7章 みんなでランチ
【会社近くの食事処】
そろそろ新入社員の教育期間が終わる。
みんなでランチでもという話になり山瀬が連れてきた。
山瀬:(川瀬くんに紹介してもらったお店だけど)
:(みんなも気に入ってくれてるみたいで良かった)
山田:山瀬さんご機嫌ですね
声を掛けてきたのは隣に座る山田だ。
随分と山瀬に懐いてくれているので普段から会話が多い。
山瀬:みんなが楽しそうだからね
:なかなかいい店だろ?
山田:はい、料理とっても美味しいですし
:雰囲気もいいですよね
:俺、またきっと来ると思います
:こんなお店知ってるとかさすがです
山瀬:いやいや俺も自己開拓はしてないから
山田:そうなんですか?
山瀬:そうだよ
:ほら俺、今、ジム通ってるだろ
:そこの担当トレーナーさんにお願いして
:俺向けメニュー扱ってるお店紹介して貰ったの
山田:え、メニューの紹介ですか?
山瀬:そう、つまりここ来ても
:何でもかんでも食べれるってわけじゃないんだよね
:でも外食好きとしてはありがたく利用してる
山田:なるほど
:ジムってそんなことまでしてくれるんですね
山瀬:全員がしてくれるのかはわからないけど
:少なくとも俺の担当さんはいいですよって
:他にも幾つか紹介して貰ってて
:どれも重宝してるよ
山田:いい担当さんと巡り合った感じですか?
山瀬:ああうん、そうだね
山田:だからですかね
:山瀬さん、着実に痩せてってますもんね
山瀬:ありがと
:そう言って貰えると
:頑張りが認められたみたいで嬉しいよ
山田:俺は別に
:前の山瀬さんも悪くないって思ってましたけどね!
:てかあれはあれで魅力的だったっていうか
:柔らかそうだったあのお腹が
:随分減っちゃって残念なくらいですけど
山瀬:ちょっ山田くん
:お腹揉まないでよ
:くすぐったいって
:(山田くんいい子なんだけど)
:(距離感凄く近いんだよなぁ)
そんな中テーブルの一角が何やらおかしい事に気づく。
山瀬:佐々木さん?
:何か有りました?
佐々木:あ、その、それが
:向こうのテーブルに不審者が……
山瀬:不審者?
佐々木:さっきからこっちをジッと見てて
:不気味で怖いと言うか
山瀬:どのテーブル?
佐々木:あそこです
佐々木がチラリと視線で示した先に居たのは川瀬だった。
山瀬:え、川瀬くん?
山田:知り合いですか?
山瀬:あ、うん、ほら
:ここ紹介してくれたトレーナーさん
佐々木:え、あんな人がですか?
山瀬:慣れないとちょっと怖く感じるかな
:でも
山田:あ、こっち来るみたいですよ
:なんだ、笑うと爽やかイケメンじゃないっすか
佐々木:まぁ確かに、笑ってればそれなりに
:あ、いや、少なくとも不気味ではないって意味で
山瀬:(え、いやいやいや)
:(あれはどっちかって言ったら)
:(ヤバい感じの笑顔なんだけど)
:(え、何、怒ってる?)
川瀬:山瀬さんこんにちは
山瀬:こ、こんにちは
:このお店でランチかち合ったことなかったから
:ランチ利用はしてないかと思ってた
川瀬:今日はたまたまです
:ところで、こちらの方たちは?
山瀬:うちの今年の新入社員たち
川瀬:ああ、教育担当されてるって
山瀬:うん、それ
川瀬:なるほど
:では山瀬さんがこの数ヶ月でどれだけ痩せたか
:毎日のように見て、知ってる方たちなんですね
山瀬:ああうん、そうだね
川瀬:じゃぜひ勧誘させて下さい
山瀬:えっ
川瀬は普段と打って変わってのにこやかな笑顔でジムの説明を始める。
山瀬:(あーつまりこれは)
:(営業スマイルってこと?)
山田:へぇ、俺ちょっと興味わきました!
川瀬:それならぜひ一度
:見学にいらして下さい
山瀬:(気にしすぎたかなぁ)
:(でもなんか不自然なんだよな)
川瀬:なんなら山瀬さんと一緒にでも
山瀬:え、俺!?
山田:あ、それいいですね!
:俺、山瀬さんがトレーニングしてるとこ
:見てみたいです
みんなで山瀬の見学をという話になりかけて慌ててしまう。
山瀬:待って待って待って
:さすがに無理
:恥ずかしいから!
川瀬:別に恥ずかしい事はないと思いますけど
:最近はそこまで辛そうな顔もしてませんし
山瀬:(それは確かに……)
:(あれでもつまりそれって)
:(つまんないって思われてる?)
:(ま、まさかこの子たち勧誘してるの)
:(俺が恥ずかしがるのわかってて)
:(羞恥プレイ的な……)
:(え、考えすぎ?)
結局、川瀬の真意はわからないままランチはお開きになった。
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