親父のものだと思ってた28

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 興奮が見えたほうが安心する、などと言っていたくせに、仰向けに転がって足を開くのは恥ずかしすぎるらしい。最初は四つ這いだったけれど、あっという間に上体を支える腕が折れて枕に頭を押し付けているし、膝だってしっかり支えているとは言い難いくらい曲がってしまって、腰の位置は随分と低い。
 ただ、気持ちが良すぎて体に力が入らないなどの嬉しい現象ではなく、どうやら元ニートのおっさんの筋力なんてそんなもん、ってことらしい。
 なるほど?
 納得しきれないのは、多分それなりに気持ちよくなれてるっぽいのと、それも含めて恥ずかしくてたまらないだけなんじゃ、と思う気持ちがあるせいだ。
 一応は懸命にお尻を掲げようと頑張ってくれているのだが、中を探る指を締め付けるのに合わせて腰が揺れたり震えたりするのは、気持ちがいいと言われているような気になってしまうし、元々の体質もあるのだろうけれど、最後に海やらプールやらで肌を晒したのがもう10年以上前だという相手の背中は白くて、それがうっすらと赤く色づいている。それだけなら興奮とも思えるけれど、首の裏や耳まで赤いのは、やっぱ興奮ってより羞恥かなと思ってしまう。
 いやまぁ、興奮して赤くなってるなら、それはそれで嬉しいんだけど。
 なんて事を考えながら、差し込んだ2本の指をゆっくりと前後させる。
 自己開発した上に突っ込まれるのを試したいと言っていた相手は、当然事前に準備を済ませていて、ローションを使ってある程度解されてもいたから、最初っから指はするりと入れられた。1本から2本に増えるのは早く、実は既に3本入ることも確認済みだ。
 最初はまだ余裕を見せていた相手が、充分に広がることを確認させたがったせいで、多分、そのまま挿入という展開を狙ったのだと思う。
 1本目の指を含ませたときから、エロい凄いと素直に興奮し、早くここに挿れたい期待を口走っていたから、相手にも期待させたのかも知れない。でも自分だけが気持ちよくなるより、相手と一緒に気持ちよくなりたい気持ちのが断然大きいのだ。
 3本入った指はあっさり2本に戻して、ちゃんと気持ちよくなれるとこを探すのだと宣言してやった。そんなわけで、前立腺を探しているのだが、イマイチよくわからなかった。
 確かそんなに深い場所ではないはず。というのはわかっていても、ついつい、ぬるぬると入り込むのに合わせて指を根本まで含ませるのを止められないのが原因かも知れない。ぐっと押し込んで一旦止めた時の、指の付け根をキュムキュムと食む括約筋の動きが、なんとも卑猥で気持ちがいい。
 ペニスを入れてこんな風に締め付けられることを想像して、股間はとっくに宣言通りギンギンだ。全然見てもらえないから、時々、ほらもうこんなに興奮してるよ、だとか、興奮しすぎてちっとも萎えないと言いながら、相手の太ももに擦り付けてやる。
 そうすると、触れた太ももがわなないて埋めた指をギュウと締め付けてくるのも、期待されてるみたいで嬉しかった。早く挿れてって言われているみたいだ。
「ぁ、も、はや、く」
 それどころか、言葉でもはっきり急かされてしまう。でもその誘惑には絶対負けない。
「だーめ。言ったろ、お尻いじられてアンアン出来るまで挿れないよ。挿れて欲しいなら、気持ちいいとこ教えて。気持ちいいって時に、もっと声出してよ」
「うぅ、……や、だぁ」
 枕に頭を押し当てているから声しか聞こえないけれど、まだまだ快楽に濡れた声とは言い難い。もちろん、苦痛を堪えているような声でもないけれど。
 体の反応を見てるとそれなりに気持ちよくなれてそうなのに。それとも、お尻が揺れたり震えたり、指を食む動きは反射のようなもので、実際はやっぱりちっとも気持ちよく感じてはいないってことだろうか。
 そういやお尻の中を弄ることばっかりに熱中して、相手のペニスの状態を確かめていなかった。仰向けだったら自然と目に入っていただろうけれど、背中を向けられている上に、四つ這いが崩れてかなり腰が落ちている。
 意識して確かめなければ、簡単に目に触れる状態じゃない。

続きました→

 
 
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