金に困ってAV出演してみた29

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 彼とのキスは間違いなく気持ちが良くて、でも、快感でお尻の穴だったりお腹の中だったりが疼いて蠢いてしまうと、どうしても、かなり奥にまで到達している無機物を意識してしまう。初めての感覚に戸惑うのと、鈍い痛みにも似た感覚がやっぱり怖い。
「んぅっっ」
 そろりとお腹を撫でられれば、それだけでもビクリと腰を跳ねてしまい、お腹の中でオモチャが揺れる。結果、口を塞がれたまま、予期せぬ衝撃に呻く羽目になった。
「ああ、ごめん。驚かせちゃった」
 顔を離した相手が心配げに見下ろしてくるが、その手はゆるゆるとお腹を撫で続けているから、この後どうするつもりなのかが気になってそれどころじゃない。
「やっぱり怖い? 痛いの、我慢してたりする?」
「凄く痛い、わけじゃない、けど」
「そっか。この辺までは入ってるはずなんだけど、自分でも、わかる?」
「はうっっ」
 クッとお腹を押し込まれて、反射的に吐き出す息が引きつっている。彼の手が触れているのは見事にオモチャの先端が届く辺りで、軽く手を揺らされると、お腹の中にじわりとした熱が広がる気がした。熱というよりは、鈍い痛み、なのかもしれないけれど。
 オモチャを抜き差しされるのとは全く違う。バイブの振動やうねりとももちろん違う。経験したことのない刺激を、経験したことのない場所で感じて、一度は落ち着いたはずの気持ちがまた波立ってしまう。
「ぁ、わか、るけど、それ、やっ、やだっ。こわっ、こわ、い」
 半泣きで訴えれば、あっさりお腹に掛かっていた圧は消えたけれど、すぐにまた、ゆるゆるとお腹を撫で始める。なのでまた繰り返されるかもという不安は残るが、取り敢えずはホッと安堵の息を吐いた。
「でもいつかはここで、感じられる体にするつもり、なんだけど」
「それは、いいけど。でも、ゆっくり、やって。今日中に、とか、さすがにムリ、だよ?」
「時間かけてゆっくりやれば、本当に、ここで感じる体になっても、いいの?」
「え、うん、いいよ。だって、俺のこと、今後も手放す気はないよね?」
「ないね」
「俺を、他の男じゃ満足できないようにして安心したい、って理由なら、いいよ。出来れば、そんな体にしちゃう代わりに、一生責任持って、俺を満足させて欲しいなぁ、とは思う、けど」
「もちろん。誓うよ」
 一生責任持ってよろしく、なんて言っていいのか躊躇いはあったものの、あっさり誓われてしまって思わず笑う。頭の隅では、これはただの物語でフィクションで、だから簡単に将来を約束してしまえるんだとわかっているけれど、それでも、躊躇いなく一生好きだと宣言してもらうのは嬉しかった。
 同時にやっぱり、いいなぁ。羨ましいなぁ。とも思ってしまったのだけれど。
「ねぇ先生、先生の中に、入りたい」
「え?」
「抱いて、いい?」
「え、っと……尿道プラグはちょっと、さすがに……」
「じゃなくて! 普通に!」
 なんでこの展開で尿道プラグが出てくるのかな? と言いたそうな勢いで否定されてしまったので、ほんの少し申し訳ないとは思ったものの、だって実物がそこにあるんだもんと思ってしまうのは許して欲しい。
 どうやら、オモチャは使われるの前提で用意されるもの、という認識をしているらしい。もちろん、恋人間では使う気のないものは買わない、ってだけなんだけど。でもってこれは恋人間の話ではなくAV撮影現場で、使うかどうか不明なオモチャもあれこれ用意されているらしいんだけど。でも思考はそう簡単に切り替えられない。
「いや、生でしたいから、普通、ではないかも、だけど……」
「いいよ。やっとちゃんと抱いて貰えるの、嬉しいよ」
「先生ってさぁ……」
「うん、何?」
「どうしても手に入れたいほど好きになった相手が、先生で良かったなぁ、って思っただけ」
 本当に一生手放してあげないよ、なんて言葉、どんなに意味深で腹黒そうな笑顔とともに言われたって、嬉しいとしか思わなかった。

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金に困ってAV出演してみた27

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 こちらが生徒を好きになる、なんて展開は彼の中では想定外だったようだけれど、でも好きになっていいとはっきり言ってくれたのだから、きっとこの後、好きを伝えられるような場面を作ってくれるはずだ。その時にちゃんと好きだと言えるように、とは思っているものの、未知の深さまで侵入してくるオモチャに、意識の大半が持っていかれている。
 太さはないので途中まではスルスルと入ってきたし、時々軽く前後されれば凹凸が中のイイ所を擦って、むしろその細さが物足りないくらいだったのに、途中からは奥に入られているという感覚ばかりが強くなって、別の意味で息が乱れた。快感を拾う余裕なんて当然なくて、ハァハァと吐き出す息が荒いのは、どう考えたって恐怖と不安からだ。
「うぅッ」
 お腹の奥がグッと押し上げられるような鈍い痛みに呻いたところで、背後から、ここまでかなという声が掛かる。
「もういいよ。手、離して」
 そう言われても、指先に力が入りすぎているのか、上手く手が開けなかった。内心焦っていると、尻タブを掴む手をそっと撫でられた後、こわばる指先を一本づつ引き剥がしてくれる。
 途中である程度緊張が解けたのか、片手が離れる頃には逆の手も動いて、どうにかシーツに両手をついたものの、今度は腕に力が入らない。伏せてしまった上体を起こせない。
 宥めるように手の外れたお尻を何度も撫でていた彼の手が、するっと腰から背を上って頭を撫で始める。優しい手付きにホッとするのに、息は整わないままだし、腕に力も入らない。
「ねぇ」
 頭では支えきれなくなって、途中から横向きに頬をシーツに押し当て肩で体を支えるようになっていたけれど、その顔を覗き込むように急に彼が顔を寄せてくる。ぼやけた視界をどうにかしたくて何度もパシパシと目を瞬かせれば、少しばかりクリアになった視界の先で、相手は随分と困った顔をしている。
 オモチャは無事に、S状結腸のギリギリ手前まで届いたのかと思っていたのだけれど、もしかしてこちらがあんまり怖がって泣くから、途中で止めてくれたってことなんだろうか。
「あの……?」
「うん」
 なんでそんな顔をするのかとか、この後どうすればいいのかとか、聞きたいことは山ほどあって、でもなんとか絞り出した声には、先を促すような柔らかな相槌だけが返る。
「つづけ、て、いーよ?」
 ますます困った顔をさせてしまったから、どうやら欲しい言葉はこれじゃなかったらしい。
「泣くほど怖いのに?」
「だ、って」
 あんまり優しく頭を撫で続けてくれるから、だって仕方ないじゃないかと思いながら口を開いたら、またぶわっと涙が込み上げてしまう。ううっと呻きながらもどうにか涙を拭おうとしたけれど、それより先に、頭を撫でてくれていた手が頬に落ちて溢れかけた涙を拭っていく。
 その手付きもやっぱり優しくて、涙は暫く止まりそうにない。カメラの前で泣いてしまうのは初めてではないけれど、あの時は慰められることもなく、むしろ泣き顔をもっと晒せって勢いだったのに、今回はどう考えてもこちらが落ち着くのを待たれている。
「この体勢のままじゃ辛いよね。もっと楽な姿勢になろうか。お尻のオモチャも一回抜く? 一回休憩入れようか?」
 これはどうやら、生徒の彼ではなく監督としての彼の言葉なんだろう。でもどうせならこのまま撮影を続けて欲しかった。というよりも、一度抜いてもう一度挿れるところから、なんてのを繰り返したくない。
「へ、きだから、も、ちょっと、待って」
「うん。焦って泣き止まなくていいから。でも、体勢は変えようね」
 ベッドに寝転がっていいよと言われた後、彼に呼ばれてワラワラと寄ってきた数人のスタッフに抱えられるようにして、そろりと体の向きを変えられる。背中を支えてくれるベッドマットの感触に、今度こそ安堵で体の力が随分と抜けた気がする。
 一度大きく息を吐いてから、意識的に深めの呼吸を繰り返せば、気持ちもだんだんと落ち着いてくるようだった。

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金に困ってAV出演してみた7

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 どうやら映像内の自分は、せっかく用意されてるなら使ってみたいなぁという、相手のおねだりに負けたらしい。らしい、というのは、はっきりとそういった会話のやり取りなどはしておらず、相手がそれっぽいセリフを吐いていた事からの推測だ。
 まぁオモチャを使うことになった流れなんて、きっとたいして重要じゃない。
 そんなわけで、一緒に閉じ込められた相手があなたで良かったとかなんとか、ニコニコ笑顔で言われながら、ローターをあちこち当てられて感じる場所を探されたり、あれこれ体位を変えながらアナルスティックを出し入れされたりを経て、現在は仰向けにM字開脚でウネウネと動き振動するバイブを押し込まれながら喘いでいた。
「んっ、ぁっ、あ、ああっ、きもち、ぁっ、あっ」
「ここであってる?」
 確認するように、バイブの先端が中の弱い所を緩く突いてくる。お腹の中からゾワゾワ湧き出す気持ちよさには、間違いなく期待も混じっていた。
「ん、ぅん、そこ、それっ」
 頷けば、さらにグッと強く押し当てられた上で、モードを変えられたらしく振動もうねりも加速する。
「ぁあああいくっ、またいっちゃう、いっちゃう」
「ん、いいよ。いって。さっきみたいに、上手に出せる? おちんちん触られなくても、白いのこぼして気持ちよくイッちゃうとこ、今度はちゃんと、見せてね?」
 その言葉に引き寄せられるみたいに、カメラが移動するのを意識の端で認識していた。さっき四つ這いでアナルスティックを出し入れされながらも一度トコロテンでイッてしまったのだけれど、射精の瞬間はあまり上手くカメラに収められなかったらしいから、今度こそというのがあるんだろう。まぁトコロテンしそうって時に、四つ這いから体を起こしてカメラの前にペニスを晒すなんてテクを初心者に求められても困るし、カメラマンは何やら悔しがっていたものの、相手役の彼は、トコロテンでイッたという事をめちゃくちゃに褒めてくれたんだけど。本気で感動しまくった様子で、もう一度、今度は仰向けでしてみせて、と言われての現在なんだけど。
「ああ、いくっ、でるっ」
 せり上がる射精感とふくれあがった快感の波に飲まれながら、体を、主には腰を、ガクガクと揺すってしまう。ただ、三回目ともなると、やはりかなり少なかったんだと思う。射精している、という感覚はあまりなかった。
 それでもバイブのスイッチを切った後はすぐに、にこにこ笑顔が息を整えるこちらを窺うように覗き込んできて、すっごい可愛かったと何度も軽いキスを繰り返してくる。オモチャでトコロテンしてこんな反応をされるのはもちろん初めてで、さっきの会話を意識しての態度だってわかってても、胸の中がこそばゆいような嬉しさで満ちていく。
「ん、でも、あんま、出なかったんじゃ……」
「うん。だって三回目だもんね。でも、たら〜ってこぼれ出て、もう出せるもの無いよ、でももっと出したいよって感じに、何度もビクビクしてるのとか、ほんと凄い可愛かったから。めちゃくちゃ興奮した」
「そ、なら、いいんだけど……」
「ね、もう一回、って言ったらどうする?」
「えっ」
「おにーさんが気持ちよくイクとこ、何度だって見たい」
 スイッチは切られたもののまだお腹の中にあるバイブの持ち手に手を伸ばした相手が、かなりゆっくりとした動きで前後させるのに合わせて、またすぐに甘い息を零してしまう。
「ぁ……でもぉ……セックス、しないと」
「うん。セックスしないと、俺がおにーさんに突っ込まないと、この部屋、いつまでも出れないよね」
「ぁ、ぁあっ、ならっ」
「でも逆に、俺が突っ込まない限り、いつまでもおにーさんが可愛くイクとこ、見てられるのかなって」
 早く抱きたいのに抱きたくないよと困り果てた顔で言われて、その困り顔になんだかキュンとしてしまう。撮影慣れした相手の言葉や態度や表情を真に受けるべきではないと思うのに、本気で惜しまれていると思いたくなっている。

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今更なのに拒めない7

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 もし今の彼に惚れる事があれば、相手はそれを嬉しいと思ってくれる。というのは確認したものの、彼に向かって惚れただの好きになっただのと伝えてはいなかった。
 好意は間違いなくあるし、彼との行為は気持ちがいいし、今の状況が続いたらいいなと思う気持ちもある。ただそれを恋愛感情と呼ぶのかはよくわからなくて、というよりも多分呼ばない気がして、曖昧に濁したままだった。
 相手も、特に確かめるようなことは言ってこない。ただ、纏う気配がますます甘くなったな、とは思う。とはいえ、彼に惚れる可能性があることでの変化、というよりは、こちらの体が順調に開発されている故の変化、という気もしている。
「ぁ、ぁ、っ、んっ、ぁ」
 決して強く突かれているわけじゃない。小さな動きで優しく奥を、結腸の入り口を、何度も押し上げられているだけだ。
 それでも、お腹の奥を持ち上げられるたびに、あっあっと音の乗った息が、まるでお腹の中から押し出されてくるみたいにこぼれてしまう。
 揺らされるお腹の奥がじわっと熱くて、じんわりと痺れるような感じがして、なんだか凄くもどかしい。多分きっと、もう少しで、それらがキモチイイに転化する気がするのに。
「気持ちよくなれそ?」
「ん、んー……も、ちょっと、」
 何かが足りない。というこちらの訴えに、相手も少しばかり何かを考えた後。
「なぁ、キスでもしてみる?」
「え……?」
「やだ?」
「いや、じゃ、ない。けど、」
 なんで、今更キスなんて。と続けたいはずの言葉を吐き出すより先に、顔が寄せられ唇が塞がれてしまった。
 ちゅっちゅと啄むように軽く吸われる唇の上で小さな快感が弾けて、それがサワワと広がっていく。はぁ、と吐き出す息に熱がこもって、相手が満足げに笑う気配がした。
「口開けて、舌、出せるか?」
 言われるがまま、軽く口を開いて舌を差し出す。
「いいの?」
「ん?」
 何が、と問う前に、差し出した舌をパクリと食まれ、相手の口内で相手の舌と触れ合った。舌先を舐められ吸われ甘噛みされて、ゾクリと背筋を這い登ってくる何かを吐き出そうともっと大きく口を開ければ、差し出す舌の上をなぞるようにして、相手の舌が口内へ侵入してくる。
「んっ、んっ、ふ……ぅ、」
 思えば、される側のキス、というのは初めてだった。過去にいた彼女たちとのキスを思い返しても、相手の口内を探る真似はしたことがあるが、逆の経験はしたことがない。
 いいのかと聞かれたのは、もしかしてその事実に、気づかれていたのかも知れない。もしくは、彼に口内を探らせることを許すのか、という意味だったかも知れないけれど。
 なんせ高校時代、セックスまでするような仲だったくせに、彼とキスをしたことはなかった。求められなかったし、求めなかった。持て余す性欲の発散に、そんなものは必要がなかった。
 気持ちがいい所に相手の舌が触れて、快感に身を震わせれば、見逃すことなく重点的にその場所を責められる。口の中で感じる、という慣れない経験に必死で息を継ぐものの、だんだんと酸欠気味になって頭がぼんやり霞みだす。
 そんな中、動きを止めていたアナルビーズにまたお腹の奥を押し上げられて、何かが一気に溢れ出した。
「んぅ、んんっ、ぁは、」
 慌てるこちらに気づいたようで、顔を離した相手が心配げに見下ろしてくる。同時に、アナルビーズの動きも止めてくれたが、お腹の中が蠢いて勝手にそれを動かしてしまう。
「やぁ、あっ、待って、ぁ」
 何もされていないのに、何を待てと言うんだろう。頭の中ではわかっているのに、口からは泣き言みたいに待って待ってとこぼれ出る。
「もしかして、気持ちよく、なれてる?」
「わか、な。あ、ぁ、でも、くる、きそう、やぁ、あ、」
 大きな波に飲み込まれていきそうな恐怖に、腕を伸ばして眼の前の男の肩を掴んだ。縋るように引き寄せればそのまま体を寄せてくれて、嬉しそうな顔でちゅっと軽いキスを一つ落とした後、もぞっと背中とベッドマットの間に片腕を差し込んでくる。少しだけ背が浮いて、ギュウと抱きしめられたから、こちらもギュウと抱き返せば、なんだか酷く安心した。

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今更なのに拒めない6

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 自己開発用に購入したはずのアナルビーズを使って、まさか他人の手で開発される羽目になるなんて思わなかったけれど、絶対に無茶はしないからやらせてくれと頼まれたら拒否しきれなかった。自分でも色々調べたと言っていたし、参考になりそうな指南書やサイトを教えれば熱心に読み込んでもくれたし、腸の奥を開発する際の危険も十分に理解した上での、絶対に無茶はしないの言葉を、信じられると思ってしまった。
 そんなわけで、週末の遊びは玩具を使ったこちらの体の開発という新たな展開を見せているけれど、相手はそんな新しい遊びを相当楽しんでいる。しかも、男の恋人が居た過去がなく、この体を弄った事がある男はお前だけだ、と伝えたあれをどう捉えたのか、最中に彼が纏う雰囲気が随分と甘くなっても居た。
「ど? 痛くない?」
 結腸の入り口のとこ届いてるだろ、と迷いなく告げてくるくらいには、もう、見えもしないこの体の内側を把握されている。
「ん、へいき、っぽい」
「じゃ、ちょっとこのままにするから、違和感強くなったら言って?」
 わかったと返せば、瞳が柔らかに細められて、いい子だと褒めるみたいに優しい手付きで数度頭を撫でられた。髪を梳いていく指先が気持ちよくて、ほぅと息を吐いて目を閉じる。
 頭を撫でた手は優しい手付きのまま、体のあちこちを撫で擦っていくから、彼の手を追いかけるように、敏感になった肌の上でサワワと小さな快感が弾けていく。
「ふっ……ぁ……」
 腰の括れたところや、お尻の丸みを愛しげに何度も撫でられて、吐き出す息が甘く蕩けてしまう。当然、週末ごとにこちらの体を弄って遊んでいる相手にも、こちらの変化は丸わかりだろう。
「きもちぃ?」
「ぅん」
「中は? 痛くなってない?」
 深い場所に異物が触れ続けているという違和感はもちろんあって、それは決してまだ、気持ちがいいと感じられるようなものではないのだけれど、不快感や痛みや強い違和感に引きずられて湧き出す恐怖や不安はない。
「へ、き」
 言えば、それなら少し中も弄るよと告げられて、埋められたアナルビーズが中で小さく前後する。さすがに違和感が膨らんでいくが、優しく撫で擦ってくれる手がそのまま尻や腰を撫で続けてくれたので、待ったは掛けなかった。なのに。
 奥の壁をゆるゆると突き上げていたはずのアナルビーズが、ぬるると半分近く引き抜かれていく。
「はぁああん」
 手前のイイトコロが擦られる快感に声をあげたけれど、再度そこを擦られながら押し込まれることはなく、中途半端なところでアナルビーズは動きを止めた。
「違和感おっきくなったら、我慢してないで言えよ」
 不満げな声を出されてしまったけれど、だって気づくじゃん、と思った時点でふふっと笑いが溢れてしまう。気づかれることも、気づかれたらそれ以上の無茶はされないことも、当たり前に受け入れている。信じている。
 こんなこと、高校時代にはありえなかった。
「昔、痛いって言ったら、ペニス強く扱かれたり乳首引っ張られたりで意識散らしてはくれたけど、でも途中で止まれるかって言って、痛くてもやめてはくれなかった男と同一人物だなんて思えない」
 変わったねと言えば、だって勃たねぇしと返ってきたし、もちろんそれも原因の一端ではあるのだろうけれど。
「もし勃って俺に突っ込めてたら、痛いって言っても止めてくれないの?」
「それは……あー……まぁ、どうしたらお前が気持ちぃって喘ぐかわかってる今は、痛いなんて言わさない、つもり、だけど」
 悪かったよ、と謝られて何かと思えば、高校時代に自分本意なセックスに付き合わていたことへの謝罪らしかった。
「別に昔のお前を非難したわけじゃないって。高校の頃にこんな風に気遣われるセックスされたら、やばかったし」
「やばいって、何が?」
「アナニーに嵌まるんじゃなくて、ゲイセックスに目覚めて男漁りしてたかも?」
「おっま、そこ、俺に惚れてたかも、とかって話じゃないのかよ」
 期待させんなと続いた言葉に、あれ? と思う。
「もしかして、俺に惚れて欲しかった?」
 都合のいい穴に惚れられたら困ったんじゃないのと聞けば、多分嬉しかったよと返されてさすがに少し驚いた。その通りだと肯定されて、また悪かったよって謝罪の言葉が返ると思っていたからだ。
「あっさり抱かせてくれたけど、でも逆に、お前に俺と恋人になりたいだとかって気がないのもはっきりわかったから、都合よく性欲発散させる相手以上にはなれなかったんだろ」
「まさか、お前が俺に惚れてた?」
「いや、惚れてはなかったけど」
「そこは否定するんだ」
 そんな気配を感じたことはなかったはずなんだけどと思ったら、すぐに否定されてまた笑ってしまう。
「でもお前が俺に惚れてたら、どうなってたかわんねぇよ。まぁ、今のお前見てたら、俺じゃダメだった理由もわかるけどよ」
 あんなセックスする男相手に惚れないよなと自嘲してみせるから、そうだねと肯定を返した後。
「ねぇ、今は?」
「今って?」
「俺がお前に惚れたら、今でも、嬉しいとか思うの?」
 聞けばすぐに、思うよと柔らかな声が返された。

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雷が怖いので プレイ26

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 とても足を抱えた体勢を維持出来ない。外してしまった手を、救いを求めるみたいに彼へ向かって伸ばした。
 払われてしまうかと思った手は、けれどあっさり彼を捕まえる。身を寄せてくれた彼に必死でしがみつけば、少しばかり浮いた背中を支えるように腕を回され、ぎゅうと強く抱きしめてくれた。辛さや苦しさではなく、嬉しさで新たな涙があふれ出る。
「ったく、別のおしおき要求とは、随分えらくなったもんだ」
 呆れの交じる声は、それでももう、冷たく響いて心を突き刺してくることはない。そしてごめんなさいと告げようとした声は、またグリっと押し付けられたローターによって汚く善がる声へと変わってしまう。
「う゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛っっ」
「苦しいか?」
 かろうじて首を横に振れば、喉の奥で笑われる気配がする。体は追い詰められて苦しくてたまらないけれど、でもさっきまでに比べれば全然マシだった。彼の腕の暖かさに包まれて、彼の声を聞いて、笑う気配を感じて、心の苦しさが少しずつほどけていく。
「いい子だ。じゃあ、このままもーちょい頑張れ。おしおき、続けるからな?」
 優しい声音でほんのりと語尾を上げた問いかけに、嫌だの無理だの言えるはずもない。相手だって、拒否が返るなんて思っているはずがない。だから頷く間も強い振動は前立腺に押し当てられたままで、体はあっさりと、半ばむりやりに絶頂へ向かって駆け昇っていく。
 体にグッと力が入って、反ってしまう背中を強い腕に支えられる。玩具の振動とは別に腸内が収縮してガクガクと腰が揺れた。
「ぁああ、あ゛あ゛っ、あああ、で、るっっ」
 頭の中が白く爆ぜて、ペニスが震えて先走りよりも濃いものがドロリと吐き出されていく感覚。とうとう玩具にイカされてしまった。
 ほんの少しガッカリしたような寂しさはあるものの、彼の指に直接弄られてではなく射精できたことと、おしおきの後はいっぱい甘やかして貰えるはずだという期待混じりの安堵に包まれて、ホッと息を吐きだそうとした。
「ぁ、ぁあ、あ、なん、で」
 お尻から抜け出ていったのは彼の指だけで、ローターは依然としてそこで震え続けている。
「キツイおしおきするって言ったろ。せっかくだからこのまま、玩具だけでイケる体になろうか。他のことなんか考えてる余裕ないほど責めてあげるから、お尻で気持ち良くなることだけ考えてな」
 ブーンと鈍いモーター音を響かせながら、起動済みのローターがアナルに押し当てられた。
「っぁあ、ん」
 ゾワゾワっと一瞬にして肌を粟立てている間にも、それは振動したままゆっくりとアナルに押し込まれていく。それはすぐに腸内で震え続けるローターに接触し、お尻の中で二つのローターがカチカチとぶつかりあって暴れている。
「あっ、あっ、ぁあ、ああっ」
「次の玩具は何がいい? バイブでローターごとナカかき回してやろうか? それとも、もう二個くらいローター突っ込んでやろうか?」
 楽しそうな問いかけがどこまで本気かわからないが、想像しただけでも血の気が失せた。
「っても、自分で選べるような余裕ないよなぁ」
 結局ローターをさらに一個追加された後、プラグでお尻に栓をされてしまう。後はもう暴力的な快楽に晒されながら、彼の腕の中で身悶え続けるだけだった。
 そう。彼はずっと、キツイ快楽に暴れる体を抱きしめて、宥めるようにあちこち擦ってくれながら、頑張れとかキモチイイなとか甘やかな声を掛け続けてくれていた。いっぱい泣いたし、すぐに彼の言葉を聞き取るような余裕なんてなくなったけれど、でも宥め続けてくれているのは感じていたから、ムリだとかイヤダとかヤメテとかを口に出さずに耐えられた。ごめんなさいと繰り返すことも、許しを請うことも、しなかった。

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