別れた男の弟が気になって仕方がない35

1話戻る→   目次へ→

 結局その目論見は失敗したけど、多分それで良かったんだと思うと言った相手は、ありがとうございますと続けた。更には、初めての相手があなたで良かったとも続ける。
「でもさっき、俺に抱かれたの失敗だったって言ってなかった?」
「失敗したって思ってますよ。なんでこんな事になってんだろって、凄く思ってるし。でもだからって、あなたが教えてくれた色々が帳消しになるわけじゃないですよね。あなたで良かったと思う気持ちも、ちゃんとあります」
 やっぱりまだ子供だなと思うことも多いのに、こうして静かに言葉を重ねる姿は、見た目相応に大人びて感じてしまう。
「そう言って貰えると、少し安心するな。というか、保護者気取りの余計なお節介が、少しでもお前に響いてたなら良かった」
「まぁ、保護者気取るなら保護者のまま終えてればよかったのに、とは思ってますけど」
「お前が俺の名前呼んで好きって言っても、初めてのセックスに気持ち引きずられちゃったなーって流せば良かったって?」
「そういう風には、考えなかったんですか? 気持ちよくセックスしたら、なんだかんだ情が湧くもんだって、そうあなたに言われたら信じてたと思うし、正直、そう言って欲しかったのかも知れないんですけど」
「ビックリしすぎたのと、お前が本当に俺を好きって言ってるのかもと思ったら、それどころじゃなかった。というか、そもそも保護者意識からお前抱いてやったわけじゃないんだけど、そこわかってる?」
 違うんですかというから、違うよと返した。でもそう思われてても仕方がないとも思う。
「誰でもいいから抱いてほしいなんて無茶する子供を放って置けないってのはもちろんあったし、お前が危ない橋を平気で渡って行かないようにとアレコレ話した上に一部実践までしちゃったけど、誰でもいいなら俺でいいよなって思ったのは、お前の中に、人に言えない隠しておきたい想いがあると思ったからだよ」
 性癖教えたろと言えば、思い当たることがあったようで納得顔で頷いている。
「兄の本命を、俺も好きなんだと思ってた、ってやつですか」
「そう。お前頑なに、誰でもいいからすぐにでも抱いてほしい理由、言わなかったからな。好きだった相手と実の兄貴が付き合い始めて、自棄になってるせいかなとか考えてた。そういうの、一時的な慰めってわかってても、優しく甘やかしてやりたくなる」
「ホント、難儀な性癖ですね」
 言われなくてもわかってるとは言わず、苦笑だけ返しておいた。
「ああ、でも、それで思い出した。お前、俺に抱かれたせいで俺を好きになったっての、嘘だろう」
「どういう意味ですか?」
「抱かれる前から好きって思ってたろって意味だけど」
「なんでそう思うんですか?」
「キスする前から、端々に、好きな相手がいるって態度漏れてたから。それどころか、兄貴絡みで片想いしてるってバレバレなことも言ってた、はず」
 だからこそ、まさか自分が対象とは思わず、兄の本命を彼もまた好きだったのだろうと、素直に思い込んでしまった。
「あー……まぁ、これからあなたに抱かれるって決まった時から、あなたを好きになるのわかりきってましたしね。逃れようもなく好きになる相手に、目の前で感染症予防のレクチャーされるとか、あの人の弟だから心配して抱いてくれるんだって思い知らされる感じで、なんかちょっと切なくはなりましたよね」
 責めるような口調ではなかったが、それでもやはり申し訳無さで胸が痛い。今更どうしようもないし、彼の気持ちを知った状態でやり直すことなんて出来はしないのだけど。
「そういやなんで俺に抱かれる気になった? 誰でもいいなら俺でもいいだろ、とは言ったけど、俺じゃない誰かが良かったんだろう?」
 考えてみたらあなたが適任ってわかったからと言っていたような気がするが、それはどういう意味だったんだろう?

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です