「どうしたの? 俺を気持ちよくしてくれるんじゃないの?」
「気が削がれた」
「えーもー、期待だけさせてお預けとか意地悪すぎない?」
「俺が切れるまで焦らしプレイしようとしてたお前に言われたくないんだけど」
「じゃあそのヌルヌル、どうすんの? 俺に使わないなら、自分に使う?」
「は?」
思わず聞き返したが、すぐに意味は理解した。
「オナ」
「ぜってーしない」
相手の言葉を遮ってオナニー披露なんて絶対にしないと宣言すれば、相手はその勢いの良さがおかしかったらしく、だよねと言いながらも笑っている。笑いながら伸びてきた手が両手を包んで、手の中のヌルヌルをこそげ取るようにして奪っていった。
ホッとしたし、当然期待もした。奪っていったヌルヌルで、自分を気持ちよくしてくれるだろうと考えたからだ。
けれどその手は自分には伸びてこなかった。
「え……?」
奪われていったヌルヌルは、相手の手によって、当初の予定通り相手のペニスを濡らしてく。袋や竿や亀頭を包み込んで、ローションを塗りつけるように動いている手に、もしかしなくても絶対しないとお断りしたローションオナニー披露を、相手の方が始めたらしいと知る。
「んっ」
やがてゆるゆると握った竿を扱き出すとともに、甘く鳴った息にドキリとした。けれどその顔を見るのはためらわれて、視線は股間から外せずにいる。視線が外せないのはそれだけが原因でもないけれど。
だって、自分の勃起ペニスを相手の勃起ペニスと一緒に擦り合わせて扱かれ、気持ちよく果てる行為を何度となく繰り返してきたが、相手のペニスをこんなにマジマジと見たことはなかった。
見たことはなくとも感触でなんとなくわかっていた通りに結構でかいし、張り出すエラや浮いたスジを相手の指が上下するたび、まとわりつくローションがテラテラ光ってエロいと言うよりはなんだかグロい。
顔に似合わなすぎだろと若干引き気味になるのは、あれを尻穴に突っ込まれることを思わず考えたせいかもしれない。いや、そんな許可は出さないし、許可なく突っ込まれる心配だってしてないけど。でも、抱きたいって言われた事実だって消せはしない。
「……はぁ、そんなじっくり見られると、興奮、するね」
そんな事を言われて、さすがに慌てて顔をあげた。
「ちょ、おまっ、変態すぎ」
「ん、知ってる」
相手の股間を凝視し続けていた自分を棚上げしても、相手はそれを指摘しては来ず、あっさり同意を返してくるから困る。
「認めんなよ。てか焦らしプレイやめろって言ってんだろ」
「っふ、これ、焦らしプレイなんだ?」
「そりゃ、だって」
「俺だけ気持ちよくてズルい?」
「まぁ、……」
「じゃあ、そろそろちゃんと一緒に気持ちよくなろうか。俺も今のでけっこうイキたくなったしね」
やっとイケると思って安堵の息を吐きながら、そういやこちらばかりが弄られていたから、相手は直接的な刺激が足りなかったのかも知れないと思う。
「って、何する気だよ?」
手の平にローションをたらして捏ねていた相手が濡れた手で触れてきたのは、結構な時間放置されながらも、相手のオナニーを見せつけられて中途半端な硬さを維持しているペニスではなく内腿だった。
「ここ、挿れさせてよ」
挿れさせてと言われたけれど、触れられているのは依然として内腿でしかない。
「ここ、って、つまり……」
素股かと聞けば、そうだと頷かれてしまった。なんとなくの知識はあるが、当然したこともされたこともない。
「本当に抱くわけじゃないから、いいよね?」
「ダメ、ではないけど……」
「ないけど?」
「お前はともかく、俺がそれで気持ちよくなれるのか疑問なんだけど」
多分する方は問題なく気持ちがよくなれるんだろう。自分が名称を知っている程度には浸透しているプレイなわけだし。でもそれで、される側がどう感じるのかはあまり聞いたことがないと言うか、知らない。もし仮に女性も一緒に気持ちがよくなれるのだとしても、それが男である自分に適用されるとも思えない。
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