金に困ってAV出演してみた30

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 テレビ画面の中、イッちゃうだとか出ちゃうだとかを煩く繰り返していた男の下腹部が痙攣して、腹の上にトロトロと白濁が広がっていく。
「ここ、ほんっと、可愛いかったよねぇ」
 テレビから流れてくる、「凄く可愛かったよ先生。大好き」の甘い声に合わせるように、隣から同じ声が似たような言葉を発してくる。
 思わず振り向けばその気配に気づいてか、相手もこちらに顔を向けた。でもその顔は、期待していたものとは違って、作品をチェックする監督の顔って感じ。
 残念だなと思ってしまったのは、どうやら顔に出たらしい。
「なんか凄く微妙な顔してるけど」
 抱かれてる時に可愛いって言われるの、嫌じゃないと思ってたんだけど。というその言葉は大きくは間違っていない。ただ正確には、可愛いって言ってくれる相手の顔とか雰囲気が、好きというか嬉しいんだと思う。
 この時だって、相手は酷く嬉しそうに笑っていたのだ。愛しいと思ってくれてるのが伝わってくるような、優しい顔で。ずっとお尻を突き出す四つ這い姿勢で弄られていたのに、抱かれる時は正常位だったし、その前段階で焦らされまくったわけでもないから、相手の様子を窺う余裕もそれなりにあった。
 そういや初めての撮影の時も、トコロテンするたびめちゃくちゃ褒めてくれたけれど、見せられた映像に、トコロテンする自分を見つめる彼の顔は映っていなかった。というよりも、そんなものは最初から撮影対象じゃないんだろう。
「微妙っていうか、残念だなって思って」
「残念って何が? もしかして映像の方の話? え、ちょっと詳しく」
「どうせなら、生徒の顔まで映しといてくれれば良かったのに、とは思ったかな」
 抱かれてる自分なんかより、自分を抱いている男の記録が欲しい。
「あー……でもさすがにあの場面で俺は邪魔でしょ」
「それは、わかってるけどさ」
「一応、この後俺がイクとこは、もうちょっと映ってるよ。俺の顔も」
 ほら、と言われて画面に目を戻せば、確かに表情がわかるレベルで、腰を振る彼の姿が映っていた。
 甘やかに好きだと繰り返しながらも、先生は俺のだよとか、もう離さないからだの、早く俺のちんこの形覚えてだの、相変わらずな執着というか独占欲をぶつけられて、嬉しさと愛しさで胸がいっぱいになった記憶が蘇る。
 画面に映る顔は、当然あの時見ていた角度とは違うのだけれど、脳内にはあの日見つづけた彼の顔も映し出されていた。そういう演技とわかっていても、あの日を思い出してなんだかドキドキしてしまう。
「なるほど。意外なとこに需要があった」
「えっ?」
「俺としては、先生が俺の言葉にいちいちウンウン頷いて、嬉しそうに笑ってる顔をもっとしっかり撮ってて欲しかったんだけど」
「そんなのより、絶対こっちがいいと思うけど」
「みたいだね。で、俺は今、自分で作ったキャラと言うか役柄に嫉妬しそうなんだけど、本当にこんな男が好みとか言う?」
「えっ?」
「そういう話をしたくて呼んだって、わかってるよね?」
「そりゃ。俺だって、そのつもりで、来たし」
 あの日の彼の告白は宙ぶらりんになっている。結局、自分たちの今後についてを話し合う機会は、今日まで持てていなかった。というよりも、彼と会うのがあの撮影以来だった。

続きました→

 
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