聞きたいことは色々38

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 意識が浮上して、まずは大きなため息を一つ。多分泣きすぎが原因で、頭と目元と鼻の奥が痛かった。
 好きって言わされて泣いて、好きって返されてやっぱり泣いて、本当にひどいセックスだったと思うのに、相手は間違いなくかなり楽しんでいたと思う。
 最初の夜に、こっちの顔を見て悲壮な顔だの不満そうな顔だの言って楽しそうにしてたし、多分きっと泣き顔にも興奮出来る性癖を持っているんだろう。
 だって昨夜は久々に、というか初回以来初めて、相手がゴムを替えていた。といってもゴム替えは1回だけだったし、初回ほどしつこくイカされることもなかったし、抱き潰されて意識を飛ばしたりもしてないけども。
 いっそ抱き潰されていたほうがまだましだった、かもしれない。
 広いベッドのおかげで終わったあと強制的にくっついて眠る体勢になることもなく、しっかり距離をとった状態で寝るぞと言われてしまったら、自分から触れにいけるはずもない。
 もともと事後にまで甘やかしてくれる人じゃない。どころか、最中でさえそこまで明確に甘やかしてくれるようなことは少ない人だ。しっかり気持ちよくはしてくれたし、好きとも言い合わない、ただ恋人という関係を結んでいるだけの相手だったから、そんなもんかと思ってたし不満なんかなかったけど。
 昨夜は一転して、表面的には好きが溢れる甘ったるいセックスをしたから、頭ではただのプレイとわかってても、事後にあっさり放置されるのは寂しかった。ついでに言えば、やっぱりただのプレイだったよねと、再認識させられるのは辛かった。
 結果、広いベッドの端っこで、あれこれと思い返してはグスグスベソベソとけっこう長い時間ひっそり泣き続けて、結局泣き疲れて寝落ちたらしい。これは、どん底気分な目覚めだったのも致し方ない。
 体を起こせば部屋には自分ひとりで、これはまぁいつも通りと言っていい。毎回けっこうしっかり疲れ果ててしまうから、相手より早く起きれたことなんてほぼなかった。
 トイレを済ませて顔を洗って、鏡の中の自分に向かって酷い顔だと笑ってから、リビングへと向かう。泣き腫らした目元を晒す気まずさはあるが、昨夜散々泣き顔を見られているのだし、今更だろう。多分、体調の良し悪しやらを聞かれるくらいで済むはずだ。
 少なくとも、前夜のセックスの内容を蒸し返してアレコレ言われたことはない。
 まぁ昨日のあれは蒸し返してアレコレ話し合ったほうがいいような気がしないでもないんだけど。今後あんなセックスが主流になるとこちらとしてもちょっと困るし。というかあんなセックスを繰り返されたらさすがに音を上げそうなので、出来れば避けたい。
 でも話し合いがしたいかと言えばしたくない気持ちも強かった。
 泣くだけ泣いて理由をちゃんと話さなかったのも、プレイとわかって拒否らず受け入れたのも、自分自身だという意識はあって、自業自得という気持ちも大きいから、今後どうなるかも相手任せにして、自身の限界までチャレンジでもいいかという気がしないでもない。
 なんてことをツラツラ考えながらリビングのドアを開いた途端。
「ちょっと!? なにその顔」
 リビングに入った瞬間に聞こえてきた、怒りと悲鳴が混じったような声は、お兄さんのものだった。
 テーブルの上には既に食事が3人分並んでいて、お兄さんの向かいには彼が座っていて、どうやら自分が起きてくるのを待っていてくれたらしい。
 その彼とももちろん視線があったけれど、そちらからは特にコメントはないようだ。というか不機嫌そうな顔をしているから、起きてくる前にお兄さんになにか言われたのかも知れない。
「あ、おはようございます」
 来てたんですねと言えば、そりゃあんなメセ貰ったらその後どうなったか気になるでしょと返される。
「めちゃくちゃ泣いたんじゃないの、それ」
「あー……まぁ、はい」
 おいでおいでと手招かれるまま、お兄さんの座る椅子の近くまで近寄れば、スッと立ち上がった相手にギュッと抱きしめられてしまう。
「何されてそんな泣いたのか言ってご覧。おにーさんがそいつにメッてしてあげるから」
 そこそこの声量で告げられたそれは、彼にも聞かせるためだろう。
 大きなため息が聞こえてきて、思わずふふっと笑ってしまう。
「うん。笑えるならヨシ」
 告げ口とご飯どっち先にする? と聞かれたので、ご飯をと返して自分の分の食事が用意された席へと移動した。

続きました→

 
 
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聞きたいことは色々37

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 気づいてしまった後だから、結局同じだったかも知れないけど。でもやっぱり、好きだなんて言うべきじゃなかったんだと思う。
 好きって言ったところでこちらが望むような反応がないのは想定済みだったのに。きっと相手に対してもこの想いを認めてしまったせいで、もう、止まらない。
 恋人になってデートもセックスも繰り返しているのに、相手には冷める熱すら湧かないって言われるような関係しか築けない。なのにそれを突きつけられた直後でも、甘い声であやされながら体を気持ちよくされてしまうと、どうしたって好きだって気持ちが湧いてくる。
 自分ばかりがそうなってるってわかってても。それが寂しくても。辛くても。苦しくても。好きだと思うことをやめられない。
 好きだ好きだと溢れてくる想いを、震える息に乗せて吐き出した。
「すきっ」
「なに?」
「すき、です」
 聞き返された二度目は、震えることもなくはっきりと音になったけれど、結果、返ってきたのは相手の笑う声だった。
「まさか俺を好きで泣いてんの」
 かわいいねぇと続いた声は少し弾んで機嫌は良さそうだけど、間違いなく、驚きと揶揄を含んだ響きをしている。
 また溢れた涙を相手の肩でぬぐって、漏れそうになる嗚咽を飲み込んで、ゆるく体を揺すった。
 はやく頭の中がキモチイイでいっぱいになればいい。そうすれば好きって気持ちが少しでも薄まるかも知れない。
 そこに想いがなくたって、彼とのセックスはいつだってこちらを気持ちよくしてくれるから、自分ばっかり好きなんだって事実からも、ちょっとだけ目が逸らせそうな気がする。
 だから、早く……
「ぁっ、あ、あぁっ」
 自らイイトコを擦り付けて、キュウっとお腹を締め付ければ、相手も熱い息を吐く。といっても自ら動いて相手をイカせられたことはないので、そのまま自分の快感だけを追って腰を揺すった。
「今日は随分エッチだなぁ」
 部屋のせいか焦らしたせいかと聞かれたけれど、どっちもそうだし、どっちも違う。
 答えず腰を揺すり続け、自分を追い詰めていく。そうやってイケることを既に知っているから、前にそうしたときのことを思い出しながら、キモチイイに集中した。なのに。
「んゃぁあっっ」
 両胸の先を抓るみたいに摘まれ引かれて悲鳴が上がる。
 痛みでビクビクと体が震えてしまったし、お腹のペニスもギュウギュウと締め付けてしまったし、その余波で白濁が少し溢れてしまったけれど。当然、イッたなんて言えるような状況じゃない。
 きもちよくイケるはずだったところに、冷水でも浴びせられたみたいな衝撃だった。
「な、なんで」
 戸惑いと焦りとで声が震える。なんでこんな目に合わされたのか、全く理解できてなかった。だってこんなこと、今までされたことがない。
「自分でお尻振って気持ちよくなるのはいいけど、一人で勝手にイこうとするのはダメだろ。それに俺のこと、全然見てなかったし」
 だからおしおき、なんて言われるのは初めてだった。
 もう指は触れてないのに、抓られた胸の先がヒリヒリと痛い。
「ひどい……」
「どっちがだ」
 あんなに可愛く好きって言った直後にいきなり一人で盛るなよと、苦笑と呆れ混じりに言われてしまって、恥ずかしい上に居た堪れない。
 なにも言えずに黙ってしまえば、胸の片側にそっと相手の指先が触れる。痛みを与えたことを詫びるみたいに、さわさわと撫でる指先は優しくてもどかしい。
「んっ……」
「痛かった?」
「はい」
「ちょっと漏れてたけど、イッてないよね?」
「は、ぁんっ」
 柔くつまんでクリクリと転がされると、触られていないもう片側がウズウズして、お腹がキュンとして、ハマったままのペニスをギュッと絞ってしまう。
 ふふっと微かに笑う気配がして、反対側もして欲しいかと問われて、食い気味にして欲しいと頼んでしまえば、やっぱり楽しそうに笑う気配がした。
「んぁあっっ」
 反対側は指じゃなくて口で吸い付かれて、同時に、やわやわと触れていた指での刺激も強くなる。
 イキそこねた体はあっさり昂って、またゆるゆると腰を揺すってしまう。中のイイトコロを自分で摺りに行ってしまう。
「イキたい?」
「い、いきたい」
 こう聞かれたときにはっきりイカセてって頼んだら、気持ちよくイカセて貰えるのを経験的に知っている。だから躊躇うことなく、イカセてってお願いしたのに。
「じゃあ、さっきみたいに好きって言って?」
 好きって言わされるプレイだ、と思った瞬間にはまた涙がぶわっと溢れてしまう。
 泣くとこまでは再現しなくても良かったんだけどと言いながら、滲む視界の先で相手が苦笑していた。

続きました→

 
 
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聞きたいことは色々36

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 出来ることなら場所は移動したかったけれど、相手にそんな気がさらさらないのはわかっていた。だって必要なものは全部揃っていて、しかも普段使ってるベッドより断然広い。
 わかったいたけど、場所を移動したいと頼んだし、この部屋でするのは気が引けるし気が散ると訴えた。移動する距離なんてたいしたことないんだから、ワンチャン聞き入れてくれるかもと願った。
 あなたのベッドの匂いがいい、という訴えには少し心揺れた様子ではあったけれど、それでも結局、部屋の移動はないまま行為を続行されている。
 この部屋で、このベッドの上で。恋人を叔父に差し出して、代わりにその叔父の嫁である戸籍上の兄を抱いていた。という事実を意識せずにいられない、という訴えを、嫉妬のようなものと思われた可能性が高い。
 今日は隠すことなく好きだと認める発言をしていたから、余計にそう思わせたのかもしれない。
 気になるならどんな風に抱いてたか再現してやろうか、という申し出は全力でお断りした。
 だってその片鱗は既にお兄さん側から聞いている。端的に言えば、旦那の前で別の男に抱かれながら、その男のことを好きだと言わされるようなプレイだ。ただし旦那のアフターフォロー付き、ってことも知っているけど。
 ここにいるのは自分と彼の二人だけで、自分たちの関係は一応恋人なのに、何をどう再現するつもりなのか。ついでにいえば、アフターフォローがないってことも知っている。
 全力でお断りしたが、それを相手がどう受け取ったかはわからない。
 結果、いつもより焦らされている。ような気がする。
 少なくとも、いつもならとっくに体を繋いで揺すられていると思うのに、まだ指だけで後ろの穴を弄られていた。
 既に知った快楽のせいで、お腹の奥のほうがグズグズと疼いている。早く奥まで埋めてほしくて切ないのは、お腹なのか胸なのか。
 なんだか泣きたいような気持ちになるから、切ないのはお腹だけでいいのに。
「イッていいよ?」
 二度目の射精を促す甘い声に、ゆるく首を振って拒否を示す。
「や、だぁ。も、はやく、入れて」
 全力でお断りしたのに、結局再現されてるのかも知れない。
「だぁめ。だって気ぃ散って集中できないんだろ」
 もっとドロドロになって突っ込んで貰うことだけ必死に考えるようになってから、なんて言われてゾッとする。
「むりっ、むり、だから」
「だいじょぶだいじょぶ」
 気持ちぃだけだし初めてでもないでしょと言われたけど、こんなの経験したことない。
「知らな、こんなの、知らなっ」
「そうだっけ? でも気持ちぃだけなのはホントだから」
 誰相手にしたの、なんて聞くだけ無駄だし気にするだけバカを見るのもわかってるけど。やっぱり再現プレイ的なことをされているんだと妙に冷めた納得もあるんだけど。
 わかっててもどうしたって胸は痛い。
「ねぇやだっ、ほんと、お願い、も、やめて」
 ブワッと溢れてしまった涙に相手が怯んだのがわかる。
 快感に耐えきれなくて流れる涙と違うのは明らかで、さすがにそれは相手もわかっているんだろう。
「わかったわかった。意地悪が過ぎたな」
 指が抜かれて抱き起こされて、宥めるみたいにそのまま抱きしめられてよしよしと背を撫でられる。
 この腕を振り払って、今日はもう気が乗らないと帰ってしまえたらいいのに。
 実際は、縋るみたいに抱き返して、早くちゃんと抱いてと甘えた声でお願いしていた。
 だってお腹の奥はもうグズグズに蕩けていて、彼のペニスに貫かれるのをずっと待っているのだ。
 わかったと応じた相手がゴムを付けるのを待って、促されるまま相手の腰を跨いで自らペニスを迎えに行く。
「んぁあああ」
「上手。気持ちぃよ」
 いっぱい焦らされてうねってると薄く笑う声は甘くて、お腹の奥は満たされて、いつもなら安堵したり嬉しかったりするんだけど。
「どうして泣くの」
「だ、ってぇ」
 泣き顔を見られるのを避けるように、やっぱり縋るみたいに抱きついて、相手の肩に濡れた目を押し当てた。

続きました→

 
 
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聞きたいことは色々35

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 他はと聞かれて得にはと返せば、じゃあどれ見る? とテレビ画面を指されて、そういや映画をレンタルするって流れだったと思い出す。
 とりあえず聞いたことのあるタイトルを選んで流し始める傍ら、彼がクローゼットから新たにいくつか出してきたクッションを積んで画面を見やすい体勢を作る。
「あの、くっつきすぎじゃ……?」
「暑い? ならエアコンの温度下げとくか」
「そういう話じゃ」
「じゃあ嫌だって話?」
 せっかくのお家デートなのに? と至近距離で顔を覗き込むようにして言われて、うっと言葉に詰まってしまう。
「なんならお前抱っこしながら見るのもありなくらいだと思ってるけど」
「ムリムリムリ。てか映画どころじゃなくなるでしょそんなの」
 そうなるのが目的なんだけどとおかしそうに笑ったあと、抱っこはしないであげるからとりあえず映画を見ようかと促されてしまった。そう。既に映画は始まっている。
 それでも結局、ピタリと寄り添う相手に手を握られたり腿をさすられたり肩や腰を抱かれたりで散々気が散らされたあと、全然集中できないからもう少し大人しくしててって怒り気味にお願いして、なぜか相手に膝を貸す羽目になっている。いわゆる膝枕というやつだ。
 しかもエンドロールが流れる頃には、すっかり寝入っている。多分。
「終わりましたよ」
 軽く肩を揺すればすぐに身を起こしてくれたけれど、どこかぼんやりとした顔は寝起きそのものだろう。
 お泊りした翌朝は大概自分のほうが後に起きるので、珍しいものを見ている、とは思う。
「寝落ちたのか」
 どうやら本人にもごまかす気はないらしい。
「横になんかなるから」
「膝枕、お家デートの醍醐味みたいなもんだろ。気持ちよかったよ」
 ありがとうなの一言で絆されていいのかと思いつつも、まぁ悪い気はしない。
「最後まで一緒に見てなかったのは悪かった」
「別にいいですけどね」
 もともと適当に選んだ映画で、それなりに面白かったとは思うが、真剣に見入るほどの面白さではなかったのも確かだし。
「さて、俺の目論見はどこまで成功したんだろうね?」
「目論見、ですか?」
「お家デート、映画のレンタルっていう選択は失敗だった気もしてる」
 あんな適当に選んだ作品を、まさかしっかり見始めるとは思ってなかった、だそうで。
 つまりちょっかいかけてくる相手を気が散ると邪険にしないで、そのままエッチになだれ込むのが正解だった。ぽい、のか?
 聞いてみたら、最初の段階でその展開はなさそうってわかってた、と返された。確かに、抱っこしようかって提案を、映画どころじゃなくなるってけっこうはっきり拒否った記憶はある。
「え、じゃあ俺はどうすれば良かったんですか?」
「べつにどうもしなくていいよ。それにちゃんと膝枕してくれたし。ただ、俺はそこそこ満足してるけど、お前的にはどうだったかなと。無駄な数時間をただ過ごしただけ、ってほど不満そうには見えないけど」
 お家デート楽しかったとは言ってもらえそうにないというので、お家デート難易度高すぎませんかと返してしまった。
「まぁ初めてだしな。こういうの」
「ですよ」
「でも、もう付き合いきれないから帰るっていい出す雰囲気じゃないから、大失敗ってわけでもないよな?」
 おいでと言われて広げられた腕に、少し躊躇ってから結局収まりに行けば、んふふと抑えた笑いが聞こえてくる。機嫌が良さそうだし、このままセックスに移行するんだろうか、というくらいには甘い気配が漂っている気がしたんだけど。
「じゃあお前は一通り見終えたわけだから、俺が寝落ちたあたりから見直そうか」
 もう気が散ってもいいもんなと言われながら、後ろから抱きかかえられるような体勢に変えられて驚く。
「えっ?」
「さっきは譲ったけど、テレビ見ながらエロいことされるのもお家デートの醍醐味みたいなもんだろ」
「そんなの知らなっ」
「まぁ見てるふりでいいから」
 どうせ2回目だしねと言われて、少し前に見ていた場面がまたテレビに流れ出す。
 彼が寝落ちてた時間は思ったよりも短かったようで、もうかなり終盤に近かったから、そう長いこと遊ばれたわけじゃないのだけが救いだった気もするし、相手もそれがわかってたからこその加減のない煽りだった気もする。
 つまり2回目のエンドロールが流れる頃には、まんまと、早くちゃんと抱いて欲しいって気持ちにさせられていた。

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聞きたいことは色々34

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 どういう意味かと聞かれて、渋々口を開く。
「だって、俺があなたを好きになってるって、知ってるんですよね? 俺が嫌がる変なプレイだって、どうしてもしたいってお願いされたら多分もう拒否しきれないと思いますよ?」
「それは強引に試されたいっていう遠回しなお願いなの?」
 なんでそうなる。
「違いますっ」
 本気で言ってんのかって思いながらちょっと睨んでしまったら、相手も本気ではなかった様子で軽く肩を竦めて見せる。ついでに諦めたようなため息も一つ。
「頼んで受け入れてもらったとして、その後、これ以上付き合いきれないって振られる可能性は結局あるだろ。意外とハマる可能性にかけて試してみようとはならないし、別に無理してする必要はないってなるな」
 そういう話をこの前も聞かせただろと言われて、そうですねと返しはしたけど、あれはお兄さんとの会話を横で聞いてただけに近いし、納得行ってないというか気になりながら聞けてないことが結構ある。
「逃げない恋人が欲しいから、俺が嫌がることはしないんですっけ」
「まぁ、そうだな」
「でも俺に振られたところで、別に悲しいとも惜しいとも思わないですよね?」
「なんでそうなる。悲しいかはともかく、少なくとも惜しむ気持ちがなきゃ、もっと好き勝手してる」
「俺を積極的に口説くゲームはしないでくれたけど、でも、俺があなたを好きになる過程はけっこう堪能したんじゃないですか?」
 好きにさせないでと口説かれるのを拒んで、なのにただただ恋人って関係で出かけてセックスを繰り返しただけで勝手にどんどん好きになっていく自分を、どんな気持ちで見られてたんだと思うと胸が苦しい。
「もしかして、お前が俺を好きになったから、俺はもう満足してて、お前に対する気持ちが冷めてるはずだ。みたいな話?」
「そ、ですね」
「わからないな。そうならないように、口説くの禁止にしたんじゃないのか?」
「は?」
「は? ってなんだ」
「いやだって意味がわからなくて」
 なんで口説くの禁止したと思ってるんですかと聞いてみたら、俺が遊びに熱中しないように、と返ってきてやっぱり意味はわからなかった。
「口説かれて好きになった頃に、俺の気持ちが冷めてて捨てらるのが嫌だったんだよな?」
「そうですよ」
「俺に口説く遊びを始めさせたくなくて、あっさり抱かれたし恋人にもなったんだろ?」
「ですよ」
「結果俺はお前を一切口説いてないんだから、そんな心配必要ないだろ?」
「口説かれなくても結局好きになってんですけど」
「口説いてないんだからそれは別に関係ない。って、あー……なるほど」
 わかった気がすると言われたあと。
「好きになって貰う過程が楽しければ楽しいほどその反動が大きいとこはあるし、それを熱が冷めると確かに言った。けど、お前の場合は口説いてないのに冷めるも何も。冷めて飽きるような熱がそもそも発生してないんだけど」
「はぁあ???」
 そんなに驚くようなことかと言われたけど、そんなに驚くようなことだろう。口説くゲームをされたくないと拒んだことが、こんな意味を持っていたとは思わなかった。
「納得したくないのに納得しそうで嫌だ」
「なんだそれは」
「それはまぁいいです」
 だって受けた衝撃を上手く言葉にできないし、言葉にしたところで相手にちゃんと伝わる自信もない。それよりも。
「つまり俺があなたをどれだけ好きになろうが、飽きてポイ捨てされることはないって事なんですかね?」
「現状ではそうなるな」
「ちなみに俺は今日、あなたが好きなことを隠してないんですけど、何か思うところってあったりします? はいはい知ってる知ってる、くらいなもんですか?」
「ずいぶんあっさり認めてるな、とは思ったよ。自覚がないか言いたくないかなんだろうと思ってたからな」
「そもそも好きってバレたら振られるんだって思ってましたからね」
「それはアイツに聞いたな。好きって言われたくらいで振らないよ。っていうか、さっきも言ったように冷めて飽きる熱がないって話をするべきだったか?」
「もっと早く知っておきたかった、とは欠片も思ってないですね」
 冷めて飽きる熱がない話はもちろんのこと、好きがバレても即ポイ捨てにはならない話もだ。
 聞いてた話と違うって追求した場合、どんな説明をされるのか。お兄さんを経由したことでショックが和らいでいるのは確実だし、振られないだけで彼から何かしらが返ってくるわけでもないのだから、彼が過去にどんな付き合いをしてきたか知らないまま、自分ばかりが好きな現実を突きつけられる羽目になって苦しんだに違いない。
 それに自分だけじゃ、振られないなら好きって言おう、なんて発想は持たなかった自信がある。
 好きってバレてるんだしガンガン言ってみるのも一つの手。というアドバイスはもちろんお兄さんからのものだ。
 言って彼の心に響く可能性は低くて、実際、何も響いてなさそうではあるけれど。

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聞きたいことは色々33

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 正直に言えば帰りたいけど、帰りますと言って立ち上がる勇気もない。固まったまま動けずにいれば、やがて返答を諦めたらしい相手のため息が聞こえてくる。
「この後の予定は?」
「特には」
 今の電話でこの後の予定は空いてしまった。
「ならシャワー浴びてくる?」
「それ、って……」
「するかわかんないから、別にそのままでもいいけど」
「ええっ??」
 デートはしなくてもセックスだけはしようって話かと思ったら、そういうわけでもないらしい?
 意味がわからなくて頭の中に疑問符が回った。
「どっか出かけて楽しめる感じしないし、とりあえずお家デートでも目指すかと思って」
「お家デート……」
「どうしても今日はその気にならないってなら帰っていいから、もう数時間だけ付き合ってよ」
 仕切り直しオッケーですを言い損ねたせいで、今日はもう気が乗らないから無理って思われてるのかも知れない。
「その気がない、わけじゃ……」
「ならシャワーしておいで」
 洗ってないの気にしながらしたり、気持ち盛り上がってから中断するよりいいでしょ。と言われてバスルームに追いやられてしまったけれど、つまりお家デートって何するの? というところで思考が突っかかって止まってしまった。
 だからといって呆然と突っ立っているわけにも行かず、一通りの準備を済ませてからリビングへと戻る。
「お帰り。じゃあ行くか」
「ってどこへ」
「寝室」
 やっぱり頭の中では「お家デートとは」という疑問がグルグルしてたけれど、わかりましたと答えて相手の背を追ったその先。
「ここ、って」
「ここが寝室。で、あっちは俺の部屋」
 あっち、というのは普段セックスしてそのままお泊りしている部屋だ。あの部屋を寝室だと認識していたのは自分だけで、言われてみれば、彼自身が寝室と呼んだことはなかったかも知れない。
「それは、ってか勝手に入って良いんですか!?」
「もう知られた後だし別に問題ない。説明が面倒で使ってなかっただけだから」
 確かに、初回でこの部屋に通されたら色々戸惑ったり勘ぐったりしそうな部屋ではあるけども。
「ほらこっち」
 さっさとベッドの上に上がった相手が、ぽんぽんと隣のスペースを叩いて呼んでいる。
「あの、それで一体なにを……」
「なにかレンタルして見るとか、音楽かけてまったりダラダラするとか。あとは、オセロとチェスとトランプならあるかな」
 言われて気づいたけれど、リビングにも彼の部屋にもなかったテレビがこの部屋にはあった。しかもけっこう大きい。
 前回この部屋にお邪魔した時は、そんなところにまで気が回っていなかった。
「それがお家デート、ですか」
「そう。で、なにか希望ある?」
「特には」
「見たかったけど見損ねた映画とかは? ある?」
「すぐに思いつきません」
「じゃあとりあえず話題作とかから適当に選ぼうか」
 テレビのスイッチを入れた相手が何やら操作するのを黙って待てば、やがて動画のレンタルが出来るページが表示される。当たり前なんだろうけれど随分と手慣れている。
 大きなベッドの存在感がすごすぎるのと、恋人交換だの3人でだのって話を聞かされたのとで、ヤるための部屋ってイメージが強いけれど、本来は叔父夫婦の寝室なわけで、イチャイチャしながら映画を見たり音楽を聞いたりってのも当たり前にしていた部屋なんだろうと思う。
 そこに彼や彼の恋人だったりが同席してたのかまではわからないけど、この手慣れた感じからすると、皆でワイワイ過ごしていた可能性もあるんだろうか。
「この部屋で、みんなで映画とか、みてたんですか?」
「みんなって?」
「えと、叔父さんとお兄さんと、あと元彼、とか」
「さすがにそのメンバーで映画はないな。気分盛り上げるためのAV流してたりとか、カメラ繋いで映したりとかならあった」
「ひえっ」
 ちょっと想定外の返答が来て小さな悲鳴を上げてしまった。相手は可笑しそうに笑いながら、カメラもすぐ出せるけど、などと言う。
「ムリムリムリムリ」
「知ってる。自分がハメ撮りされてるとこ見せられて興奮する。みたいな性癖、あるわけないよなぁ」
「それが普通ですって。多分」
「意外とハマる可能性もあるんだけど、強引に試した結果、俺が振られる可能性のが高いのも知ってるよ」
「本気でそう、思ってます?」
 ほろりと零れ出てしまった言葉に、しまった、と思うものの、当然後の祭りだった。

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