「口でして貰ったの、俺が初めて?」
抱きしめられて相手の顔が見えなくなったから、ちょっと聞きにくいことを聞いてみた。初めてじゃないって返されても、今なら、こっちからもギュッて抱きついて、嫉妬で荒れるだろう気持ちを宥められそうって気がしたのも大きい。
「初めてだよ。てか俺が恋人居ない歴を重ねてきた童貞って、知ってるでしょ」
「でも、ちんこ見られたのがトラウマだって言ってたから」
「確かに言ったけど、多分お前が考えたような状況とはかなり違うと思うよ?」
そういうイジリだったんだよと告げる声はサラリとしている。
「イジリ……」
「まわりゴツイのに囲まれてさ、下着ごとズボン降ろされたことがあるんだよね。で、ビビって縮んでるのを見て、小さいダサいってからかわれたりしたわけ」
「は? って、色々あったの高3の時だって言ってなかった?」
イメージ的には、せいぜい中学生までで卒業するレベルの行動に思える。
「そう。高校3年での話。信じられないのもわかるよ」
「なんでそんな目に……って、これ、聞いていい話?」
「いいよ。さっき、お前になら話しておいた方がいいかも、って言ったよね」
そう言って聞かせてくれたのは、高校で知り合い一時期はかなり仲良くつるんでいたという男の話だった。
他にも仲良くしていた友人たちが数人いたが、その男がグループのリーダー的な存在で、顔が広く人望もあったらしい。
ある日、その男がどこからか無修正のAVを入手してきて仲間内での上映会が決定し、気が進まないものの回避できずに参加することになった結果、強引に性器を露出させられ、見られる羽目になったそうだ。
「初めての無修正に、真っ先にエグいと思っちゃったんだよね。しかも内容がちょっと強引な感じで女の子泣いちゃってたしで、更にドン引きして興奮するどころじゃなかったんだけど、そんな状態になってんの俺だけだったみたいでさ。みんなエロい凄いって大興奮なの」
無修正見たことある? と聞かれて、ないと即答はしたけれど、過去に彼女が居たので、女性器を無修正どころか実際に見たことだってあるし、普通に致せた非童貞なので、自分もどちらかと言えば話に出てきた周りの男達よりかも知れない。まぁ、泣いてる女の子に興奮できるかは微妙なところだけど、イヤよイヤよもって感じだったなら、そこまで気にならない気もする。
「でさ、やっぱり最初に動くのはリーダーで、もう我慢できないって感じにナニを取り出したんだけど、それがまた驚きのデカさでさぁ。思わずガン見しちゃったらすぐに気づかれて、俺なんか見てないでお前もさっさと画面見て扱けって言うわけ。勃っても居ないのに無茶言うなって話なんだけど、いや俺はいいって言っても逃がしては貰えないよね」
すぐに欠片も興奮していない事実にも気づかれて、それで無理やり脱がされて確かめられたついでに、ペニスをあれこれ批評されたらしい。
「それで学校行けなくなった?」
「だけじゃないよ。まぁでも、それが切っ掛けなのは確かで、その件がなかったら普通に卒業できた可能性高そうだから、もし人生やり直せるなら、何がなんでもAV上映会の参加を回避すると思う」
とっくに寄せていた体は離れて、ただ隣り合って座っているだけの状態だけれど、窺う横顔は寂しそうだ。
「その後何があったかも、聞く?」
「聞かせてくれるなら」
「AV上映会で全く興奮できなかった俺はゲイ、って疑われるようになったよ。お前とこうなってる以上、実はけっこう的を得ていたのかもって思うけど、あの頃の俺にその自覚はなかったし、普通に女の子をおかずにしてたからゲイってからかわれるのもそれなりにキツかったんだけど、決定的だったのは、リーダーに呼び出されてあの規格外ペニスを握らされた時かな」
あまりのデカさに凝視してしまったのもリーダーが誤解する原因になったのか、ゲイだというからかいがいつしかゲイだという決定事項のようになって、結果、もしかして自分に気があるのではと思ったようだ。
「待って待って待って。なにそれ聞き捨てならない。それ、まさか、俺以外のちんこ気持ちよくしたことあるんだよね、って話?」
「違うって。ビビって速攻逃げたよ。さすがにあっちもこんな話2人きりじゃないと出来なかったみたいで、相手一人だったからなんとかなったって感じだけど。ただ、それでリーダーと完全に拗れたんだよね」
彼に歩み寄ろうとしたリーダーの厚意を踏みにじったから、ってことらしい。
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