雷が怖いので プレイ2

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 口を開くと同時に、どうやら期待から舌を突き出していたらしい。甘やかに優しい顔を引っ込めて、楽しげにニヤついた相手の顔が眼前に迫り、わざとらしく舌を出して見せつけた後、ゆっくりとこちらの舌の上を舐めあげていくから、ようやく何を笑われたか気付いて羞恥が込み上げる。
 しかし慌てて舌を引っ込めようとすれば、簡単に絡め取られて逆に引き出され、パクリと食まれてしまう。柔らかに歯を立てられ、舌や唇で挟まれて擦るように舌の裏表をゆるりと撫でられ、痺れるみたいな快感が腰を中心に溜まっていく。
 閉じられない口の端から、んっ、んっ、と甘えるような息を漏らしながら、与えられるままうっとりとその刺激を享受した。
 気持ちが良い。胸の内からとろりと溶かされるみたいに心地いい。それは、こんなキスもあるのだと頭の隅で軽く衝撃を受けるくらいに、前回とは全く様相の違うキスだった。
 口の中を舐められたら、また膝が抜けるくらいグズグズに感じてしまうのだろうと思っていたのに。確かにただ触れるだけ、軽く吸われるだけ、ペロと悪戯に唇の表面を舐められるだけのキスに比べれば、断然気持ちが良い。意地悪く焦らされている、という気配でもない。ただただ優しく慰撫されるような快感で、じわじわと体の熱を上げられている。
 前回のように快楽の渦に翻弄されることはなく、腰は重くとっくに勃ち上がってしまった性器は刺激を欲しがって疼いていたけれど、でも自力で立っていられないほど腰砕けではなかった。
 既に両足の間には、前回同様相手の腿が差し込まれているけれど、それに支えられることなく立っていられる。前回は助けを求めるように必死に相手へ縋り付いていた手だって、今日はだらりと両脇に垂らしたままだ。
 でもだからこそ、気付いてしまう。前回の復習なんて言っていたけれど全然違う。前回は泣かされてしまったけれど、そのお詫びで優しくされているわけでもない。
 思考まで奪い取られて、何もかもがぼんやりと霞むほどの快楽に流されて、なすがままを受け入れることを許さず、自分の意志で、自分自身を射精に導けと促されている。
 どうしようどうしようどうしよう。
 選択肢なんかなかったけれど、でも、それでいいと安易に答えたことを後悔していた。お前は本当に迂闊だと、きっとまた言われてしまうんだろう。
「そろそろ気付いたか?」
 こちらの動揺が伝わってしまったようで、顔を離した相手がおかしそうに聞いてくる。
「む、り……でき、ない」
「そりゃちょっと気が早い。お前がなりふり構わずイキたくてたまらなくなるまで、今日はじっくりキスしてやるから」
 フルリと体が震えてしまったのは、半分くらいは恐怖なんじゃないかと思う。この人はきっと本気で、何時間だってこちらをジリジリトロトロとろかせていくようなキスを、キスだけを、続けていられるのだ。
「ぜ、前回みたいに、して、って言ったら……?」
 提示された終了条件は、自分で腰を振ってイクか、相手に腰を揺すられてイクかの二択だった。さっきも自分から口の中を舐めてとねだって褒められたし、焦らすことなく深い口付けに変えてくれたのだから、自分からはっきり口に出してねだれば、叶えてくれる気はあるんだろう。
 ただ、前回の復習と言いつつまったく別の要素を課してきている今回、前回と同じがいいなんて言っても無駄かもしれないと思う気持ちも強かった。
「もっと赤裸々に、上手におねだりできたら考えてもいいけど?」
「せきらら、に、上手に、おねだり……」
 言われた言葉を確かめるように自分自身でも繰り返してしまったが、なんとなく相手の言いたいことがわかってしまう程度に、自分自身のエロ方面知識が豊富で嫌になる。たとえわかっても、それを口に出して言えるかは別問題だ。
「まったく想像できません、って顔でもねぇな」
 そんなガキみたいな顔してんのに普段どうやってオカズ入手してんのと聞かれて、素直にネットでと答えたら便利な世の中に生まれてよかったなと笑われてしまった。
「じゃ、前回俺にどんな風にされたか思い出しながら、なるべく詳細に、俺が満足するくらいいやらしく、して欲しいことねだってみ?」
「そういうおねだりって、最初は普通、そっちが提示したエッチな言葉、繰り返させるとこからじゃないんですか?」
「何を求められてるか欠片もわからないならそうするかもな。でもお前は思い当たった顔したからダメ。もちろん、俺好みに修正は入れてくけど、取り敢えずはお前の言葉を聞いてみたいって思っちまったしな」
 キスは再開されることなく、ニヤニヤ顔で見下されたまま、こちらが口を開くのを待たれている。前回何をされたかを思い出して羞恥に身を焦がしつつ、更にどんなイヤラシイおねだりをすれば相手が納得するのか悩むこちらを見て、楽しんでいる。
 けれど結局、詳細なおねだりなんて出来っこなかった。考えれば考えるほどに、何も口に出せなくなる。自分から、泣くほど恐怖した強烈な快楽をもう一度叩き込んでなんて、言えっこない。
 言えないと首を振って、ごめんなさいと謝った。相手は残念だと笑ったけれど、そこまで本気で残念がっている様子はなく、じゃあどうして欲しいのと問うてくる。
「さっきの、キスの、続きをして、下さい」
 震えかけた声を絞り出せば、相手は少し驚いた様子で目を瞠った後、わかってるようでわかってないなとおかしそうに笑った。

続きました→

 
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