理解できない45

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 考えがまとまらないのか、気持ちが決まらないのか、なかなか次の言葉がない。
「準備、しないほうがいい?」
「それを聞くってことは、準備してきたから抱いて、ってする気はないんだよな?」
 とうとう待ちきれずに聞いてしまえば、確かめるようにそんなことを聞かれてしまった。もちろん、抱きたいと思ってくれている、という前提が必要なことはもう理解していたから、準備してって彼に言われるまでは勝手に進める気はない。
「それは、ない」
「なぁ、それって、どういう気持ちから?」
「どういう、って?」
 またわけがわからない質問が飛んできて、戸惑いながらも聞き返せば、気持ちを確認させてという話だと言われた。
「つまり、俺が求めなきゃしたいとは思ってない、ってことでいいんだよな?」
「まぁ、そうだね」
「それなら、俺が抱きたいとか言い出さないほうが良いよな?」
「なんで!?」
「いやだから、どうしてもしたいってわけじゃないなら、抱きたいとか言われないほうが、お前にとっては都合がいいはずだろ? ってのを確認したかったんだけど……」
 まぁでもわかったわ、と納得顔が近づいてくる。チュッと軽い音を立ててキスをされた後、そのまま少し横にずれた顔が更に近づいて、というよりも口元が耳に寄せられる。
「じゃあ、ちょっと一緒に暮らしてみようか」
「はぁあ?」
 全く想定外の言葉が耳に吹き込まれて、盛大に声を上げてしまった。顔を離した相手は、何やら楽しげに笑っているが、こっちは訳がわからなすぎて呆然と見ているしか無い。そんなこちらの反応さえも、相手はきっと楽しんでいる。だから頬を膨らませた所で、これもまた笑われるだけなんだろうけれど。
「ちょっと、意味分かんないんだけど!」
「うん、ごめん」
「ごめんじゃなくて! ってか今の、絶対、抱きたいから準備してきて、って言われる場面じゃないの?」
 そうだ。今度こそ絶対、じゃあ抱かせてって言って貰えると思ったのに。
「そうなんだけどさ。準備してきて、って言うより、準備手伝わせて、って方が良いかと思って」
「は?」
「抱かれる前の食事制限はともかく、お尻を慣らして広げるのは俺でも手伝えるだろ。週末会える時だけ使って慣らしてく、ってのでも良いけど、そうすると結局、お前が平日に自分で慣らしちゃう気がするし」
 実家よりここのが気を遣わずに慣らせるだろと言われて、まぁそれは確実にその通りだと思ってしまった結果、暫くは彼の家に住むことが決定していた。
 と言っても引っ越しみたいな大仰な話ではなく、当座必要な服やらを抱えて転がり込んだだけに過ぎない。一人暮らしとしてはそれなりに余裕がある広さかも知れないが、一緒に暮らそうか、なんて言われたって、私物を全て運び込めるほどの広さまではない、というのも大きかった。
 それと、どうやら一人暮らしの練習も兼ねているらしい。というよりも、それが彼の家に暫く住む理由として、おじさんたちに告げられている。
 もちろん、その言葉通り、家事はしっかりとやらされていた。とはいえ、料理経験がなかったの同様に、自室の片付けや掃除以外の家事的な事を殆どしたことがなかったから、やはり料理同様、教わりながら一緒にやっているし、それが楽しくもあるのだけれど。

続きました→

 
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