラ名無し。全15話。
前作は弟視点でしたが、今作は兄視点となっています。

「弟エスコートでふわふわになる兄弟デート・社会人になる弟との同棲をめぐった一悶着・年月を経て繋がりが深まったことによる一層甘々でえっちな営み」というリクエストで、時期は弟が社会人になって2年目の夏の話です。
一人暮らしを始めた弟が暮らす部屋でのお試し同棲1週間がメインで、実家では出来なかった「家の中でいちゃいちゃH」をしています。風呂場で中出し・玄関H・駅弁スタイル・結腸責めな内容が含まれますが、描写はどれも少なめです。

雑記に書いたこの作品の年齢設定をこちらにも記載しておきます。
本編開始時 兄社会人2年目・弟大学2年の夏前くらいに兄が振られて、半年後の冬前頃に初雄っぱい。
兄社会人3年目・弟大学3年 の夏前くらいに初エッチ。
さすがに1年あれば恋人になってる(体だけの関係に限界迎える)でしょ、ってことで、兄社会人4年目・弟大学4年の夏前には恋人。
というわけで、「弟は何かを企んでいる」は兄社会人6年目・弟社会人2年目で、初エッチから3年、恋人になってから2年ほど経過している設定です。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的描写が多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 恋人になってから
2話 実家を出たい弟
3話 お盆休み開始
4話 玄関Hの可能性
5話 抱き潰される覚悟
6話 風呂場で(R-18)
7話 弟との生活
8話 何故か物足りない
9話 4日目昼
10話 夜のご近所デート
11話 玄関H(R-18)
12話 壁押し付け駅弁(R-18)
13話 抱き潰されたい(R-18)
14話 ベッドの上で(R-18)
15話 満たされて目覚める

 
 
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弟は何かを企んでいる15(終)

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 頬を撫でるように軽く叩かれて一度意識が浮上したが、大丈夫かと確認されて、凄かったと返せば笑われて、じゃあおやすみと言われるまま眠りに落ちた。次に意識が浮上したのは少し早い時間ではあったけれどすっかり朝で、部屋の中は薄明るい。
 隣では弟が健やかな寝息を立てているが、その腕はこちらを抱き込んでいないから、そのままそっと体を起こしてみた。
 それだけではっきりわかる強い痛みはない。
 それならばと、ベッドを降りて立ち上がり、取り敢えずはトイレを目指す。ついでのように、おそるおそるあちこち体を動かしても見た。
 ところどころ筋肉痛のような痛みがなくはないが、一番痛みを感じるのは下半身のどこかではなく上腕で、原因は間違いなく、駅弁スタイルで抱えられた時に必死でしがみついていたせいだ。
 今回はちゃんとゴムを使っていて深くに中出しされたわけではないからか、多少の違和感は残っているけれど、ジクジクとした腹痛だって起こっていない。これなら多分、この後お腹を壊すこともないと思う。
 前回とは比べるまでもない軽症っぷりに驚きながら、トイレを済ませた後で歯を磨く。鏡を見ながら、上に着ているTシャツが昨夜と変わっていないことに気づいて、結局その後でシャワーを浴びた。
 下半身の服は弟が着せてくれたのだろうけど、上まで手がまわらなかったのか、思ったよりも汚していなかったのか。確かに昨夜は、最初っから射精なしで絶頂していた自覚があるけども。
 シャワーを出てリビングに戻ると、どうやらこちらが動き回る気配で弟が目を覚ましたらしい。
「兄貴……?」
 弟の手がもぞもぞと、自分が寝ていたスペースを探るように撫でるから、小さな笑いがこみ上がる。寝起きのまだぼんやりしているだろうその瞬間にも、まず最初に自分を探してくれるのが、嬉しかった。
「おはよ」
「え……あっ!」
 声をかければ一気に覚醒したらしく、勢いよく起き上がるからビックリする。
「なんで? てか動いて大丈夫なのかよ」
「うん。思ったよりどこもかしこも、凄く痛いって感じはない」
 ここ数日、毎日抱かれてたから体の準備が出来てたのかも、と言えば、弟も納得顔で頷いている。
「予想より全然動けてる。てか一番痛いの、お前にしがみついてた腕の筋肉痛」
 中出しされてないからお腹も痛くないよと続ければ、明らかに安堵の表情を浮かべながら、良かったと言って腕を広げてくる。来い、または、来て、というその誘いを断る理由もないので、近寄って弟の胴をまたぐように座り、その腕の中に収まった。いわゆる対面座位だ。
「風呂ってきた?」
「軽くシャワーだけな」
「髪まだ湿ってる」
 頭を撫でるみたいにゆるく何度も髪を梳かれて、穏やかな気持ちよさに包まれる。
「きもちぃ」
「知ってる」
「体、思ってたより全然平気そうなんだけど、今日も、する?」
 さすがに連日あの抱かれ方は無理だけど、というか満たされた後だからか、奥まで気持ちよくなりたい欲求そのものが薄れているけど。でも浅い場所で気持ちよくなったり、ただ繋がっていることを感じ合うためのセックスなら、してもいいかなと思う。
「どっちでも。なんか俺も、昨日のでめちゃくちゃ満たされてっから。こうやってくっついてイチャイチャするだけも、悪くないかも」
 あんな風にもう一度求めて貰えるのはもっと先だと思ってたし、無茶させる気なかったからずっとそれでいいと思ってたけど、でもやっぱりドロドロのイキっぱなしになって奥の奥まで欲しがられるのは最高に幸せだった。らしい。
 ずっと、抱き潰された後の惨状回避のためにお互い避け続けていたけれど、この程度のダメージで済むなら、そこまで状況を整えまくらなくても次が出来るってことだ。射精なしでイキまくる怖さとか、奥で感じる体になる怖さが全部払拭されたとまでは言わないけど、でもやっぱり、あのたまらない幸福感や強烈すぎる快感やらは魅力的だった。
 どんなにイヤラシイ体になっても弟は喜ぶばっかり。というのも、本当に心強い。ドロドロになってイキまくっても、汚く喘ぎまくってる最中でさえ、弟は甘やかに可愛い愛しい大好きだと言い続けてくれる。
 連日やりまくってて体が行為に馴染んでたとか準備ができてただけという可能性もあるから、次もここまで軽症とは限らない。ってことだけ頭に入れて、今後も機会があれば、というよりはそうされたくなったら、我慢したり恥ずかしがったりせずに、して欲しいって自分からお願いしようと思う。
 だって好きな子が、満面の笑みで最高に幸せだったと言ってくれるのだ。それを得るためなら、自分からのおねだりくらい、なんてことはない。
「じゃ、もう少しこうしてよう。俺も満たされたから、イチャイチャするだけ大歓迎」
 弟が、腹が減ったから朝飯を作ると言い出すまでもう暫くの間、こうしてくっつきながら他愛のない話を続けていたいなと思った。

<終>

リクエストは「弟エスコートでふわふわになる兄弟デート・社会人になる弟との同棲をめぐった一悶着・年月を経て繋がりが深まったことによる一層甘々でえっちな営み」でした。
久々にこの二人を書けてめちゃくちゃ楽しかったです。リクエストどうもありがとうございました〜

1ヶ月ほどお休みして、残りのリクエストを1月26日(金)から更新再開予定です。
残りのリクエスト詳細はこちら→

 
 
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弟は何かを企んでいる14

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 弟のペニスをお腹に挿したまま、いわゆる駅弁スタイルで歩き出されて、絶対落とされないのはわかっていてもギュウとしがみついてしまう。弟の服に鼻先を埋める距離は、まだベッドじゃないのにベッドの中と似た匂いがして、体は簡単に快楽に浸ろうとするから困る。
 しかもゆっくり歩くの言葉通りに、大した距離もないのにベッドまでがやたら遠くて、頭の片隅ではこんな無茶苦茶な体勢でと思うのに、ずっと恐れながらも待ち望んでいた刺激に、お腹の奥の方がグズグズに蕩けていくような気がした。
 宙に浮いた状態だって、抗うことを止めて快楽に浸りきってしまえば、多分きっと、射精なしの絶頂に至れるんだろう。それを、せめてベッドに着くまではと思う気持ちが、止めている。
「はい、到着」
 下ろすよの言葉に安堵したのと、前屈みになられたことで刺激が変わったのが引き金だった。
「あああっっ」
「ぇ、……くっ……」
 イキそうだと伝えるまもなく、再度頭の中が白く爆ぜて、体が震える。甘い幸福感と気持ちよさに包まれながら、お腹の中の弟のペニスを、ぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。
 弟も小さく呻いて動きを止めたから、結局背中はまだベッドに着いてない。
「ふはっ、ここでイクんだ」
 詰めていた息を吐きだしながら弟が笑う。これって駅弁でイッたことになると思う? と聞かれて、そんなの知らないと思ったけれど、それは言葉にならなかった。聞こえてはいるけど、言葉を交わす思考の余裕がない。
 それがわかっているのか、弟は返事がないことを気にするでもなく、うっかり一緒に出なくて良かったな〜などと、多分完全な独り言を零しながら、ようやくこちらの体をベッドに下ろした。
「腕、ゆるめて?」
 ぽんぽんと軽く腕を叩かれて、嫌だと首を横に振る。だってこの距離が安心する。
「このまま続けんの?」
 ぜひそうして欲しい。
「ふっ、マジか」
 頷けばやっぱり小さく笑われて、でも、やっぱぎゅってしてたほうが怖くないか〜と続いたから、あの日、怖いからぎゅってして欲しいと何度か頼んだことを弟も思い出しているんだろう。
 またゆっくりと奥を捏ねられだして、どうやらこのまま続行だ。そう、思ったのに。
 安心して気持ちよさに身を委ねて、次の絶頂がお腹の中で溜まっていくのを感じていたら、腕の力が抜けたのを感じたらしい弟がするりと身を起こしてしまう。
 慌てて握った手の中にあるのは弟のたくましい二の腕で、でも引き止めたところで動きが止まってくれたから、非難を向ける目の中には疑問も混じっていたと思う。
「俺も、兄貴が奥で感じてイク顔、見たいんだけど」
 前したとき後ろからだったから、今日はちゃんと顔見せて。イキまくってどろどろになってるとこ、見せてよ。などと言って、ねだられてしまうと本当に弱い。
 イクって時はまたぎゅってするから顔見てていいでしょと言いながら、動きが再開されてしまえば、もう、抗えない。イクときはちゃんとぎゅってする、の言葉を信じて、与えられるままその快楽に浸り切って、何度か絶頂を繰り返した。
 頭の中が、キモチイイばっかりで支配されて、弟の声が遠い。でも可愛いとか好きだとかを繰り返してくれてるのはわかるし、お腹の奥で気持が良くなっていることも、射精を伴わずに絶頂を繰り返していることも、間違いなく喜ばれているし、どうやら褒められても居るようだった。
「そろそろ、俺も、イキそ」
 弟の手がお腹の上に乗って、なにかを確かめるように、というよりは多分そこに存在する自身のペニスを探るかのように、撫でていく。
「今日はここの先で、イッて、いいんだよな?」
 クッとわずかに力を込めて押し込まれたその下に、弟のペニスの先端がある。
 抱き潰されたいんだもんなと、少しギラついた気配を滲ませるから、たまらなくドキドキする。期待、してしまう。
 お腹の奥がグズグズに蕩けている感覚はあるけれど、その先が開きそうなのかどうかまでは自覚できていない。でもここまで言うってことは、弟的にはその先へ入れる確証がありそうだった。
 頷いて、なんとか「きて」と短な二文字だけ音にすれば、弟が足を抱え直してぐぐっと腰を持ち上げてくる。上から伸し掛かるみたいに圧迫されるのは苦しくて、でも、奥が開いて先端を飲み込んでいくのが、わかった。
「あああああっっ」
 先程までの、頭が白く爆ぜてふわふわな気持の良さに包まれる絶頂と違って、目の前がバチバチと爆ぜるみたいな強すぎる刺激が、強引に体を絶頂させてくる。多分、弟が伸し掛かってなければ、この快感から逃れようとしてもっと体を揺すっていただろう。
「あっ、あっ、ああ゛っ、ああ゛あ゛っ」
 ズポズポと出入りされるたびに、多分、イッているのだと思う。けれどもう濁った悲鳴以外が口に出せなくて、弟がイクと宣言しながら、最奥へ突きこんだ先でペニスをビクビクと震えさせるのと、ゴムの膜越しに結構な量を吐き出しているっぽいのを感じながら、意識が飛んだ。

続きました→

 
 
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弟は何かを企んでいる13

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 呆気にとられて目を瞠った顔に、新たな涙が誘発されて溢れ出した。しかも次々に湧いて出るから、いきなり泣き出された理由がさっぱりわからないだろう弟が慌てだす。
「えっ、ちょっ、なんで!?」
「おまっ、おまえ、がっ」
 変に誤解されたくないし、自分の気持ちを隠すことでこじれたくないし、弟の想いを信じてもいる。だからこれはちゃんと伝えないとダメだよなと思って口を開くものの、喉に突っかかって言葉はなかなか出てこなかった。
「うん。うん。ちゃんと聞く。聞くから落ち着いて」
 兄貴の涙の理由がちゃんと知りたいよと、俺に気を遣って嘘つくのはなしねと、穏やかな声が気持ちを宥めてくれる。その声に、溢れていた涙が引いていく。
「兄貴が何言い出しても俺の好きは変わらないし、本当に抱き潰されたいって思ってるならしたっていいし、兄貴が明日起きれなかったら責任持って世話だってするけど。でももし、俺がしたがってると思って」
「待って」
 続きは聞かなくてもわかるから、弟の言葉を途中で遮ってしまった。
「俺が、したい。して欲しい、っていうか、」
「うん」
 言わなきゃと思うのに、それでもやっぱり恥ずかしさで躊躇えば、弟が大丈夫だから続きを言ってと促すみたいに、ただただ頷いてくれるから。
「お前が毎日俺とするために俺の体に無理させないようにしてるのわかってるし、その通りに毎日いっぱいイカされて、愛されて、幸せって思うのに、思えてるのに、こ、こんな毎日いっぱいイカされてんのに、足りないって、思っちゃってて」
 こんなにされてるのに足りない、をとうとう訴えてしまったが、特に驚かれることもなく、弟はすぐにその理由にも思い至ったらしい。
「あー……兄貴の体の負担考えて手でイカせちゃうことも多いせいで、ちゃんと抱いてよって思っちゃう、みたいな?」
「そ、そう。それ。あと、せっかく長い休み取ったんだから、ちょっとくらい無茶されたいのが、本音。俺、ここに抱き潰される覚悟して来たの、知ってるだろ」
「えっ…と……ええ……まさかあれってマジの、抱き潰してって意味、だった?」
「や、それは違う、けど」
 そんなの気づけないよと思っただろう弟のために、そこは一応否定しておく。
 あの時、久々だからいっぱい抱かれたい、くらいの意味で受け取っていたのは知っている。それを自分は否定しなかったし、あの時点では、どうしても抱き潰されたい、なんて強い欲求があったわけでもない。
「でもそういうつもりで来てたから、お前に抱き潰すのなしって言われて、すぐ気持ちよくなっちゃうとこばっかりいっぱい弄られて、俺自身、抱き潰されるの、すごく期待してたんだって、気づいちゃった」
 抱き潰してくれないんだ、と思った時点で最初から期待はあったけど。でも抱き潰してもらえないことが、こんなに物足りなく感じるようになるなんて、思ってなかった。
「まぁ、あの時はかなり無茶した分、最後の方とかかなり気持ちよさそうにイキまくってたもんな。でも奥の方気持ちぃの怖いって言って止めるから、そうなるのが嫌なんだって、思ってた。そ、っか。ちゃんとダメージ回復する時間さえ用意できてれば、兄貴自身、またされたいって、思ってくれんのか」
「頻繁に体調不良で寝込んだら、まず親が心配するだろ。あと、仕事だってそんな理由で休み取るの躊躇うって」
「それは確かに。じゃあほんとに、抱き潰して、いいんだな?」
「いいよ。っていうか、俺の体が抱き潰されるの期待するくらいエロくなったの、絶対お前のせいだから」
 責任取って、と甘えるみたいに訴えたら、お腹の中のペニスの質量がグッと増して、呻く羽目になった。
「いまのは兄貴が悪い。でもまぁもう動くの我慢しなくてもいいのか」
 じゃあもっかいしっかり捕まってと言われて、ベッドに移動したいって言ったのは却下されて、ここで続きが始まってしまうのかと思ったのだけど。
「え、ぁんっ、ええっ、ちょっ」
「絶対落とさないから大丈夫。ゆっくり歩くから、奥の方、優しくとんとんされちゃうかもだけど」
 途中でイッちゃいそうなら教えてねと告げる声は相当楽しげだった。

続きました→

 
 
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弟は何かを企んでいる12

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 まぁいいか、と思ってしまったのが多分伝わって、嬉しそうな笑顔が近づいてくる。チュッと唇を吸われて、大好きと囁かれて、俺も好きだと返せば、相手を包む甘やかな気配が濃くなった。
「ね、しっかり捕まって。声、気をつける努力だけ、して」
 ちょっとくらいなら声出ちゃっていいし、辛かったら俺の事噛んでもいいよ。と促されて、ギュッと抱きつく腕に力を込めながら相手の肩の辺りに口元を押し付けてやる。噛むかはともかく、自力で口を閉じるよりは楽そうだと思ったからだけど、相手の服に口を押し付けたせいで香った匂いにクラリと脳内が揺れる気がした。
 ベッドのシーツや枕カバーや致す時に用意されるタオル類も、同じ洗剤が使われているのだから当然なんだけど、こんな場所でこんな体勢なのに、ベッドの中にいるときと同じ香りに包まれて、脳内が錯覚を起こしている。
 これはちょっとまずいかも、と思ったけれど、それを訴えるより早くもう片足を抱え上げられて、ええっと焦ると同時に深くまで挿入されてしまって頭の中が白く爆ぜた。
「ふううううっっ」
「痛っ」
 声を出したらまずいという気持ちだけはなんとか働いて、噛むつもりなんかなかったのに、必死で眼の前の肉に齧り付いて衝撃をやり過ごす。体が勝手に震えて、というよりは内側がキュウキュウと相手のペニスを絞るのを止められなくて、つまりは、多分、イッてしまった。しかももしかしなくても、射精はしてない気がする。
 朝もあまり出なかったけれど、そのせいもあって日中に追加の射精はさせられなかったのに。だから出ないほど出し切ってるってこともないと思うのに。朝以上に、出た感覚が殆どなかった。
「もしかして、イッた?」
 笑うみたいな囁きが耳にとろりと流れ込んできて、必死に頷いて見せれば、動かないからちょっと顔上げてよとお願いされてしまう。見せたくない気持ちと、見て欲しい気持ちとが少しだけ競り合って、でもすぐに、見て欲しい気持ちが勝ってしまって顔を上げる。
 酷い顔をしてる自覚はあるけれど、それを酷い顔だと指摘されないことはわかっていた。というよりは、可愛くて仕方がないと思われて、相手の興奮が増すことを、知ってしまっている。
「ん、ふふ、トロトロの顔、かわいいな。奥、挿れられただけでイッちゃうのなんて、初めてだろ?」
 すげぇ嬉しいと笑う相手の顔だって、かなりトロトロに脂下がっているから、嬉しいのはこっちも一緒と思ってしまう。
「なぁ、奥、めちゃくちゃ感じてるっぽいけど、このまま優しくトントンして、いい?」
 射精なしでイッちゃうかもで怖いかと聞かれて、イッたのはわかっててもトコロテンしたと思われてるらしいと気づく。
 射精を伴わない絶頂でイキッぱなしになるのはどうしたって怖さがあって、奥で感じられるようになってきても、しつこく奥ばかりを優しく捏ねられるのは避けていた。そうそう何度も抱き潰されるわけにはいかない、抱き潰すわけにはいかない、という双方の思惑が一致していて、だからこそ、一度は経験したのにずっと二度目に踏み込めない。という状態は、間違いなくここにも影響していた。
 射精なしでイキッぱなしになれば、また奥が開く可能性だって高いのはわかっている。でもそこにすら、躊躇ってしまって到達できていなかった。
 このおためし同棲みたいな期間でそこを超えるつもりでいたし、もう一度抱き潰されようともしていたのだから、こちらとしてはもっとされたいのが正直な気持ちだ。
 優しくとんとん捏ねられて、イキっぱなしにして欲しいし、それで奥が開いたら奥まで来て欲しいとも思う。でも、抱き潰す気がないなら、何度も射精なしの絶頂をさせる気はないんだろうな、とも思ってしまう。
 イキッぱなしになるも怖いけど、今はそれよりも、そうなれないまま終わられるのが怖い。体の負担を考えてここまでにしとこうか、って、優しい気遣いで引かれてしまうのが怖い。
 弟が思うよりもずっと、既に体はエロエロに変えられているし、それを持て余している。
「怖いなら無理しなくていーよ。大丈夫。いつも通り、って言うには状況違いすぎるけど、ちゃんと一緒に気持ちよくなれるし、するからさ」
 じわっと目に涙がたまり始めると同時に、弟が安心してというようにそう口にしたけれど。
「ち、ちがっ、ちがう、されたい、してっ」
 やっぱり期待する気持ちのほうが強くて、慌ててして欲しいと縋ってしまった。
「それ、本気で言ってる?」
「ん、本気。されたい。したい。けど」
「けど?」
「ばしょ、ベッドが良い。し、出来ればその先まで、されたい」
 お願い抱き潰して、と、とうとう口に出してしまえば、やはり随分と驚かせてしまったらしい。

続きました→

 
 
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弟は何かを企んでいる11

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 解すと言うよりはローションの滑りを足しながら柔らかさを確かめられた後、早々に片足を抱え上げられ挿入された。準備済みで出かけるのが初めてなので当然だけど、脱いでから挿入までがこんなに早いのは初めてで、なのにとっくに焦れていた体はあっさり快感に引きずり込まれてしまう。
「ん、ぁっ」
「ヤバいね。既に顔トロトロ」
 かぁわいいと甘ったるく耳元で囁かれる声にさえ、快感が呼び起こされて肌が粟立った。
「ぁ、ぁっ、だ、ってぇ」
「だって準備万端で、ずっと挿れてもらうの待ってたんだもんな」
 締め付け凄いねと言いながらも、その抵抗をものともせずにぬるぬると浅くペニスを出し入れされて、気持ちがいいのに全然足りないと思う。お腹の奥がキュンと疼いて、息があがっていく。
「あ、あっ、それ、おまえ、がっ、準備する、からぁ」
「でも感じちゃうとこ弄んなかったじゃん」
「も、全部、きもちぃ、から無理ぃ」
 お前に指を挿れられたらそれだけで感じちゃうんだと、そんな体になってしまったんだと、半泣きで訴えれば弟は嬉しそうに笑いながら、知ってる、と言った。
「兄貴の体、毎日俺に愛されまくって、俺にされることは全部気持ぃって、覚えたんだもんな」
 前よりずっとエッチな体になったよねと、やっぱり嬉しそうに笑う顔はどこか獰猛だ。
「ううっ、なに、言って」
「うんとエッチになった体持て余して、兄貴っから、俺に抱かれに来てくれたら良いなぁ、みたいな?」
「おまっ、えっ、ちょっ」
 なんだそれ。聞いてない。てか最近こんなのばっかりだ。
「なんてな。まぁ、そんな都合よくエロエロな体になるとも思ってないから、兄貴がしてって来てくれたら俺はいつでも歓迎する、ってのだけ覚えててよ」
「ばぁか、も、ほんと、ばかぁ」
「知ってる」
「知ってない!」
 わかってないと憤っても、与えられる快感に思考がぐずついて、うまく言葉にできない。
「あ、あっ、あ、も、やだぁ」
「何が嫌?」
 どっか辛いかと聞かれたけど、そこは正直に、全部キモチィと返してやれば、おかしそうに肩を揺すりながら、素直なのかぁいいねと言って、じゃあもっと気持ちよくなろっかと、ぐっと深めに突いてくる。
「あぅんんっっ」
 玄関だから声は控えないと、というのを忘れてなかったので、必死に声を噛んだ。
「ごめんごめん。でもめっちゃいい顔してる」
 声我慢きつい? と聞かれて、まだ耐えられると首を横に振ったけれど、しんどくなったら部屋に移動しようなと言ってくれたのは、正直ホッとする。
「あと、やっぱ奥、すごいね」
 ぎゅんぎゅん絡みついてきて、もっとって強請られてるみたいだった、と言われて、実際ねだってるんだよ、と思ってしまう。だって奥を突かれたのは一度きりで、今はまた浅い場所ばかりをゆるゆると前後されていて、お腹の奥の疼きは酷くなる一方だ。
「は、はぁ、あ、も、もっとぉ」
「ん? 奥?」
「ん、うん」
 して、とねだってしまえば、その前に何が嫌なのか教えてと返されて、一瞬意味がわからなかった。
「いや?」
「今さっき、もうやだぁ、って」
 言ったろと言われて、そういえば言ったかもと思う。
「で、何が嫌なの?」
 快感で思考が蕩けてるのがわかっているのか、それとも答えるまではお預けなのか、動きを止めて待たれてしまう。仕方なく、その直前、何が嫌だと思ったのかを考える。
「ん……だって、お前が、そうなって、って言ったら、なっちゃう、から」
「ああ、俺が兄貴から抱かれに来てって言ったから、エッチになった体、持て余すようになっちゃうってこと?」
「そう」
「まぁそれも、ちょっと狙ってるとこある、かな。だから言ってみたわけだし」
 だって好きな子には奉仕的なんだもんな、と続けた後、兄貴は本当に俺に甘いよねと嬉しそうに笑う。それだけ大好きなんだって、ちゃんと、伝わっている。
「で、でも、えっちなからだ、持て余すのは、困る」
「だいじょぶだいじょぶ。そんな簡単にエロエロな体にはならないとも言ったじゃん。エロい気分になった時には、ちゃんと俺のとこ来てね、ってだけだって。それに、もし持て余しそうなら持て余す前においでよ」
 それで問題ないだろと、甘い声になだめられる。
 全然問題なくないけど、でもまぁいいか、と思ってしまうあたり、本当にちょろくて甘い。でもそれもやっぱり、大好きが伝わってるならまぁいいか、と思ってしまう。

続きました→

 
 
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