金に困ってAV出演してみた29

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 彼とのキスは間違いなく気持ちが良くて、でも、快感でお尻の穴だったりお腹の中だったりが疼いて蠢いてしまうと、どうしても、かなり奥にまで到達している無機物を意識してしまう。初めての感覚に戸惑うのと、鈍い痛みにも似た感覚がやっぱり怖い。
「んぅっっ」
 そろりとお腹を撫でられれば、それだけでもビクリと腰を跳ねてしまい、お腹の中でオモチャが揺れる。結果、口を塞がれたまま、予期せぬ衝撃に呻く羽目になった。
「ああ、ごめん。驚かせちゃった」
 顔を離した相手が心配げに見下ろしてくるが、その手はゆるゆるとお腹を撫で続けているから、この後どうするつもりなのかが気になってそれどころじゃない。
「やっぱり怖い? 痛いの、我慢してたりする?」
「凄く痛い、わけじゃない、けど」
「そっか。この辺までは入ってるはずなんだけど、自分でも、わかる?」
「はうっっ」
 クッとお腹を押し込まれて、反射的に吐き出す息が引きつっている。彼の手が触れているのは見事にオモチャの先端が届く辺りで、軽く手を揺らされると、お腹の中にじわりとした熱が広がる気がした。熱というよりは、鈍い痛み、なのかもしれないけれど。
 オモチャを抜き差しされるのとは全く違う。バイブの振動やうねりとももちろん違う。経験したことのない刺激を、経験したことのない場所で感じて、一度は落ち着いたはずの気持ちがまた波立ってしまう。
「ぁ、わか、るけど、それ、やっ、やだっ。こわっ、こわ、い」
 半泣きで訴えれば、あっさりお腹に掛かっていた圧は消えたけれど、すぐにまた、ゆるゆるとお腹を撫で始める。なのでまた繰り返されるかもという不安は残るが、取り敢えずはホッと安堵の息を吐いた。
「でもいつかはここで、感じられる体にするつもり、なんだけど」
「それは、いいけど。でも、ゆっくり、やって。今日中に、とか、さすがにムリ、だよ?」
「時間かけてゆっくりやれば、本当に、ここで感じる体になっても、いいの?」
「え、うん、いいよ。だって、俺のこと、今後も手放す気はないよね?」
「ないね」
「俺を、他の男じゃ満足できないようにして安心したい、って理由なら、いいよ。出来れば、そんな体にしちゃう代わりに、一生責任持って、俺を満足させて欲しいなぁ、とは思う、けど」
「もちろん。誓うよ」
 一生責任持ってよろしく、なんて言っていいのか躊躇いはあったものの、あっさり誓われてしまって思わず笑う。頭の隅では、これはただの物語でフィクションで、だから簡単に将来を約束してしまえるんだとわかっているけれど、それでも、躊躇いなく一生好きだと宣言してもらうのは嬉しかった。
 同時にやっぱり、いいなぁ。羨ましいなぁ。とも思ってしまったのだけれど。
「ねぇ先生、先生の中に、入りたい」
「え?」
「抱いて、いい?」
「え、っと……尿道プラグはちょっと、さすがに……」
「じゃなくて! 普通に!」
 なんでこの展開で尿道プラグが出てくるのかな? と言いたそうな勢いで否定されてしまったので、ほんの少し申し訳ないとは思ったものの、だって実物がそこにあるんだもんと思ってしまうのは許して欲しい。
 どうやら、オモチャは使われるの前提で用意されるもの、という認識をしているらしい。もちろん、恋人間では使う気のないものは買わない、ってだけなんだけど。でもってこれは恋人間の話ではなくAV撮影現場で、使うかどうか不明なオモチャもあれこれ用意されているらしいんだけど。でも思考はそう簡単に切り替えられない。
「いや、生でしたいから、普通、ではないかも、だけど……」
「いいよ。やっとちゃんと抱いて貰えるの、嬉しいよ」
「先生ってさぁ……」
「うん、何?」
「どうしても手に入れたいほど好きになった相手が、先生で良かったなぁ、って思っただけ」
 本当に一生手放してあげないよ、なんて言葉、どんなに意味深で腹黒そうな笑顔とともに言われたって、嬉しいとしか思わなかった。

続きました→

 
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