雷が怖いので プレイ18

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 翌週土曜の同じ時間、四度目となるバイトは玄関先で幾ら稼ぐかとか何をするかとかの話は一切なく、そのまま防音室に通された。今日何をするかは、前回のバイト終わりに決められている。
 あの日の終わり、彼は最初、次週は休みにしようかと言った。一月に稼ぎたいと言った額を既にかなり超えているからというのが理由だった。
 少なくとも四万は渡されるはずだったから、確かに前二回と合わせて余裕で八万を超えている。しかも実際のところ、帰宅後確かめた封筒の中身は四万どころか六万も入っていたから、初回以上に驚いた。やっぱり詳細を聞いて来ればよかったかもと一瞬思ったけれど、多分きっと泣きまくったせいってことにして、深く考えることはしなかった。いやだって、オナニー頑張ったから一万円とか、おもらしできたから一万円とか、そんな羅列絶対聞きたくない。
 稼げるだけ稼ぐつもりなら次週もおいでと言われて、だったらエッチなことなしのバイトがしたいと言ったのは自分だ。今後もバイトを続けさせてくれるなら、毎回毎回頑張ってガッツリ稼ぐ必要は確かにない。だから最初のお試しみたいに、ただただ立ってるだけの時給千五百円と、後はちょっと軽くキスするくらいのバイトがしたい。
 そう言ったら、少し考えた後で、彼はじゃあそれでと了承を返してきた。だから今日は、初心に帰ってただただ立っているだけの仕事をするのだ。
「一応言うが、裸になったら時給上乗せ五百円。部屋を出れない程度の長めの鎖付き首輪を付けさせるなら上乗せ五百円。壁の手錠に繋がれるなら上乗せ千円。つまり、裸で壁に繋がれるなら時給三千円までアップ可能だけど、どうする?」
「しません」
「だよな。じゃ、いつものとこ立って」
 はいと頷き立ち慣れた壁際へ向かう。そこにはいつもはないものが置かれていた。
 初めて見るものじゃない。それは初めてこの部屋に入った日、自分に向けられていたビデオカメラだった。
「あの、録画するなんて、聞いてないんですけど」
「これは俺の目の代わり」
「え?」
「お前が消せってなら、後でちゃんとお前の目の前で動画は削除してやるから」
「じゃなくて、目の代わり、って……?」
「さすがに立ってるだけのお前見ててもな。お前が受け入れるのわかってるし、手、出したくなるだろ」
「俺を、ここに、置いてくの?」
「そう。プレ放置プレイと思ってくれてもいい」
 すんなり肯定されて、途端に不安になって気持ちが揺れる。一人で過ごすことなんて、全く想定していなかった。
「禁止事項は座ることと、五分以上カメラの前から姿を消すことだけ。携帯は俺が預かっとく。トイレは使っていい。今日のバイトはもう終わりにしたいって思ったら、このカメラ持ってリビングおいで。中確認して、給料精算しよう。お前が俺を楽しませてくれる何かをしてたら上乗せするけど、たった二つの禁止事項も守れてないようなら減給もしくはおしおきな」
 何か質問はと聞かれて何も答えられずにいれば、質問はないものと処理されたらしい。
「じゃあ携帯出して。別に弄る気ないけど、気になるならロック掛けてから渡して」
 差し出された手の上に黙って携帯を乗せれば、それはするりと彼のポケットの中へと消えていく。甘やかな声がいい子だと言ってくれることはなくて、やはり気持ちがゆらゆらと揺れた。
「いい顔だな」
「えっ……?」
 携帯の消えたポケットを見つめていた視線を慌てて彼へと向ければ、少し意地の悪そうな笑みを口元にたたえている。その顔に、なぜかホッとしてしまうのが不思議だった。この不安は、彼が意図して抱かせているのだと、そう思えるからかもしれない。
「カメラがあるとか無いとか以上に、最初のお試しと、今日のこれが全くの別物だって、この後、お前が思い知ればいいなと思ってるんだけど、その顔見る限りは期待できそう。だから、まぁ、楽しみに待ってるからあんま頑張るなよ」
 頑張れではなく、頑張るなって聞こえたけれど、聞き間違えだろうか?
「頑張れじゃなくて?」
 思わず聞き返した問いに返る言葉はなく、意味深な笑みとまた後での言葉を残して、彼はあっさり部屋を出ていった。

続きました→

 
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