別れた男の弟が気になって仕方がない9

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 嫌悪されていると感じたらすぐにでも止めるつもりで始めたお試しのキスだったけれど、触れて感じたのは相手の必死さと拙さと、途中からは戸惑い。そして最終的には、こちらが思っていたほどの拒絶感はないらしいという安堵だ。
 最初必死にこちらのキスに応じようとしていたのは、きっと紹介した男に、キスした後でやっぱり抱けないと言われたせいなんだろう。希望通りきっちり抱いてやると宣言済みなのに。それでも、このチャンスを逃したくないのだという強い意志は伝わってきたから、無駄ではなかったかもしれないけれど。
 ただ、このキスの本来の目的はそれじゃない。だから途中で、焦らなくていいし、応じようなんて考える必要もない。それよりも自分自身の気持ちと向き合って、気持ち悪く感じないか、気持ちよくなれそうかの判断をするためのキスだよと教えた。
 言えば応じることを止めてされるがままキスを受けてくれたから、なんだかんだ素直な所も多いと思うし、もちろんそれを可愛いと感じてもいる。
 教えてから暫くは強い戸惑いを感じもしたけれど、嫌がる素振りはなかったのでそのままゆったりと相手の口内の性感を探り続ければ、やがて甘い息がこぼれだした。何度か甘えるように鼻を鳴らされ、さすがにお試しならもう十分判断が付いただろうと顔を離せば、相手はキスに没頭していたとわかるうっとり顔を、すぐさま呆然としたものへ変えた。相手自身、嫌悪感や拒絶感がもっとあるものと思っていたのかもしれない。
「キスは大丈夫そうだけど、どうしようか。このまま始めてもいいんだけど、それも何か、キスでお前の思考奪って頷かせてるみたいな感じあるしなぁ」
 自分相手でもちゃんと感じて貰えそうだという嬉しさから、少し頑張り過ぎてしまったのかもしれない。
「ちょっと落ち着くまで一人にしてあげようか? 少し休憩しながら、他にNG行為がないか考える?」
 休憩を挟んだって、こちらの気持ちが変わってやっぱり抱かないなんて事は言い出さないから安心していいとも付け加えたが、相手は小さく首を横に振ってこのまま始めて下さいと言った。声は僅かに震えていたし、呆然としていた顔はなぜか泣きそうになっている。
「本当に? 始めちゃったら俺がお前を抱くか、お前が俺に抱かれるのを諦めてストップワード口にするまで、終わらないよ? 何度も言ってるけど、本当に、焦る必要は一切ないんだからな?」
 確認の言葉にもわかってますとはっきりとした肯定が返って、腰あたりのバスローブが引っ張られるような感じがした。視線を落とせば、腰の脇部分をギュッと相手の拳が握りしめている。逃さないというようにも見えたし、行かないでくれと縋られているようにも見えた。
「わかった。じゃあ、今からお前を抱くよ」
 頷いて下がった顎を掬い上げるようにしながら唇を塞ぐ。先程のキスと変わらない手順で軽く何度か触れ合わせた後、徐々に深いものへと変えていく。けれどこれはもうお試しじゃない。
「お試しのキスはもう終わったよ。無理はしなくてもいいけど、でももし嫌じゃなければ、さっきみたいにお前も応じて?」
 やはり言われた通り素直に応じ始めた相手の舌を、慰撫するように何度か舌先で撫でたあと、絡め取って吸い上げた。

続きました→

 
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