イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった39

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「気持ちぃ?」
「きも、ちぃ」
 素直に答えれば嬉しそうに顔が緩んだから、思わず顔を寄せてその唇を奪う。行為の最中、自分から相手に触れに行くことがほぼなかったのだから、相手が驚くのも無理はない。というか、衝動的にそんなことをした自分に、自分自身が少し驚いてもいた。
 それでも、驚きに目を瞠る相手の顔には、思わず小さな笑いがこぼれる。自分の行動に、相手がいちいち大げさに反応してくれるのが面白いのかも知れない。
 いっそこちらも、相手に可愛いと言ってやろうか。チラリとそんなことも思ったが、さすがに恥ずかしさが勝って、言葉は音にはならなかった。しかも、男に向かって可愛いとかよく言えるよなと思ったら、先程かわいいと繰り返していた相手の声が耳の奥に蘇ってしまって、なんだかますます恥ずかしい。
「はぁ、もう、なんなの。可愛すぎるし手が足んないんだけど」
 勝手に恥ずかしがっていたら、呆れたのか怒ったのか、相手が嘆くようにそんなことを口走る。ただ、声音から呆れたか怒ったかだと思いはしたが、告げられた言葉の意味がイマイチわからなかった。
 なのに、また可愛いって言われたっぽいのだけはわかって、恥ずかしさばかり増して頬が熱い。ますます呆れられそうだと、恥ずかしさに軽く伏せていた顔を更に俯けてしまった。
「ね、こっち向いてよ。両手ふさがってるから、恥ずかしがって下向かれたらキスできないでしょ」
 呆れや怒りを感じない優しい声に促されて顔を上げれば、待ち構えていたらしい相手の唇が押し当てられる。しかもすぐさまペロリと唇を舐められたから、思わず背を反らして逃げてしまった。
 ちょっと驚いてしまっただけで、逃げるつもりはなかったんだけど。
「もー、なんで逃げちゃうの?」
「や、わりぃ、つい」
 舐められるとか思ってなくてと言えば、驚きで反射的に逃げたと伝わったらしく、驚かせたならゴメンと謝られてしまった。
「いや、いーけど。つか俺も、逃げて、ごめん」
 謝りながら、再度相手に顔を寄せる。触れる手前で止まって、今度はゆるく唇を解いて待てば、残った僅かな距離はちゃんと相手から詰めてきた。
 伸ばされた舌は唇を舐めることなく、解かれた隙間から口の中へ入ってくるから、応じるようにこちらも舌を差し出し絡めてやる。満足気に笑う気配のあと、ゆるゆると動いていた相手の手が、イカせる動きに変わった。
「ね、そっちも、手」
 気持ちよさに身を委ね掛けたところで、キスの合間に「一緒にイきたいんだけどと」と囁くように訴えられて、慌てて自分も、完全に止まってしまっていた手に意識を向ける。とはいえ、相手に任せてただ気持ちよくなることに慣れすぎているのか、うっかりしているとすぐに手が止まってしまいそうだ。
 けれどそのたび、一緒にイク気の相手に器用に促されて、どうにか自分だけが先にイッてしまう羽目にはならなかった。ようやくイケたときには、気持ち良く果てたという開放感よりも、やっとイケた疲労感のが強い気がしてなんだか釈然としない。
「もの足りないって顔してる」
「そういうお前は満足しきった顔してる」
「だね。それはちょっと自覚ある」
 まぁ、俺ばっかりいい思いしちゃってゴメンね、なんて素直に謝られたら、ため息一つで許してしまうんだけど。今まで散々、相手任せで気持ちよくして貰ってきたことを思えば、こういう日があったっていい。むしろ今後は、自分が頑張って相手がいい思いをすることだって増えて行くんだろう。なんて思っていたのに。
「ね、ベッドで続き、してもいい?」
「え? 続き?」
「続けて触られるの辛いなら、少し休憩挟んでからならどう? だめ?」
 すごく満足はしてるけどもの足りない面もある、だとか。次はもっと気持ちよくイカせてあげたい、だとか。どうしても嫌ならハグとかキスとかだけでもいいからもっとイチャイチャしたい、だとか。
 まぁそんなのことをあれこれ言い募られたら、嫌だダメだと断る気にはなれなかった。

続きました→

 
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