イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった6

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 口の中は熱く滑っていて、器用な舌先に先端やら括れやらを擽られるのはたまらなく気持ちがいい。しかもこちらの興奮を確かめたいのかチラチラと視線をよこしてくるから、それなりに状況が見えてもいた。
 舌を出して見せつけるようにペロペロと舐められている時はまだしも、しっかりと口の中に迎え入れ、更には頬を窄めてそれに吸い付いたりもしているので、歪んだ顔に頭の片隅ではイケメン台無しだなんて酷いことを考えたりもする。けれど、顔を歪ませながらもどこか楽しげにペニスに吸い付いている相手の姿に、間違いなく興奮が増してもいた。
 酔っていたってそんな発想になるかと後から結構ドン引いたし、今日なんて一滴もアルコールは摂取していない。して欲しいとねだった自分を完全に棚上げして、シラフで楽しげに男のペニスを咥えられるってどういうことだよと思ってしまう気持ちがある。
 やっぱりこいつはゲイなんだろうか。いや、女性とのセックス経験はあるみたいだから、この場合はバイってやつか。
 でも積極的に女性とどうこうって話は聞いたことがないし、彼女を作っていないのも知っている。いくら男性率がやたら高い学部だろうと、これだけのイケメンならそれなりに出会いやら誘いやらもあるらしいのに。
 だとすると、女も抱けるがどちらかというと男のほうが好き。そう考えてしまうのは当然の流れだと思う。もしかしたら自分以外にも、彼に気持ちよくしてもらっている男友達がいるかも知れない。そう思うと、少しばかり胸の中がモヤッとした。
 自分相手に手を出してくる男友達なんてこいつくらいだし、自分から別の男友達を誘おうなんて考えたこともないが、逆はどうかわからない。結構な軽さで手を出された気がするし、同じように他の男友達にだって手を出しているかも知れない。だったらどうなんだ、という話だけれど。
 だってなし崩し的にこんな事を続けているし、さっきは自分の意志でキスまで受け入れてしまったが、結局の所これはただの性欲処理でしかない。好きだと言われたことはないし、こっちだって、恋愛感情があって相手に身を任せているわけでもない。人にして貰うと自分でするより興奮するし気持ちがいい。ただそれだけだった。
 カチャカチャと金属的な音が聞こえてきて、その音の出処を探して視線を移動させる。どうやら相手がズボンのジッパーを下ろしたようだ。つまりは勃起ペニスを舐めしゃぶりながら興奮したって事らしいと気づいて、相手はきっとゲイよりのバイ、という想定が自分の中でほぼ確実になった。
 顔が良かろうとどう頑張っても女と間違えるのは無理な相手に股間をしゃぶられ興奮している自分だって、人の性志向をどうこう言える立場ではなさそうだけれど、やっぱりそれは棚上げしておく。なんせ、今でも機会さえあれば女の子と付き合いたいと思っているし、女の子に触れてみたいし抱いてみたいし、この男とこんな関係になるまでは自分をゲイかもなどと思ったことがない。それにこんな関係と言ったって、相手を抱きたいだとかましてや抱かれたいだとか思ったことはないし、触られたら反応するの仕方ないだろ的な気持ちが強いし、口でされるのだってきっと男も女もそう変わらないはずだ。
 脳内でそんな言い訳を延々と繰り返す中、熱く滑った口内からペニスがこぼれ落ち、濡れたペニスが部屋の空気に包まれる冷たさにハッとする。慌てて股間に視線を定めれば、熱のこもった目で相手がジッとこちらを見つめていた。
「な、に……」
「また何か考え事?」
「や、なんでも、ない」
 まさか、ペニス咥えて興奮できるのは男が好きってことでいいか、なんて聞けるわけがない。男に咥えられて気持ちよくなっているお前こそどうなんだという反撃が怖いというのもある。しかも今回は自分から相手にねだってしまったという負い目もあった。
「俺、そろそろイキたくなってんだけど、一緒に扱いていい?」
「あ、ああ」
「大丈夫? 口、シラフだとやっぱあんまり良くなかった?」
「いや、口ん中、温かいしヌルヌルだし、やっぱめちゃくちゃ気持ちぃ」
「ならいいけど。俺だけ興奮してんだったらさすがに気まずいなって」
「興奮してなかったらこんな硬くなってないだろ」
「まぁそれもそうか」
 身を起こした相手が半端に下げていたズボンと下着を脱ぎ捨てて、ペニス同士が触れ合う近さに身を寄せてくる。後はもう、既に何度も重ねた行為で気持ちよく果てるだけだ。
 そう思った矢先。パクっと唇に吸い付かれて、さすがに大きく肩が跳ねた。
「んぅっ、んっ、ぁっ、なんでっ」
「キスしながらのがもっと気持ちよくなれるでしょ」
「けどっ」
「先走りちょっと舐めたくらいじゃ、そんな違わないと思うんだけど」
 さっきのキスと比較してみてと言われながら、容赦なく舌が口内に差し込まれてくる。味がどうこうではなく、精神的な抵抗感だ。なんて抗議する隙はない。
「ん、……んんっ……ふっ、」
 口の中の弱いところを舌先で擽られれば感じてしまうし、同時にペニスを扱かれれば気持ちよさが何倍にも跳ね上がる。しかも今度は、イカせるための動きをされていた。こんなの、耐えられるわけがない。
「んんんんっっ」
 あっという間に追い詰められてびゅくびゅくと精を放つ中、相手の体と口内の舌が小さく震えたので、どうやら今回は相手も一緒にイケたらしいと安堵した。

続きました→

 
 
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