「わかった。じゃあ、やだ、はイヤよイヤよもってヤツだと思うことにするから、マジに耐えられないと思ったら無理って言って」
それだけ言って、再度手を伸ばした。めちゃくちゃ気まずそうな様子に、多少強引にでも続けてしまわないと最悪中断されかねないと思ったからだ。
「うぅ、も、いろいろしんどい」
「本気で止めてって意味じゃない『やだぁ』なら、可愛いだけだから問題ないって」
「それはそれでどーな、ぁ、んっ」
「よかった。まだちゃんと気持ちぃね?」
気持ちが萎えたら、当然ペニスにだって大きく影響する。色々しんどい、とは言っていても、すぐに反応してくれる程度には、相手にもまだちゃんと熱が残っている。
「んっ、んんっ」
「気持ちぃ、って声、聞かせてくれないの?」
口を両手で塞いでしまった相手は、首を横に振って拒否を示した。やだ、と漏らした事が、それであっさり中断されたことが、そんなに気になっているんだろうか。
相手の抵抗感を気にしすぎて、惜しいことをしてしまったかも知れない。
他者に与えられる快感に戸惑って、イヤだイヤだと口走っていると考えたら、こちらとしてはむしろ興奮が増すんだけれど。自分よりもずっと年上の相手が、行為慣れしてない事実を目の当たりにして、興奮しないわけがない。
でも、あの時のやだぁは、泣きそうな声に聞こえてしまったたから。思わず手を離してしまったのも、仕方がなかったと思う。
やっぱり、先にもうちょっとトラウマ話を聞いておけばよかった。せめて、見られただけなのか、触られたのか、それで気持ちよくなったのか、辺りは、聞けるなら聞きたいと今この瞬間でさえかなり強く思っている。
何かを抱えているのはわかっているから深く問い詰める気はないが、はっきりとは教えてもらえない過去に、勝手な嫉妬と独占欲を膨らませている自覚はある。
このペニスに触れた他人が、自分だけならいいのに。
「ん、…んっ、……っ」
チラチラと窺い見てしまう相手と視線が絡む。相手は目を閉じてはおらず、扱かれるペニスの様子をしっかり見ているからだ。
潤んだ瞳と、寄せられた眉に、ただ快感をこらえているだけならいいんだけど、と思う。視線が合うと、やっぱり少し気まずそうに視線が揺れるから不安だった。
興味があって見ているわけではなく、目を閉じて何をされるかわからない恐怖から、目を開けているのではと思ってしまう気持ちがある。
嫌じゃないか、無理してないか、口に出して確かめたい。けれど、もし慣れない快感に戸惑っているだけなら、あまりこちらの不安を晒したくはなかった。
気持ちいいねと煽って、恥ずかしい音を立てて、何かしら反応するだろう相手に可愛いと繰り返したい。うんと気持ちよくなってほしいし、人の手で与えられる快楽を楽しんでほしい。
本当はどうすると気持ちがいいのか聞きながら、相手をこの手でイカせてあげたいだけだった。はずだ。でも口を覆ってしまった相手にそんな余裕はなさそうだし、もし、気持ちいいよりも何がしかのトラウマと戦っているなら、と考えてしまうと、気持ちがいいねと煽る行為も躊躇われてしまう。
手の中で固く張り詰め先走りの蜜を零しているペニスだけは、間違いなく気持ちよさそうではあるけれど。
自分のより幾分小ぶりなそれが、先端の小さな穴をクパクパと開閉させ蜜を吐き出すさまが、必死で快感を訴えているようでなんとも可愛らしい。ペニスだけに意識を向ければ、間違いなく、そのイヤラシクさに興奮する。
引き寄せられるように顔を寄せたら、あからさまに相手の腰が揺れて、意識がペニスから相手へと戻った。思わず見上げた相手は、驚きにか大きく目を見開いて、こちらを凝視している。
相手が何を考えて驚いたかはすぐにわかった。だから相手の目を見つめ返しながら、ゆっくりと舌を伸ばしてペニスの先端に触れさせる。
「ぁ、っっ」
ビクビクっとまた大きく腰が揺れたが、口元の手は外されることなく、無理だと言われることもなかった。
相手がいまどんな心情で居るのかわからないが、もし本気でもう耐えられないと思ったなら、こちらが提示した通りに、無理だと言って中断させると、信じている。
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