あの日の自分にもう一度5

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「可愛いんだから、女装ハマったってので良くね?」
「良くねぇよ!」
「えー、勿体ねぇな。てか、紘汰だってわかんなきゃ写真残していいわけ?」
「そりゃまぁ。でも無理だろ。多少メイク変わったところで、服が前と一緒だもん」
「服もだけど、ウィッグもだな。髪色と髪型変わったら、かなり印象変わるし。もっと髪色薄くして、ロングでもっとフワフワっつーかナミナミっつーか、あー、ウェーブか。ウェーブ掛かってるのとかも、合いそう」
 そのストレートボブも悪くないけど、などと言い募る龍則を、思わずマジマジと見つめてしまった。何を言っているんだこいつは。
「何の話してんの?」
「次は服とウィッグ変えようぜって話?」
「次?」
「次。またするだろ?」
「いやそれは……」
 しないとは言い切れないが、だからといって次を確定されても困る。
「紘汰が女装ハマッたの、他のやつらに知られたくないのはわかったから、絶対内緒にする。だから次も俺呼べよ。てか、俺を紘汰専属のメイク係に任命してくれ」
 確かに龍則のメイクの腕は捨てがたい。しかも既に今日、こうして付き合わせてしまったのだから、秘密を共有してくれるというなら断る理由がない。
 でも、と躊躇ってしまうのは、明らかにノリノリの龍則をこのまま引き込んだら、確実に次が来てしまうし、引き返せなくなりそうだからだ。女装ハマったと割り切れるような性格ではないし、ズルズルと深みに嵌っていくのは怖い。なのに。
「服とかウィッグとか、俺も出資するしさ。一人で楽しむより、絶対お得だぞ」
 紘汰の躊躇いを感じてか、更に追加された提案はあまりに魅力的だった。これを魅力的な提案と思う時点で、結局の所、紘汰だって次を望んでいるんだろう。
「わかった。でもホント、絶対、他のやつらには内緒だからな」
「おう。任せろ」
 じゃあ服とウィッグ選ぼうと言って、龍則は手の中の携帯を弄りだす。
「あ、待って。どうせなら、飲みながら選ぼう」
「さっき買ってきた酒?」
「そう。お前も飲んでくだろ?」
「まぁ、飲み会参加のつもりで来てるしな。けど、酔って服やら選ぶのは危険じゃね?」
 気づいたら際どい下着とか買ってるかも、などと笑われたが笑い事じゃない。それは充分ありえる展開な気がする。
「じゃあ酒は後回しで。ま、買ってきた荷物テーブルに置きっぱだし、一旦冷蔵庫入れた方がいいだろうしな。でもそれはそれとして何か飲みたい。喉乾いた」
「だな」
 同意して頷く龍則を促してロフトから降りた後、こたつテーブルの上の荷物を片して、取り敢えずで麦茶を入れたグラスを二つ用意した。それの片方を手に、先に腰を下ろした龍則が、紘汰を待ちながら弄り続けていたのだろう携帯を横から覗き込めば、驚いた様子で軽く身を引かれてしまったからこっちも驚く。というか若干ショックだ。けれど。
「あ、悪い。てか今の格好でいきなり寄られると心臓に悪い」
「あー、なるほど。わかる」
 逆の立場なら、もっと盛大に反応していたかも知れない。そう思うと、女の子に急に寄られてもちょっと身を引く程度で済ます龍則は女子慣れしてる感じがする。まぁ正確には、女装しただけの男友達だけど。でもあの咄嗟にって感じから、本当に女の子が身を寄せたとしても、そう違った反応はしないんだろう。
 学部的に男子が多いのもあって、普段から男とばかりつるんでいるし、彼女の話を聞いたこともなかったけれど、もしかしなくても結構モテてたりするんだろうか。というかモテそうだよな、と思う。

続きました→

 
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