可愛いが好きで何が悪い44

1話戻る→   目次へ→

 再度布団に寝転がって立膝で足を開き、その間に彼を迎え入れた。ただし今回はその手に、ゴムを被せて多めにローションを垂らされた、すっかり準備済みのバイブが握られている。
「そこまで時間経ってないからこのままいけるかな。もし少しでも痛かったら言ってね」
 ちゃんと解し直すからと言われながら、ピトリと尻穴に濡れた感触が押し当てられた。
「んっ」
「キスした方がいい?」
「や、いらない」
 そう返して、深めの呼吸を意識する。彼のペニスより確実に細いのがわかっているのだから、身構える必要なんてないと自分に言い聞かせながら、体のこわばりを解いていく。
「挿れてくね」
「ん……っ」
 小さく頷けばぬるっと入り込む無機物に、尻穴が広げられるのがわかった。痛みはやはり感じず、抵抗少なくぬるると入り込んでくる質量に、腰の奥からぞわっと広がる何かで腕のあたりの肌が粟立つ気がする。つまりは、多分、気持ちがいい。
「痛くない?」
「ちょっと変な感じは、する。けど、痛い、とまでは感じない、な」
「今、一応ほぼほぼ根本まで入ってるけど」
「うん」
 そこまで長さがあるわけじゃない商品なので、根本まで入っていると言われてもそんなに圧迫感は感じない。ただ、ベニスを模したディルドと違って、アナル開発用と思われる形状をしているから、中のイイトコロってやつに当たっているのかも知れない。
 指で散々弄られていたときも痺れるように感じる箇所は確かにあって、でもあれは広げるのが目的だったから、そこを執拗に弄られたりはしなかった。あのとき、そこをもっと強く弄られていたら、果たして痛いと感じたのか、気持ちいいと感じたのか。未知すぎて判断がつけられない。
 先程は奥の方を突かれてじんわりとした痛みを感じたけれど、今はそんなに深い場所には到達していないのに、もっと手前側でじんわりとした小さな刺激を感じている。痛いとまでは思わないが、そこを強く刺激されたら痛みを感じそうな不安がある。
「スイッチ入れる?」
「うーん……」
 腹の中で動くのを試したいと言ったのは自分で、そのために突っ込んだというのに、即答は出来なかった。
「もうちょっと馴染むの待つ? それとも、俺が動かしてみてもいい?」
「ゆっくり、動かしてみて欲しい、かも?」
「わかった」
 じゃあ動かすねの言葉とともに、バイブを小さく前後される。
「ぁ……」
 小さな違和感が途端に大きくなる気がして、けれどやはり痛いとまでは言えない。
「痛い?」
「いや。けど、なんか、へんなとこ、当たる」
「それって……」
「ぁ、……んっ……んぁあっ」
 角度を変えて揺するように前後させつつこちらの反応を確かめていた相手が、少し強めに押し付けてきたそこが、間違いなくイイトコロだった。
 ピリっと電気が走るような刺激に、少し高めの声を上げてしまえば、すぐに押し付けていた力はなくなって安堵の息を吐く。
「前立腺、かな」
「多分。てかお前、自分の前立腺って、弄った?」
「弄ってない。知識だけ」
 どうやらそこまで自己開発は進んでなかったようだ。というか、自身の前立腺がどこか、まだ見つけられていないらしい。
「で、どんな感じ? 噂通りすごく気持ちよくなれそうな感じ?」
「気持ちいいより、まだ違和感のがすごい。刺激が強すぎるっていうか」
「じゃあ、スイッチ入れるのはやめとく?」
「うーん……」
 せっかく試したくて突っ込んだのに、という気持ちでやはり迷ってしまう。
「とりあえずスイッチ入れてみて、無理そうならすぐ切ればいいんじゃない?」
「じゃあそれで」
「このままいいとこ、当たるようにしてスイッチ入れるけど、いい?」
「いい。けどちょっと待って」
 覚悟を決めるからと言えば、面白そうに笑われてしまった。想定してた玩具プレイと全然違うとかなんとか。
 さっきは、想定してたのと全然違うセックスをしたと言って呆然としていたのだから、彼の想定通りに行くほうがきっと稀だ。まぁこちらとしても、想定してたよりも不穏な気配になっているのだけど。
 たいして何も感じず、こんなもんかと終わるか、あっさり気持ちよくなって、さすが性玩具と思わされるか、そのどちらかかと思っていた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です