生きる喜びおすそ分け14

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 違う違うと何度も繰り返したせいか、苦笑とともに何が違うか説明できるかと問われて、たどたどしくも不満や否定の意思はないと伝える。キモチイイに集中しきれない理由として、自分がセックスをねだったせいで、男は性対象外だった彼にこんな形で頑張らせているという、後ろめたい気持ちも伝えてみた。
「俺を恋人って形で傍に置いておきたいって理由なのも、恋人としての義務感で抱いてくれるのも、わかっててそれでいいって、思ってたんですけど。でもいくら性対象として認識されたからって、やっぱ男の体触っても楽しくはないだろうなって思ったら、なんか嬉しいとか気持ちぃとかより、申し訳ない気がしてきちゃって。俺が楽しむことが重要なの、わかってるけどどうしても余計なこと考えちゃうから、もし、俺がうんと楽しんだら、あなたも嬉しかったり楽しかったりするよって言って貰えたら、なんていうか、俺自身が張り切って、もっとちゃんと気持ちよくなろうとするんじゃないか、って思っちゃった、だけです」
「なるほどね。どうしたら楽しんで貰えるかっていう俺の言葉に、ちゃんと答えを返してくれてたってだけの話か」
 うーん、と少しだけ迷う様子を見せた後、一つ言っておくけどと前置いて彼が言葉を続けていく。
「男の子の体に性的な意味を持って触るのは初めてだから、全く楽しんでいないわけでもないというか、色々と興味深いと思う気持ちはあるんだよね。君の体、反応いいし。だから男の体なんか抱かせて、みたいな申し訳無さは必要ない。ただこれ、君に触れることが楽しいとか嬉しいとかって気持ちとはどうしたって違うから、言わないほうがいいだろうって思ってた」
「あの、今まで男の恋人がいた事も、男とセックスした事も、なかったんですよね?」
 思わず聞いてしまったのは、男の体に触れることそのものを多少なりとも楽しんでいる、なんて言われるとはまったく思っていなかったせいだ。
「そうだね」
「それって、本来は男なんて恋愛対象にならないとか、性対象にならないとか、そういう理由からなんじゃ……?」
「あぁ、いや。別にそこまで、男はない、みたいな気持ちは元々無いよ。じゃなきゃ、あっさり君と、最初はデートするだけのつもりだったとしても、恋人になんてなってない」
 確かに、お互い酔っていたとはいえ、随分とあっさり付き合うことになったとは思っていたけれど。でも男がないというよりは、一緒にどこかへ出かけるだけならそれの名称がデートだろうと気にしないってだけかと思っていた。だからあの日のラブホだって、断られる前提で連れ込んだ。
「じゃあなんで、俺が初めてなんですか」
「なんで、って……付き合ってみるのはどうかなんて言い出したのも、告白されたのも、君が人生で初めての男性だから、だけど」
「もしかして、過去の彼女たちも、告白されたら付き合うみたいな感じだったとか?」
「まぁ割と」
「自分から告白したこと、あります?」
「そりゃあなくはないけど、自分から好きになってというのはない、かな。好かれてるなって確信持ってて、こっちが動くの待たれてると思ったら、まぁ告白くらいするよね」
 とことん受け身な人生ですねと苦笑してしまえば、相手もそうだよと言いながらやっぱり苦笑している。
「でね、肝心の、君が楽しんだら俺も楽しいか、って話だけど」
「あ、はい」
「全く楽しくも嬉しくもない、なんてことはさすがに思わないけどさ」
 あ、これ否定がくるのか、と思ってしまって胸が痛い。そしてどうやらそれは顔に出てしまったらしく、そんな顔しないでと優しく頬を撫でられてしまった。

続きました→

 
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