自己開発用に購入したはずのアナルビーズを使って、まさか他人の手で開発される羽目になるなんて思わなかったけれど、絶対に無茶はしないからやらせてくれと頼まれたら拒否しきれなかった。自分でも色々調べたと言っていたし、参考になりそうな指南書やサイトを教えれば熱心に読み込んでもくれたし、腸の奥を開発する際の危険も十分に理解した上での、絶対に無茶はしないの言葉を、信じられると思ってしまった。
そんなわけで、週末の遊びは玩具を使ったこちらの体の開発という新たな展開を見せているけれど、相手はそんな新しい遊びを相当楽しんでいる。しかも、男の恋人が居た過去がなく、この体を弄った事がある男はお前だけだ、と伝えたあれをどう捉えたのか、最中に彼が纏う雰囲気が随分と甘くなっても居た。
「ど? 痛くない?」
結腸の入り口のとこ届いてるだろ、と迷いなく告げてくるくらいには、もう、見えもしないこの体の内側を把握されている。
「ん、へいき、っぽい」
「じゃ、ちょっとこのままにするから、違和感強くなったら言って?」
わかったと返せば、瞳が柔らかに細められて、いい子だと褒めるみたいに優しい手付きで数度頭を撫でられた。髪を梳いていく指先が気持ちよくて、ほぅと息を吐いて目を閉じる。
頭を撫でた手は優しい手付きのまま、体のあちこちを撫で擦っていくから、彼の手を追いかけるように、敏感になった肌の上でサワワと小さな快感が弾けていく。
「ふっ……ぁ……」
腰の括れたところや、お尻の丸みを愛しげに何度も撫でられて、吐き出す息が甘く蕩けてしまう。当然、週末ごとにこちらの体を弄って遊んでいる相手にも、こちらの変化は丸わかりだろう。
「きもちぃ?」
「ぅん」
「中は? 痛くなってない?」
深い場所に異物が触れ続けているという違和感はもちろんあって、それは決してまだ、気持ちがいいと感じられるようなものではないのだけれど、不快感や痛みや強い違和感に引きずられて湧き出す恐怖や不安はない。
「へ、き」
言えば、それなら少し中も弄るよと告げられて、埋められたアナルビーズが中で小さく前後する。さすがに違和感が膨らんでいくが、優しく撫で擦ってくれる手がそのまま尻や腰を撫で続けてくれたので、待ったは掛けなかった。なのに。
奥の壁をゆるゆると突き上げていたはずのアナルビーズが、ぬるると半分近く引き抜かれていく。
「はぁああん」
手前のイイトコロが擦られる快感に声をあげたけれど、再度そこを擦られながら押し込まれることはなく、中途半端なところでアナルビーズは動きを止めた。
「違和感おっきくなったら、我慢してないで言えよ」
不満げな声を出されてしまったけれど、だって気づくじゃん、と思った時点でふふっと笑いが溢れてしまう。気づかれることも、気づかれたらそれ以上の無茶はされないことも、当たり前に受け入れている。信じている。
こんなこと、高校時代にはありえなかった。
「昔、痛いって言ったら、ペニス強く扱かれたり乳首引っ張られたりで意識散らしてはくれたけど、でも途中で止まれるかって言って、痛くてもやめてはくれなかった男と同一人物だなんて思えない」
変わったねと言えば、だって勃たねぇしと返ってきたし、もちろんそれも原因の一端ではあるのだろうけれど。
「もし勃って俺に突っ込めてたら、痛いって言っても止めてくれないの?」
「それは……あー……まぁ、どうしたらお前が気持ちぃって喘ぐかわかってる今は、痛いなんて言わさない、つもり、だけど」
悪かったよ、と謝られて何かと思えば、高校時代に自分本意なセックスに付き合わていたことへの謝罪らしかった。
「別に昔のお前を非難したわけじゃないって。高校の頃にこんな風に気遣われるセックスされたら、やばかったし」
「やばいって、何が?」
「アナニーに嵌まるんじゃなくて、ゲイセックスに目覚めて男漁りしてたかも?」
「おっま、そこ、俺に惚れてたかも、とかって話じゃないのかよ」
期待させんなと続いた言葉に、あれ? と思う。
「もしかして、俺に惚れて欲しかった?」
都合のいい穴に惚れられたら困ったんじゃないのと聞けば、多分嬉しかったよと返されてさすがに少し驚いた。その通りだと肯定されて、また悪かったよって謝罪の言葉が返ると思っていたからだ。
「あっさり抱かせてくれたけど、でも逆に、お前に俺と恋人になりたいだとかって気がないのもはっきりわかったから、都合よく性欲発散させる相手以上にはなれなかったんだろ」
「まさか、お前が俺に惚れてた?」
「いや、惚れてはなかったけど」
「そこは否定するんだ」
そんな気配を感じたことはなかったはずなんだけどと思ったら、すぐに否定されてまた笑ってしまう。
「でもお前が俺に惚れてたら、どうなってたかわんねぇよ。まぁ、今のお前見てたら、俺じゃダメだった理由もわかるけどよ」
あんなセックスする男相手に惚れないよなと自嘲してみせるから、そうだねと肯定を返した後。
「ねぇ、今は?」
「今って?」
「俺がお前に惚れたら、今でも、嬉しいとか思うの?」
聞けばすぐに、思うよと柔らかな声が返された。
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