可愛いが好きで何が悪い54

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 前立腺を狙って突かれながら、自身のペニスを扱くのはたまらなく気持ちがいい。腰からとろけるみたいな甘い痺れが広がっていくのがわかる。
「んんっ、ぁっ、ああっ、い、イイっ」
「俺も、いい。すごい、気持ちぃ」
 うっとりと返される声と、快感にとろけかけた顔と、獰猛な気配。さっき髪ゴムを奪って捨てたから、顔の横から伸びた髪が雑に垂れているのが印象的だ。可愛らしさを目指して作られたゆるふわシニヨンと違って、可愛いと言うより断然色っぽかった。
 視界に映る相手に女性的な要素はなくて、むしろ晒された裸体は間違いようもなく男で、なのにこんなにも興奮が刺激される。素のままの相手に対して、ここまで色気を感じたことはなかったのに。
 その実感は、じわじわと笑いを呼び起こす。素のままの相手の容姿に対して、性的に興奮できるというのが、多分、嬉しいのだと思う。
 相手の、こちらを求める内面に触発されてだったり、肉体に与えられる快楽によって引き出されるのではなく、視覚情報から興奮しているのが新鮮だった。しかも、可愛さではなく、色気に反応している。
「ぁ、ああっ、いいなっ、これ」
「これ、って?」
 まだ明確に笑いをこぼしては居ないが、こみ上げる笑いは気づいているんだろう。また何か突拍子もない事を言い出されるのかと、若干警戒されている気配が有る。いいな、と指したものが、肉体の快楽ではないと察している。
「俺を抱くお前、ん、ふふっ、めちゃくちゃえろいな、って」
 とうとう笑いがこぼれ落ちて、相手がまた混乱しているのがわかってしまうけど。
「すげぇ、いい。から、もっと、はげしく、して」
 誘うように、ペニスを扱くスピードをさらに上げて、射精へ向けて自身の体を押し上げていく。
「もぉ〜」
 いろいろ説明不足の不満を一旦その吐息で流したようで、こちらの望み通りに素早く長めのストロークでお腹の中を擦ってくる。でもガツガツと奥まで押し込まれるような乱雑さはなくて、かなり加減はされているらしい。
 というかそれが多分相手の培ったテクニックの一つなんだろう。突かれるスピードは早いのに、柔らかに押し上げ捏ねられるとたまらなく気持ちが良かった。痛いのすら気持ちがいい、ではなく、ジクジクとした痛みのようなものは、もう、明確に快感に変わってしまった。
「あっ、アっ、アッ、いい、いくっ、ああっ、きもち、おく、も、すごっ」
「はぁ、中、うねりすぎ、でしょ。俺も、ちんちん溶けそなくらい、気持ちぃ、よ」
 一緒にイこうね、という甘ったるい誘いに必死で頷きながら、お腹の中を押し上げられるのに合わせて白濁を吐き出していく。
「あ、あ、ああっ」
「んんっ、イッちゃうっ」
 可愛く宣言しながら、相手の動きも止まって、お腹の中ではペニスがビクビクと震えている。
 脱力した体をぐったりと布団に投げ出し、荒くなった息を整えながら、満足感が凄まじいなと思う。
 短な間隔での2度目だからか、勢いも量もなさそうだけれど、快感の度合いでいけばさっきよりもずっとずっと気持ちが良かった。
「もうちょっとだけ、余韻、浸っても、いい?」
 躊躇いがちな声が上から降ってきて、どういうことかと思ったら、まだ抜きたくないんだけどとと続いた。どうやらもう暫く体を繋げたままでいたいって訴えらしい。
 まぁ、気持ちはわかる。それに、すぐに抜かなくたって男同士じゃ妊娠の心配はないもんなぁ。しくじって中に溢れたって、ちょっと腹を壊すくらいだろう。
 構わないと言う代わりに、軽く腕を広げて相手を迎え入れる姿勢を示せば、ありがとうの言葉とともにその体が落ちてくる。気を遣ってか全体重を掛けられたりはしてないが、その重みと相手の体温が心地よくもあった。
 急激な眠気に誘われて、これはまずいと思ったけれど、腕の中の熱を突き放して後始末をなんて気には到底なれない。ついでに言うと、こっちが寝落ちたら相手がなんだかんだと世話を焼いて後始末をするだろうことも、知ってしまっている。
 後でしっかりフォローするからいいよな。なんて言い訳を胸の中で呟いて、そのまま意識を手放した。

続きました→

 
 
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