眼前の男の顔はまず間違いなくイケメンに分類されるはずで、降ろされた目蓋は長いまつげが縁取り、滑らかな頬は薄く色づき、口紅なんか塗っているはずもない唇はふっくらと艶があって、薄く開かれたそこからは時折気持ちよさそうな吐息が漏れていてたいそう色っぽい。とはいえ相手は間違えようもなく男で、色っぽかろうが性的衝動が湧くわけではなく、手を伸ばしてその頬に触れてみようだとか、顔を寄せてキスをしてみようだとか、試す以前にしたいと思ったことがない。
試したところで多分嫌がられることはなく、むしろ喜ばれる可能性までが脳裏をよぎるが、積極的に喜ばせてやりたい相手でもないので、結局、相変わらず変な男、と思いながらそんな彼の顔を見ているしかなかった。
「なに?」
見つめすぎたのか、相手の目蓋がゆるっと持ち上がって、興奮でいくらか潤みの増した瞳に見据えられてドキリとする。
「なんでも、ぁっ」
「こっち、集中してよ」
「するっ、するから、そこやめろって」
「先っぽ、ほんと弱いよね」
「ぁ、ぁっ、ちょっ、やめ」
「先イッとく?」
「や、やだっ」
「イッたあと触られるのは感じ過ぎちゃうんだもんね?」
「わか、ってんならっ」
「ん、だいじょぶ、俺も一緒にイケるから」
イッていいよの甘い囁きと共に、亀頭をグニグニと撫で揉まれながら竿を擦られてあっけなく果てた。
「ああああっっ」
一緒にイケると言ったくせに、果てたあとのペニスを擦られ続けて目の前がチカチカと明滅する。こっちが果てた時点でこちらのペニスだけ開放してくれないか、とはさすがに言えないので我慢するしか無いのだけれど。
だって、上り詰める最後の瞬間にそんな気を回す余裕はないかも知れないし、相手のペニスと擦れる気持ちよさもわかっているから、最後の最後でそれを取り上げるのは忍びない。けれどイッた直後のペニスを刺激されるのは気持ちが良すぎて辛かった。
「んっ……」
それが長引けば長引くほど辛さは増すので、すぐに相手が小さく呻いて動きを止めたのでホッとする。
「はぁ……気持ちよかった」
余韻を引きずったようにうっとりと、本当に気持ちよさそうに吐き出されてくる声に、そりゃ良かったと思う気持ちと、口に出すなよと思う気持ちとがある。どっちも口に出したりしないけど。
「そっちは? 気持ちよくイケた?」
「聞くな」
これはすぐさま口に出した。
「だって途中、なんか考え事してたし、ちゃんと気持ちよくイケたのか気になるじゃん」
何考えてたのと言われて、先程と同じように、なんでもないと返しておく。何をどう説明すればいいかわからないというか、突き詰めて話し合いたくないと言うか、今はまだ曖昧にしておきたい。
「それよりティッシュ」
「ああ、うん。はい」
差し出されたティッシュの箱から一度に数枚引き抜いて、まずは腹部に付いた汚れを拭いた。脱がずに捲り上げただけの服は、どうやら今回も汚さず済んだらしい。服を汚したのは初めての時くらいだから、多分、イク時に飛び散らないように気を遣ってくれているのだろう。
「あー、腹減った。なにか作るけど、食べてく?」
さっさと身支度を終えた相手が立ち上がって、どうやらキッチンへ向かうらしい。
「食べてく」
「わかったー」
即答すれば、少し間延びした声と共に相手が出ていった扉が閉まる。一人きりになってしまった部屋の中、吐き出したため息は思いの外大きく響いた。
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お久しぶりの訪問になってしまいました…>_<と思ったらすごいタイミングで新作!!またまた好きそうな予感です!更新楽しみにしております^ ^毎日来ます^ ^
1ヶ月お休みしてたので、久々訪問が久々の更新日で良かったです(´∀`*)
しかも好きそうな予感とのことで嬉しいです!
毎日更新するわけではないので、匿名さんのタイミングでまたぜひ訪問してやってください〜