自分だけイカされて終わりとか絶対ないと言い切った相手は、でも次は化粧を落とした素のままの自分で抱きたいという。
可愛いと言われまくって愛しげに見つめられるのも、悪くないどころかグッと来るものがあったけど、興奮しきって馬鹿になってると自分が抱かれてるような錯覚を起こすことがあるから、らしい。
こちらも、突っ込まれてるのに自分が抱いてるような錯覚は起きていたが、どうやらお互い様だったようだ。
妙な錯覚を起こさない状態で、もう一度ちゃんと抱かせて欲しい。という訴えを嫌だと断る理由はない。
しばらく待たされて、化粧を落として戻ってきた彼は、ほぼほぼ裸の腰タオル姿だった。しかも髪が明らかに湿っていて、伸びた髪はどうやら後ろで1本に縛られている。
「何一人でさっぱりしてきてんだよ」
「もうちょっとバス広かったら一緒に入ろって誘えたのにね」
「そういう話はしてないんだけど」
「うん。ただ、髪型崩れないようにある程度固めてたから、頭洗いたくって」
化粧を落として髪飾りも抜いた状態で、髪だけゆるふわシニヨンが残っているよりは、確かにいいかもしれない。
「その髪、乾かさなくていいのか?」
「ある程度水気は切れてると思うけど、気になる?」
早く続きって思って急いじゃったと照れ笑う。
そっちはイッてすっきり出来たんだろうし、もっと余裕があってもいいんじゃないのか。そう思ったら、口から出ていた。
「一回イッてんのに?」
「あんまり待たせたくなかったの! てか、そっちはイッてないけど、待ってる間ムラムラしてたわけ?」
自分だけ果てた後、恋人を長時間放置。というのは、確かになるべく避けたい展開ではある。そして、続いた言葉に関しては、こちらの言葉を受けて、そういう話じゃないでしょ的に口に出しただけなんだろう。だけど。
「ムラムラ……してたのかもしれない」
言われてみれば、自分はイケずに中断したせいで、ムラムラしてたからかと合点がいってしまった。
「え、ムラムラしてた? マジに?」
「マジに。もしお前が戻ってくるのもっと遅かったら、これを尻に突っ込んでみてた可能性がほんのり」
言いながら、近くに転がっていたバイブを手に取り相手に突き出す。更に、そのスイッチを入れてウィンウィンと動くさまを見せつけてやった。
相手が目を大きく見開くのに満足して、スイッチを切った後は元通り近くに転がしておく。
「って、嘘でしょ!?」
驚きに言葉を失くしていた相手が、ようやく声を上げた。まだその衝撃は続いているようだけど、こちらは至って冷静だ。
「無事にお前ので俺の処女は散ったし、もう無機物突っ込んでも問題ないかなと」
「本気で?」
「まぁ考えたのは事実だけど、イッて無くてムラムラしてたせいと言われれば、そうかもって思って」
「いやいやいや。ムラムラしてソレ突っ込むって発想になる? 待てなくて一人で抜いた、のがまだありえるって思えるんだけど」
「お前のナニがそこまで痛くもなく入った、って考えたら、ここに転がってるのも俺の尻の穴にすんなり入るんだよな。って思ったら、ちょっと興味がわいたっていうか、本物のバイブ初めて触ったし、腹の中でこんな動かれたらどうなるんだろう、みたいな好奇心?」
いずれ自分が抱かれる側になるんだろうと一応知識は漁ったものの、実際に入手して体を慣らしておこうなどとは思わなかったし、彼女がいたのは高校時代で玩具の使用なんて考えなかった。つまり、バイブもディルドも、当然見るのも触るのも初めてなのだ。これはもう、完全に好奇心が勝っている。
突っ込まれて痛くなかったどころかそこそこ感じられていた、という体験がもたらした気持ちの変化も、どうやらかなり大きかった。初めて手にした性玩具を前に、恋人に突っ込みたい欲求よりも、それが自分の体にどう快感を与えるかの方に興味が行っている。
「じゃあ、使ってみる?」
「え?」
「興味あるんでしょ。それがお腹の中でどう動くのか」
「いやでもお前、早く2戦目したくて急いで戻ってきたんじゃないわけ?」
「うん。だから、使われるのはそっちだけど、挿れるのは俺ね」
二人でするならこれもセックスで、ただの前戯で、玩具使ったプレイ。と言い切られてしまうと、まぁそれもそうかと思わされる。
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