可愛いが好きで何が悪い52

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「あああっっ、ちょ、あっ、はげ、し」
 さっきとはまたちょっと違った、別種の怖さにさらされて、慌てて握ったペニスをしごく。
「ごめんね。さすがにもぅ、俺も、限界で」
 気配は獰猛で、そのくせ、目に映る顔はなんだか情けなく眉尻をへにょりと落としている。
「ばぁか、あ、も、お前は、可愛く笑っとけ、ってぇ」
 何それと苦笑する顔もどこか苦しげで、そんな顔が見たいわけじゃないのにと思う。
 一緒にイッてに頷いたそれは、さっき見せた、満たされてとろける彼と一緒に、ってつもりだった。ペニスを扱いて気持ちよくなっていいなら、同じくらい、満たされてとろけるような気持ちよさとともに、一緒に果てれると思ったからだ。
 相手に合わせてイクつもりが有るから、片手はそのままペニスを握って扱きながらも、もう片手を彼に向かって必死に伸ばす。すぐに前傾してくれた相手の肩を引き寄せながら、その唇を塞ぎに行った。
 触れる前から薄く開いた唇の隙間、躊躇うこと無く伸びてくる相手の舌を絡め取って強く吸う。こんながっつくキスをこちらから仕掛けたことはなかったから、相手は少し驚いたようだったけれど、でも突き放されることはなかった。
「ぅうっっ」
 痛いかもってくらいにチュウチュウ吸ったらさすがに呻かれたけど、それでも顔を離されることはなく、こちらの好きにさせてくれる。ただし、お尻の中を擦る相手のペニスの勢いは、落ちるどころかむしろ増していた。
 単に、腰を振るのに集中したい、というのを実践されてるだけなんだろうけど。だって、好きに舌を吸わせてくれるけど、こちらの口の中をその舌で弄って感じさせようとする気配はない。
「んっ、んっ、んっっ」
 相手の舌を吸うのに必死になって、かなり酸欠になっているのは感じる。頭の中がぼんやりして、勢いよく奥を突かれるとじんわりと痛いのに、痛いはずなのに、頭のどこかではその痛みが気持ちいいって思い始めている。
「っぁ、激しくても、ちゃんと、きも、ちぃ、から」
 お前はもっと安心して気持ちよくなっていい。とまでは言わず、一方的にそれだけ告げて、再度相手の口を塞いでしまう。ついでに、肩を掴んでいた手を相手の後頭部に回して抱え込んだ。だけでなく、手探りで相手の髪をひとまとめにしている髪ゴムを引っ張った。
 スルッと抜けてきた髪ゴムはそこらに放って、幾分湿ったままの相手の髪を梳いてやる。気持ち的には愛しさを込めて。だけど、状況的にそこまで優しい手付きにはなっていないだろう自覚はある。
 こちらの行動が意味不明すぎたんだろう。限界と言いながら激しく腰を振っていたはずの相手が、とうとう触れる唇も髪を梳く手も振り切って、寄せていた上体を起こしてしまう。止まってしまった訳では無いが、腰の動きも随分と緩やかになった。
「ぁ……」
 そのまま果ててしまえと思う気持ちがないわけじゃなかったから、相手の興奮を削いでしまったらしいことを少し残念に思う。けれど、困惑しながらも頬を上気させてこちらを見つめる相手の、水分量が増して潤む瞳には、胸の奥が満たされる思いがした。
 満たされて、ふっ、と笑うような息を吐く。
「一緒にイクなら、可愛いお前とが、いい」
「なに、それ」
 こちらの目的を知らせれば、相手は困惑を深くする。やはりまだ言葉が足りないらしい。
「獰猛で、雄っぽくても、お前は結局可愛い。……って、言ってやろうと思ってた」
 実際ちょっと可愛くなってると指摘してやれば、ますます狼狽えたらしい。
「ちょ、っとぉ」
 狼狽えてとうとう腰の動きが止まってしまったので、煽るようにこちらから腰を揺すって見せつけるようにペニスを扱いて見せれば、不満そうに声を上げる。でも腰を掴んで動きを止めに来たりはしなかった。
 とはいえ、こちらもまだ色々と言い足りないので、そのまま煽り続けることはしないけれど。
「も、げんかい、だろ? いつイッてもいい。けど、お前も、ちゃんと、言えよ」
「気持ちぃイッちゃうーって?」
「そう」
「言ったら、俺がイクのに合わせて、一緒にイッてくれんの?」
「まぁ、努力は、する」
「なんか、本当に出来ちゃいそうで怖いんだけど」
「自分でちんこ扱いてんだから、そう難しくもないだろ。多分」
「激しくされても、ほんとに、ちゃんと気持ちぃの?」
 さっきそう言ってたよねと確認されて、奥の方突かれるとちょっと痛いと正直に告げる。
「でもその痛いのが、気持ちぃ、みたいなのも、ある」
 正直ついでにそこまで言えば、俺たち体の相性良すぎじゃないのと、困ったみたいに笑う。そこは困るんじゃなくて喜んどけよ。
「それは喜ぶとこだろーが」
 思ったまま口から出た。
「うん。確かにそう」
「お前、俺から離れる気、ないんだろ?」
「そりゃ、俺はそのつもり、だけど」
「良かったな。俺が、お前と離れられないくらい、気持ちよくなれそぉで」
「ねぇ、俺を煽るの天才過ぎない?」
「わかったら、そろそろ観念して可愛く喘げよ」
 こっちだってそろそろ限界なんだけどと言いながら、再度腰を揺らしながらペニスを扱いて見せる。
「そこで俺に可愛く喘げって言い切るのが、ほんと、たまんないよね」
 突っ込まれてお尻気持ちくなって喘ぎまくってるのそっちなのにと指摘されても、それでこちらの訴えが翻ることなんてない。

続きました→

 
 
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