短期集中ではあったものの、日中の殆どを使って慣らしまくった体は、無事に相手の勃起ペニスを全て受け入れた。耐え難い痛みに襲われることもなかったし、裂けて流血なんてことも起きていない。
ただやはり、さすがの質量に圧迫感が凄い。
「痛くない、すか?」
「ん、それは、平気」
不安そうに聞いてくる相手に大丈夫と笑ってやりたいのに、そこまでの余裕がないのが悔しい。強引に口角を上げれば頬がプルプルと引き攣る感じがして、こんなんじゃ余計に心配を掛けてしまうし、下手したら萎えられてしまう。
「けど……」
「苦しいのは事実、だ、けど、でも、嬉しい、から、へーき」
また笑うのを失敗して、今度はふへっと妙な音が漏れた。でもその音に釣られたように、相手も少し笑ってくれたから、もういいやと更にふへへと笑いをこぼす。
「俺ん中、お前で、満たされてる、って感じ、する」
「俺は、先輩に体ごと全部包まれてる、って感じっす。なんかこのまま俺の全部を、先輩に飲み込まれそうって気もします」
繋がってるのはほんの一部なのに不思議だと言うから、お前を全部飲み込んでやりたいこっちの気持ちが、繋がってる部分から流れ込んでんじゃないのと言ってみた。
「先輩って……」
「ん、なに」
しばし考えるような素振りの後、可愛いですねと何やら色々含ませた様子で笑われてしまったけれど、さっぱり意味がわからない上になんだか逃げられたような気分になって気持ちが揺れる。咄嗟に腕を伸ばせば相手が前傾して身を寄せてくれたので、肩を掴んでさらに引き寄せ、最終的には背を抱くようにしてギュッとしがみついてしまった。
より深くなった繋がりと、密着した相手の体温とに安堵して、ホッと息をつく。
「せんぱい、好きです」
甘い声が耳の横で響いて、しがみつく腕に力を込めながら俺もと返す。
「俺も、好き」
「先輩ん中、きもちぃっす」
甘えを含んだトロリとした淫靡な声とともに、ハァと零れる熱い息が耳にかかって、体だけでなく心までなんだかゾワゾワした。比較的スムーズに繋がれたものの、過去のトラウマから挿入状態が続けられるかの不安はないわけではなかったから、この状態でちゃんと気持ちが良いと感じて貰えて嬉しかった。
「ん、なら、良かった」
「痛くない、なら、少し、動いてみて、いいっすか」
いいよと返して腕を緩めたけれど、相手の体は離れていかない。それどころか、ぎゅってしたままでいいと言われて、再度相手の背を抱いた。
本当に小さく、腰を揺する程度に動かれる。そんな小さな振動も、続けばジワジワと体の熱が上がっていく。いつの間にか勃起しきったペニスが相手の腹に擦れるものだから、前後同時の刺激で達することを繰り返した体が、もどかしさでより強い刺激を欲しているのがわかる。
あっ、アッと零す嬌声の中に、もっと激しくされたい気持ちを素直に混ぜて吐き出せば、わかりましたと頷かれて、探るように少しずつ動きが大きくなった。
こっちははっきりと、徐々に余裕をなくしていってるのに、相手は未だこちらの体をしっかり気遣えるだけの余裕があるらしい。それが少し悔しくて、ちょっとくらい乱暴でもいいからもっとがっつかれたいな、などと思ってしまう自分は、やはり相当欲深いのかもしれない。
理性取っ払ってがっついてなんて、その結果どうなるか最悪の事態を考えたら、とても言えるようなことじゃないのに。
「どーしました?」
なのに、こちらの気配にやたら敏感な相手によって、あっさり気付かれてしまった。ホント、どんだけ見てるの。
驚きと緊張とが混ざって思わず身を固めれば、相手は動きを止めて少しばかり身を起こす。
「何か、気がかり、ありますか?」
しっかり顔を覗き込まれて何かを確認されたが、それを聞くということは、気がかりの内容までだだ漏れてはいないらしい。
「なんで、わかる、の」
「さぁ、なんとなく」
「お前ばっかり余裕あって、ズルいって思ってた、だけ」
「余裕なんてないっすよ。いっぱいいっぱい、す」
「でも、俺の変化に気付いてる」
「だってやっぱ怖いんすよ。失敗したくないというか、終わった後、して良かったって思えるようなセックスにしたいというか」
「しなきゃ良かったなんて絶対ならない。もし、いまここで中断することになったって、お前とちゃんと繋がれて良かったって思うよ」
何言ってんだという気持ちでいささか強い口調になってしまったら、困ったように中断しますかなんて言うから、ますます腹が立ってくる。
「ちっがう。何聞いてたんだよ。もしって言ったろ。細かい気遣い嬉しいけど、お前は俺を気にしすぎ。お前が気持ち良くイッてくれたら俺はそれでいいの。でもお前だけ気持ち良くなるのはお前には無理なんだろうなって思うから、俺も一緒に気持ちよくなりたいけど、俺だって俺だけ気持ちいいのは嫌なの。わかる?」
「俺も、ちゃんと、きもちぃす、よ?」
「でも俺だけアンアン言ってるし、お前、俺が気持ち良くなれるようにって方に必死だもん」
「あー……」
「何、その、あー……って」
「いや、何が引っかかってるかわかったかも、ってだけっす」
本当にちゃんと気持ち良くなれてますよと繰り返す顔は、なんだか苦笑を噛み殺すみたいな感じだった。
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