獣の子3

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 ベッドの端へと腰掛けたセージは、ガイに何事か囁きかけ、掛け布団を剥ぎ、嫌がるように身をよじっていたガイをヒョイと抱きかかえる。
「んぁぁっ!!」
 思わず漏らしたのであろう悲鳴に似た吐息は、ビリーが初めて聞くガイの声だった。
「ガイ!?」
「大丈夫。近寄らないで」
 制止の声に、ビリーは踏み出していた足を元へと戻す。
 ガイを膝の上へと乗せたまま、セージは耳の付け根へと指先を当て、どうやら脈を測っているようだった。
 その間も、ガイは苦しそうに息を吐きながら、身体を小刻みに震わせている。やがて真剣な表情をビリーへと向けたセージは、困ったように苦笑した。
「重い病気ではないんだけどね……」
「わかったんですか?」
「うん、まぁ、これは医師じゃなくても経験者なら誰でもすぐに気付くような症状で……」
 告げるべきか迷うように逡巡するセージに、ビリーは勢い込んで教えてくださいと頼み込む。
「発情、してるんだよ」
「え……、って、発情!?」
 溜息と共に吐き出されたセリフの意味を理解し切れない。
「そう。猫も豹もあまり変わらないのかな、発情期まんまの症状だね。ガイの様子からすると、最初の発情なのかな。慣れた感じがまるでないし」
「や、だって、そんな……そいつ、俺より身体小さいのに?」
「猫族は元々小柄な種族だから。もしかすると、ガイの方がビリーよりお兄さんかもしれないよ?」
 知らなかった。衝撃によろめくビリーを気にすることなく、セージはガイの首輪をツイと引いた。
「この首輪、やっぱり外すことは出来ないのかな?」
「それは、どういう……」
「出来れば、僕の部屋へ連れて行きたいんだけど」
「この部屋じゃ処理してやれないのか?」
 まだ発情期のないビリーも、発情期に入ったらそれ相応の処置をするものなのだということだけは知っている。それ相応の処置、というものの中身はまだ教えられていないので、知っているのは何かをすれば良いのだということだけだけれど。
「出来なくないけど、君は出来ればまだ、知らないほうがいいと思って。普通なら、後2年は発情なんてしないはずだからね」
 猫族と豹族との間で誘発が起こるかはわからないが、視覚的な刺激からだけでも、発情時期が早まるかも知れない。そう続けたセージに、ビリーはそれでも構わないと返した。
「ガイは俺のペットだから、俺が面倒を見るんだ。発情期ごとに誰かの手を煩わせるわけにいかないし、俺が処理してやれるなら、覚えたい」
 真っ直ぐな瞳に、セージは諦めの溜息を一つ。
「わかったよ。じゃあ、取りあえずもう少し近くまでおいで」
 呼ばれて、ビリーは二人の側へと近づいた。その間に、セージはガイの纏う薄布を全て剥いでしまう。
「はぁぁん」
 セージの腕に抱かれたまま、ガイは切ない吐息を漏らしながらも嫌がるように、緩く首を振って見せた。
「処理そのものは、そんなに難しいことじゃない。ここを扱いて何度か吐き出せば、一応は落ち着くものなんだよ」
 セージはガイの股間を開かせ、その間にある小さな性器へと手を伸ばした。
「やぁぁ」
 嫌がって身じろぐガイを片腕で押さえ込んだまま、セージは躊躇うことなく、手の中のモノを握りこんで擦り立てる。
「あっ、あっ、ああんっ」
 苦しそうに眉を寄せ、堪えきれずに溢れさせる悲鳴に、ビリーはガイから目が離せない。
「大丈夫。初めてで怖いかも知れないけど、我慢しないで」
 宥めるように優しく語りかけるセージの声に、ビリー自身の鼓動も酷く乱れて加速していく。
「汚して良いから、吐き出して。ね、ガイ、良い子だから」
「うにゃぁぁああんっっ」
 ピンと背を反らして、一際高い声を上げたガイは、セージの手の中に小水とは違う何かを漏らしていた。
 喉の奥がカラカラに乾いて口の中が気持ち悪い。それでもその場を動くどころか、言葉一つ発する事が出来ない。
 ビリーは言葉も無いまま、そんなガイを見つめ続けた。
 グッタリと身体の力を抜いてしまったガイをあやすように撫でながら、セージは視線をビリーへと移す。
「今から言うことをちゃんと聞いてね、ビリー」
 セージの真剣な表情に、ビリーも意識をセージの言葉へと集中させる。
「これを君に見せたのは、君にガイの発情の処理をさせるためじゃない」
「えっ?」
「こんなことは、別に誰かの手を借りなくたって処理できるんだよ。ただ、君自身にまだ発情の経験がないのに、同じ部屋で生活する相手だけが発情する状態を、無視する事なんてできないだろう?」
 ガイが発情している間は極力近づかないこと、決して手を触れないこと。それと、発情の誘発を防ぐための薬を、一応飲んでおくこと。ガイを取り上げられたくなかったらその3点を守りなさいと、やわらかな命令口調で告げられ、ビリーはしかたなく頷いて見せた。
 発情時期が早まったって構わないから、セージの腕の中であやされ続けるガイに、自分も触れたい。
 そう言ってしまいたかったが、セージがビリーの傍へガイを置くことに難色を示しているのがはっきりとわかっていたから、ビリーにはセージの言葉に逆らう真似はできなかった。
 いくら黒毛の遺伝子を持っていたとしてもビリーはまだ何の権限も持たない子供で、専属医師であるセージが不適切と告げれば、ガイは本当に取り上げられてしまうだろう。ほんの気まぐれで与えたのだとしか思えないから、あの父がそれを止めてくれるとは考えにくい。むしろ、そんな事態になったら、ペットの世話一つできないと思われ、呆れられるかも知れない。
「ガイ、落ち着いたなら、次は自分でしてごらん。まだ、全然足りてないでしょう?」
 くったりとセージに寄りかかったままのガイは、導かれるまま、小さな手で自分自身の性器を包みこむ。
「ビリーはどうする? 見るなとまでは言わないけど、この様子じゃまだ暫く掛かると思うし、眠るなら僕の部屋のベッドを使うといい」
「見てます」
 間髪いれずにそう返したビリーに、セージは諦めたように小さな溜息を一つ吐き出し、仕方がないねと苦笑した。
「立ったままじゃ疲れるでしょう。見るなら向こうのソファへ座ってなさい」
 このまま近くで見ていたい気持ちをどうにか押さえ、ビリーは言われた通りにソファへ向かった。
 腰を下ろして目を凝らせば、ガイは先ほどセージがしたように、握った手を上下させている。恐々と動かす手は随分とゆっくりだったけれど、それでも頬は上気し、息はますます乱れていく。
「いいこだね、ガイ。そう、そのまま気持ち良いと思うことを、自分で好きにやってごらん」
「あ、あっ、はぁん」
 先ほどの行為がガイにどんな衝撃をもたらしたのかはわからないが、セージに対しては随分従順で、もう嫌がるような様子はほとんどみられない。
 セージの甘い響きに、ガイの切ない喘ぎが応じて行くのを、ビリーは唇を噛みしめながらジッと見つめていた。

< 未完 >

 
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