親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった5

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 忘れてしまえと言われてなかったコトにできるほど、あれはぬるい記憶じゃない。
 もう一度したいと口にしたら相手は少し困った様子で、後腐れなく1回だけだというから出来る限り優しくしたのだと言った。繰り返したらいつまで自制がきくかわからないぞというそれは半分脅しで、半分は本気だっただろう。
 最初から抱かれる覚悟で彼の誘いに乗ったのだから、別に構わないと思った。充分楽しんだとは言われたが、彼自身はなんら気持の良い行為ではなかったはずだから、一緒に気持ちよくなれるのならそちらの方が良いとさえ思う。
 正直にそう言ったら、お前は言葉と実際の反応がアンバランスだからとますます困った様子で言われたが、結局、アイツの事を忘れたいというセリフによって関係はその後も定期的に続いている。
 彼に触れられている間は、親友への想いをあれこれ考えなくて済む。気持ちの良さにどうでもよくなってしまう。だからもっと触れて欲しい。あの日みたいに気持ちよくなりたい。そう言って誘えば、嫌だとは言われなかった。
 ただし、そこに嘘はないけれど、それが全てでもなかった。
 親友のことがなくても、もっと彼に触れられたいという欲求。初めて知った人肌と、他者によって与えられる快楽の虜だった。自慰ではあの気持ちよさに遠く及ばない。しかも、さらにその先が見えている。きっともっと気持ちよくなれる。
 体の示す欲望にあっさり負けた結果だ。大好きで大好きで、けれど本気を伝えられずに苦しむような想いを捨てて、一時的にでも優しく甘やかしてくれる手に溺れる方がましだとさえ考えていた。
 モノシラズでアサハカだった。
 お互いに気持ちよければイーブンだと本気で思っていたくらいに、抱かれるという事の重大さが、まるでわかっていなかったのだ。自分の体の中に男を受け入れ、その男に快楽を刻まれるという行為をナメていた。
 重ねる行為に情が湧くものだなんて知らなかったし、好きだという気持ちから始めなかった関係は、結局また自分を苦しめるのだとも知らなかった。気づいた時にはもう、後戻りなんて出来ないところへ踏み込んだ後だった。
 彼はひたすらに優しいし、多分それなりに好かれてもいるだろう。けれどやはり、代わりでしかないのだ。想いを伝えられない親友の代わりとしてそこにいる。そのスタンスだけは始めから一貫していて揺るがない。
 それがはっきりとわかるから、こちらも正直な気持ちは晒せなかった。晒してもどうせ困らせるだけだし、こんな関係にあるから勘違いするのだと言って、終わりにされそうな気さえする。それだけは嫌だった。
 結果、もうほとんど心揺れることのなくなった親友を、未だ想い続けるふりをしている。
 バカで愚かで、本当にどうしようもない。心も体もはっきりと変わっていくのに、自分たちの関係がほとんど変わっていかないことが苦しかった。
 いつまで自制がきくかわからないと言いつつも、彼は辛抱強くゆっくりとその場所を彼を受け入れるための性器に変えたから、そんな場所を弄られてさえたまらなく気持ちがいい。
「あっ、…あっ、……ぁんっ…、やっ…、やぁ、…」
 ローションの助けを借りて、ぬちゃりくちゃりと押し広げるように出入りする指先に、既に知った悦びをじわりじわりと引き出されていく。もどかしくて、けれど期待に体はますます熱を持ち、その先に待ち受けている強烈な悦楽を想像してしまって怖くなる。
「やめるか?」
 やめて欲しくてこぼれているわけではないとわかっていながら、そんな風に言うのは意地が悪いと思う。イヤではなくイイと言って欲しいと言われながら、やだやだ繰り返してしまうこちらが悪いこともわかってはいたけれど。
「や、っ…ちがっ」
「気持ちがいいならいいんだ」
 必死で頷けば、柔らかに笑う気配がした。
「入ってもいいだろうか」
 それにも必死で頷けば、埋められていた指が抜かれて、すぐさま代わりに彼の熱が押し入ってくる。
「ふぁああぁぁっんんっ、んぁっ、ぁああっっ」
 彼の熱で弱い場所を擦られるとたまらない。
 気持ちが良くて、気持ちが良い以外の何も考えられなくなるのに、なんだか酷く息苦しい。ひたすら気持ちが良くて、胸の内が甘い優しさで満たされていくのに、胸の底の奥のほうがシクシクと痛い。
 突かれるたびに、あッ、アッとこぼれる高い声を自分のものと認識できない。なのに、突き上げられて揺すられてこぼれ落ちていく涙が頬を伝う冷たさだけは、いやにリアルに感じてしまう。
 それを、生理的にあふれる涙なのだと、いつまでごまかせるだろうか。

続きました→

 
 
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