彼からの出演依頼は八月が終わる頃に来て、大学の夏休みは九月の半ばまであると告げたらたいそう喜ばれた。最悪、次の春まで待たなきゃならないかもと思いながら連絡してきたらしい。
しかも今回はいきなり撮影現場に呼ばれるのではなく、事前の打ち合わせというのを体験した。事前に呼ばれたのは内容の確認と、後はどうやら黒髪での登場を期待していたらしい。
そんなの言っといてくれなきゃわからない。まぁ、言われた所で、髪色は染め替えてから向かっただろうけれど。さすがに普段生活している姿を晒すのは抵抗がある。
台本は複数用意されていて、好きなのを選んでいいと言われた。中身は相変わらずかなりザックリとしたものだったけれど、色々な玩具を使いたいらしいのと、歪んだ執着愛らしきものが共通しているように思う。それと、複数日に分けて撮影するというのも初めてだし、ギャラもかなりいい。
どうやら春に撮った三本はどれも好調らしい。近いうちに必ず撮る側になると言っていたけれど、彼自身、思った以上に実現までが早かったと言っていたし、それはあの盗撮風がかなりの高評価を得たからというのも大きいようだ。
売上がどうとかの事情は良くわからないし、売れたからって追加でお金が貰えるわけでもないけれど、彼の役に立ったらしいことと、今回のギャラが多いのは単純に嬉しかった。
結局台本は家庭教師と生徒という設定のを選んだけれど、正直、金髪の先生なんて有りなんだろうかという気持ちはある。でも実兄弟設定やらご近所さん設定やらは、拘束される内容が含まれていたから、さすがにそれは嫌だった。
ちゃんと縄師を呼ぶとか言われたけれど、そういう話じゃない。マゾじゃないんだから縛られたい願望なんてないし、抵抗を奪われて好きなようにされるのなんて普通に怖い。
そういや「俺が撮りたい俺主役の作品に、相手役で出て」と言われた記憶があるんだけど、こられの台本を見るに監禁とか調教系が好きってことなんだろうか。これはちょっと意外だった。
そうして始まった実質4本目となるAVの撮影は、下半身だけどころか、基本お尻だけ晒してアナルをあれこれ弄られる感じでスタートした。
ストーリーの流れとしては、家庭教師中に勃起してるのを見つかって、生徒の誘いに乗って抜きあってしまったら、それをネタに脅されて徐々に開発されていく、というものだったけれど、流れに合わせて撮るのではなく、とりあえずイキたくてたまらなくなるまではお尻を弄るシーンを撮るらしい。
たまに嫌だとかやめてとか許してとか言って欲しいというのと、階下に母親がいる設定だから感じてもあまり気持ちよく喘がないで、声を出すのはなるべく耐えて欲しいという要望があったくらいで、基本的には彼があれこれ喋るに任せていればいいので楽といえば楽だった。
しかし、着替えることで別日を演出するらしく、イキたいくらい感じてくると着替え休憩が入るので、さすがに段々と焦らされて辛い。
そこそこサイズのディルドをズポズポされながら、こんなに広がったら本物ちんこも余裕で入りそうだと言われたり、すっかりお尻で感じる体になったと言われながら、半泣きでもうイカせてと頼んだ。もう嫌だとか、もうやめてとか、もう許してだとかの言葉も、これ以上焦らさないでという意味合いで口にしてしまっている。
仕方ないなぁと言われて、でも、これでイカせて貰えると安堵なんて出来ない。だってイッていいよって言うのは撮影の中断を意味していて、つまりシーンが代わるだけで、また着替えて体が少し落ち着くのを待って再開するだけだ。
そんな絶望とともに、休憩を告げられた瞬間に、いい加減限界なんだけどと訴えた。それとも本当は、我慢しきれなくなってトコロテンしてしまう所でも撮りたいんだろうか。
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