生きる喜びおすそ分け24

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 これを器用で済ませていいのか、悩むレベルに上手いと思う。
「き、器用貧乏にしたって、う、うますぎ、じゃない、ですか」
「それ、褒められてるの?」
「え、多分……」
「でもこっからだよ?」
「こっから、って?」
「張り切って気持ちよくしてあげる、って言ったのを、実感して貰うのは」
 大丈夫そうだから動くねと宣言された後、ゆっくりとペニスが引き抜かれていく。その感覚にぞわわと肌を粟立たせながら、視線はやはりまた股間に向かってしまう。
「ふぁ……ぁ……」
 こちらに見せつけるみたいに、先程よりも幅の広い長めのストロークで、ゆるゆるとペニスが出入りしている。それを、自身の体でも実感している。お尻の中を彼のペニスで擦られている、という事を、目で見ることでよりリアルに感じ取っている。
 それは完全にこちらの興奮を煽るのが目的だったようで、馴染ませるように、焦らすように、ゆっくりとナカを擦られて、じわじわと膨らんだ気持ちよさに身を委ねるように目を閉じてしまえば、それを待っていたとでも言うように抱え上げられていた腰が下ろされた。
 しっかりと支えられていたので、かなり高く腰を持ち上げられる体勢を取らされてもそこまで苦しくはなかったが、それでも、腰とお尻とがしっかりベッドや差し込まれた枕と触れた安心感にほっと息を吐く。ただやっぱり、ちょっと目を閉じた程度で下ろされてしまったのが少し残念だった。イヤラシく出入りするペニスを、もっと見ていたかった。
 だから多分、未練や不満を含む目を向けてしまったんだろう。そんな目を向けるなとでも言うみたいに、伸びてきた手に目元を覆われてしまった。
「少し、目、閉じてようか。目、閉じながら、おちんちんがお尻に出入りしてたの思い出して。そして今、どうされてるかを想像して?」
 お尻で感じるでしょ、わかるでしょ、と言われながら、何度かペニスを前後される。言われた通りに目を閉じて、わかると頷いて見せれば目元を覆う手は外された。
 そのまま目を閉じて、お尻を出入りしているペニスに意識を集中する。ぬるぬるとお尻の穴を前後するペニスを想像する。
「ぁ、……ぁあ……」
 蕩けるみたいに呆けた声を漏らしているのがわかる。たまらなく気持ちが良かった。
「ん、ぁっ、きも、ちぃ……」
「うん。気持ちよさそ。良かった」
 とろとろだねと言われて素直に頷いてしまえば、可愛いよと笑われる気配がする。思わず閉じていた目を開けて確認してしまえば、気配とは裏腹に真面目な顔が真剣にこちらを見下ろしていた。じっと観察されるような目には、やっぱりほとんど熱量を感じない。場合によっては、怖いとすら感じそうな目をしていると思う。
 ただ、今また可愛いと言ってくれたことを思えば、余裕がないと言いながらも、なるべくこちらの要望を叶えてくれようとする意思はかなりありそうだ。纏う雰囲気や視線からは、それらが全く伝わってこないと言うだけで。
「ふへへっ」
 ちゃんと頑張ってくれてる、と思ったら笑ってしまった。どこまで感じられるかわからないなと思っていた、張り切っての部分を、少しでもちゃんと感じられて嬉しかった。
 ついでに言うと、こんなに相手を気持ちよくするセックスが出来るのに、ムードやらを作るのは下手なのかもと思ってしまった事が可笑しかった、というのもある。
 これで甘やかな雰囲気まで上手に作れてしまうようなら、愛されているとか想われているとかを実感させてくれるセックスをされたなら、たとえ実践してくれるのが半年に一回だって、手放したくないって女の子はいそうだとも思うから、むしろこれで良かったような気さえする。というかだんだんと、これはもう良かったとしか言いようがないんじゃないか、とすら思い始める。

続きました→

 
 
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