生きる喜びおすそ分け1

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 先方に上長とともに頭を下げ、なんとか事なきを得て今日はそのまま直帰となった際、飲みに行くかと誘ってくれたのは相手の方だ。尊敬していたし、もっと言うなら憧れの人と二人きりで飲みに行く、という状況に一気にテンションがあがる。
 ちょうど近くにいつか行ってみたいと思っていた店があったから、その店でもいいかと問えば、あっさり良いよと返ってきたのも嬉しい。そういうの良くわからないから君に任せるよ、と言われたのも、後半の君に任せるという部分だけを拾って浮かれていたのだと思う。
 評判の良さそうな店だったからそこそこ期待していたのだが、店の雰囲気も料理も期待以上だった上に同席者が憧れの人だったものだから、少々飲みすぎたかも知れないし、浮かれてあれこれ口が滑ったのかも知れない。
 あれもこれも美味い最高とはしゃいで、更には「このために生きてた」って口癖をこぼせば、相手が少し驚いた様子で大げさ過ぎないかと言う。自分にとっては全然大げさでも何でもなく、楽しいことや嬉しいことに出会うたび、このために生きてきたとか、このために毎日仕事を頑張ってるんだなどを、当たり前に思うのだけれど。
 そういうの無いんですかって聞いたら、即答で無いねと諦めきった顔で言われた。
 びっくりしすぎてアレコレ突っ込んで聞いてしまったけれど、本当に、趣味だとか家族だとか恋人だとか生きがいらしいものが何もないらしい。一緒に美味いと言って食べていた目の前の料理すら、美味いと思う感覚はあるけれど、それを得るために仕事を頑張ろうだとか遠方まで食べに出かけようなどと思う事はまるで無いという。
「そういう人は仕事が生きがいなのかと思ってましたけど、でもそれもないんですよね?」
「ないない。自分に割り振られた役割上必要な作業やらを淡々と消化してるだけの日々だね。きっと死ぬまで、そういうのを繰り返すだけの人生だよ」
「うーわー……マジ、っすか」
「そう。ガッカリした?」
 それなりに買ってくれてただろと言われて、こちらが尊敬の念やらを抱いているのは相手にも伝わっているらしい。
「ガッカリ……いやどうだろう。ガッカリというか、いやでもやっぱ、やる気ないのに成果出してるのは逆に凄いような気がすると言うか」
「やる気がないとは言ってない。適当にやってるわけじゃないし、効率よくこなせるよう頭使うことはしてる。考えた通りに物事が進めばそれなりに嬉しいとは思うよ。ただ、仕事をすることが、会社に何がしかの利益を生むことが、自分が生きている意味になんかならないってだけで」
「何か趣味作るとか」
「昔はもうちょっと色々手を出してみたりしたけど、結局表面だけ撫でて満足して飽きちゃうんだよ。もっと深く知りたい、関わりたいって欲求が湧くようなものには出会えなかったし、そういうのが続くと、やってみようかって思う気持ちすら削ぐようになるんだよな」
「恋人、作るとか」
「彼女がいたことが無いわけじゃないけど、昔っから割とこんなで、つまんないらしくてすぐフラレるんだよ。で、だんだんそういうのも面倒になって、もういいかなと」
 子供が欲しいとか思わないのかと聞けば、それも無いなと即答された。
「確かに子供が生きがいとかよく聞くけど、それ目的に作るなんてのはあまりに博打がすぎるだろ。もし生まれてきた子供が生きがいに思えなかったらと思うと逆に怖くないか?」
 最低でも二人の人間を自分のエゴで不幸にする、と言うので、なんで二人なんだろうと思う。
「一人は生まれてくる子供ですよね? もう一人って誰です?」
「俺の子を産む人。子供が生きがいになればその子供の母親として大事にできる可能性はあるけど、そうならなかった場合は悲惨だろ。というかまず、子供の母親としてなら大事にできる、という思考が大半の女性にとっては大問題だろ」
「そういう認識はしっかりしてんですね」
「そういうとこが嫌われんだけどね。だからまぁ、君みたいなの見てると、面白いと同時に少し羨ましいとも思うよ」
 人生楽しそうでと言われて、とっさに、めちゃくちゃ楽しいですよと笑ってしまったのが、正解だったのかどうかはわからない。
「えー、てか、人生そんなつまんないなら、俺が少し分けてあげたいくらいなんですけど」
「あー、いいなそれ。俺に分けてよ。君が人生楽しいって思う気持ちがわかったら、俺も少しは自分で自分の人生楽しませられるかも知れないし」
「あれ、それもしかしてちょっといい傾向なんじゃありません?」
「何が?」
「さっき、もっと深く知りたい、関わりたいって欲求が湧くようなものに出会えなかったって」
「ん? 君の観察を趣味にしろって?」
「どうすか。もしくは俺と恋人でもやってみるとか?」
「俺と付き合ってもつまんないぞ?」
「それを決めるのは俺です。あ、でも、俺につまんない男だってフラレるのが古傷えぐるならやめときましょうか」
「ふる気まんまんか。でも君の観察を趣味にするよか、恋人でもやったほうがまだ多少は刺激的かもなぁ」
 多分お互いに相当酔っていたのだ。じゃあ今度デートしましょうよという提案に、デートプランそっちに丸投げでいいならいいよと返されて、上長との交際が決定した。

続きました→

 
 
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四周年(雑記)

このブログ作ってから今日で4年が経過しました。
4年目を振り返って、自分的に大きな出来事だったのは、pixivに転載した「雷が怖いので」がとうとう5000以上のブクマを貰ったことと、同じくpixivのフォロワーさんがとうとう1000人を超えた事でした。数字にはこだわらないつもりでやってきてますけど、それでもやっぱり感慨深い。

カウンターとか付けていないし普段はあまり訪問者数とかも気にしてないのですが、ふと思い立ってグーグルアナリティクスでチェックしてみた結果、どうやら昨日までで
ユーザー数 238,960 / ページビュー数 2,412,823
らしいです。
ブログタイトルに「ちりつも」を入れましたが、たまにはコツコツ書き続けた成果を数字で見るのも楽しいですね。
思いつきで久々にアナリティクスログインしましたが、忘れなかったら来年も覗いてみようかと思います。

今後の予定というか、早めにやらないとと思ってるのは先日エンド付いた「今更なのに拒めない」の目次ページを作るのとそれをpixivに転載する事くらいで、創作そのものは変わらず偶数日に何かしら投稿できたらなぁと思ってます。
連載途中じゃないから、2年目入った時みたいに明日っから少し長めにお休みしまーす! をするかはすごく迷ったんですけど、どうせ休むなら真夏が良いなと思ったので、今の所、また7月の半ばから一ヶ月半くらいお休みできたらいいなと考えて居ます。実際その時期に本当に休むかはまだわかりませんけど、一応、どっかで休憩を入れる気はある。

最後に、皆さんいつもお付き合いいただき、どうもありがとうございます。
なかなかお礼を言う機会がないので今年もやっぱり言いますが、閲覧・応援クリック・コメント・メールフォームから頂くメッセージ。pixivでのいいねやブクマやコメントやスタンプ。TwitterでのいいねやRTやリプライや作品紹介。どれも本当に嬉しかったです。私には見えてない応援とかも色々あると思うんですけど、それもありがとうございます!
そして、5年目も変わらず書き続けていくつもりなので、5年目もどうぞよろしくお願いします。

 
 
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親戚の中学生を預かり中2(終)

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「待て。いらない。というかしない」
「なんで?」
「なんで、って、そんなの」
 下心は認めるが、相手が中学生の男の子だってことはちゃんとわかっている。フェラしてあげると言われて、じゃあお願いと言い合うような関係が欲しくて、お菓子持参で構いに来ていたわけでもない。
 しかもこの慣れた様子からすると、本当に経験がありそうだ。それも絶対、本人にとって不本意な形で。
「フェラよりハグがいい、から?」
「なにそれ。童貞?」
「ああ、うん、そう。いきなりフェラとかハードル高い」
 言えばふはっと大きく息を吐いて、それからおかしそうに笑い出す。年相応の、作られていない笑顔を初めて見た気がした。
 本当はこんな風に笑うんだなと思いながら見つめていれば、相手が自分の隣のスペースをポンポンと叩いて誘う。応じて横になれば、もぞもぞっと近づいてきた相手が抱きかかえるようにこちらの背中に腕を回した。
「ほんとにハグしてくれるんだ」
「お菓子貢いでくれるお礼くらいは、してもいいって思ってたから」
「俺が運んでくるお菓子って、やっぱ貢物扱いなわけ」
「違うの?」
「少なくとも、こーゆーことしたい意味の貢物じゃあなかった」
「時々やらしい目で見てたくせに」
「それに関しては、隠しきれなくって本当にすみませんでした」
「え、それ謝るとこ? しかも隠しきってたら問題なかった、みたいな言い方なに」
「隠しきれててお前が気づかなけりゃ、お前が不快に思うこともないんだから、心ん中で何思ってようが俺の勝手だろ」
「こっちからすると、隠すの上手な人のが困るけどね。こいつはいつかやらかすなって思える相手のが扱いやすい」
「なるほど。というかやっぱこういうこと、慣れてんの」
「慣れてますけど。童貞には想像つかないようなエロいこともたくさんされてきたビッチですけど。しかもそんな俺のせいで家庭崩壊予定ですけど」
 聞いてないのと言われて、詳しい事はなんも知らないと返せば、余計な事を言い過ぎたと悟ったらしく、チッと舌打ちが聞こえてくる。
 さすがに、この子が原因での離婚問題とは思ってなかった。親はどこまで知っていて、この子を預かって来たんだろうか。
「世の中狂ってんな」
「なにそれ。どういう意味?」
「いくら可愛い見た目でも、中学生の男の子がエロいことされ慣れてるってオカシイだろ」
「ビッチな俺が、そういうことされたくて誘ってる結果だとしても?」
 言いながら、背を抱く腕がスルルと腰を撫でおり尻を揉む。更にぐっと寄せられた体が、わざとらしく股間を圧迫してくる。
「それ嘘だろ。というかもしそれが事実だとしても、中学生の誘いに乗ってる大人が居る時点でだいぶヤバイよ、お前の周り」
 慣れてるって言い切れるくらい当たり前の日常なら自覚ないのかもしれないけどと言いながら、相手の腰を掴んで寄せられた体を引き剥がした。
「自覚はあるよ。俺の周りはだいぶヤバイって。でも相手がオカシクなるのは俺が誘惑するせいらしいからね」
 尻を揉んでいた手がまたスルルと腰を這い登ってくるが、今度は服の下に潜り込んで素肌に温かな手が触れる。擽ったさと気持ちよさが絶妙に混じる手付きでサワサワ撫でられると、確かに煽られ劣情が湧き出しそうだ。
「で、お前としては、俺もそのオカシナ大人に仲間入りして欲しいわけ?」
「そう見える?」
「めちゃくちゃ試されてんなぁとは思う」
「信じてから裏切られるより、さっさと手ぇ出してくれた方が有り難いってのはあるかな」
「もしかして信じさせてよってお願いされてる?」
「いや全く」
「まぁ俺だって煽られ続けたら理性切れる瞬間はあるかもしれないから、信じていいよとか言う気もないんだけど、いくら慣れてるったって中学生の男の子相手に何かするのは抵抗ありすぎるし、お前の誘惑になんか負けたくないし、取り敢えずは買ってきたタコ焼きが冷めきる前に食って欲しいなと思うんだけど」
 タコ焼きという単語にはっきり反応した相手に、一緒に食べようと誘えば、服の中に突っ込まれていた手が抜けていく。
 内心でだけ大きく安堵の息を吐き出しながら、この子がこの家にいられる間に、何がしてやれるかを考えようと思った。

理解できない1話へ→

有坂レイは「場所:ベッドの上 時間:夕 攻め:尽くし 受け:強気 何してる?:イタズラ」で、書(描)いて下さい。
https://shindanmaker.com/204438

 
 
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親戚の中学生を預かり中1

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 コンコンと部屋のドアを叩いても無反応だった。部屋にいるのは確実だから、ヘッドホンで音楽でも聞いているのかも知れない。
「入るぞー」
 再度ドアを叩いてついでに声もかけてから、ゆっくりとドアを開いた。
 ドアの隙間からこぼれるのは蛍光灯の明かりではなく窓から差し込む夕日の赤色だったから、あれ? と思いながらそのまま大きくドアを開いて中を覗く。
 目的の人物はベッドの上だった。ベッド脇にまで近づき見下ろしても、相手の反応は何もない。
 穏やかとは言い難い、眉を寄せた難しい顔をしているけれど、部屋に差し込む夕日のせいもあってどこか色めいて見える。ドキリと心臓が跳ねるのは、自身の中にある下心を自覚しているせいだろう。
 夏休みの間だけ預かる事になった、と言われて突然連れてこられた、一応は親戚らしいこの子の抱える事情について、詳しいことは聞いていない。相手は7つも年が違う中学生で、ついでに言うなら受験生で、親からはあまり構ったりせずそっとしといてやれと言われているのに、どうにも気になってちょくちょく部屋を訪れてしまう。
 口実としてお菓子やらを持参するせいだろう。邪険に追い返されはしないが、もちろん歓迎されてもいない。でもその塩対応になぜか少しホッとする。
 親へ見せる礼儀正しさや愛想の良さに、親自身は全く違和感がないようだけれど、それを見ているとなぜかハラハラするのだ。怯えているような、無理をしているような、そのくせそれを綺麗に隠しきって笑おうとする様子が、どうにも媚びて見えてしまう。
 相手の事情の詳しいことは聞いていないが、親の離婚問題に受験生を直面させたくない、程度のことは聞いている。だからまぁ、離婚問題を抱える親の間で、親に気を遣いながら生活していたなら、大人へ向ける態度がああなるのも仕方がないと、納得出来ないことはないのだけれど。
 見下ろす寝顔がますます歪んで苦しげな息を漏らすから、思わず伸ばした手で頭を撫でた。少しでも楽になって欲しかったこちらの気持ちと裏腹に、相手はビクッと大きく肩を跳ねると、ゆっくりと瞼を上げていく。恐る恐る開かれていく瞳が、こちらの顔を捉えて一度大きく見開かれ、それから何かを迷って揺れる。
 声が掛けれないまま見つめてしまえば、小さく諦めの滲む息を吐いた後、今度はニコリと笑ってみせる。艶やかに、と言えそうなその笑みの威力を、相手は間違いなく自覚している。
「する?」
 疑問符の乗った短な言葉に、けれど何を聞かれたのかわからなかった。
「貢いでくれるお菓子代程度はしてもいいけど」
「は?」
「フェラで良い?」
「ふぇっ!?」
 何を言い出しているんだと驚くこちらを見つめる相手の目は酷く冷めている。
「俺をそういう目で見てる自覚、あるよね?」
 塩対応なのはこちらの気持ちに気づかれてるせいもあるかも、と思うこともないわけではなかったが、まさか相手から直球で指摘されるなんて思わず、何も答えられずに居たら相手に強く腕を引かれて体勢を崩した。
「うわ、ちょっ」
「今更何慌ててんの。やるならさっさとしちゃおうよ。あまり騒ぐとおばさん来ちゃうかもよ?」
 ベッドの上に膝をつくように乗り上げてしまったこちらのズボンのフロントボタンに、躊躇うことなく伸ばされる手を慌てて掴んで阻止した。

続きました→

 
 
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今更なのに拒めない18(終)

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 気持ちよくイキまくった代償はそれなりに大きく、ペニスを抜かれた後も布団から起き上がることが出来なかっただけでなく、甘い快感がじんわりとお腹の奥に残り続けてもいる。こちらがそんな状態だったものだから、シャワーを浴びに行くなんてのも当然無理で、汗やら何やら色々な液体でベタつく体をホットタオル拭いてくれたのは相手だった。
「……ふっ……ぁ……っ……」
 甘たるい息を漏らしている自覚はあって、相手が困ったように、そのくせ酷く嬉しそうに、笑いを噛み殺している。
「だれの、せいだと」
「S字の先抜いてってねだったお前の自業自得?」
 確かにそうだと思ってしまったら、口を閉じるしかなかった。相手は今度こそ、おかしそうに笑っている。
「嘘だよ。お前が俺に惚れてくれるまで、しつこく何度もお前イカせた俺のせい。今だって、お前疲れ切ってるのわかってるのに抱き足りなくて、もっともっと、お前が俺のちんぽで突かれるの気持ちぃって喘ぐの見たくて、必死で我慢してる」
「本気、で?」
「本気で」
 即答されて思わず迷えば、したい気持ちは本気だけどする気はないぞと、少し慌てた様子で言い募る。
「どっちだよ」
「いやだって、お前、俺がどうしてももっかいしたいとか言ったら、いいよって言い出しそうで」
「だって、そりゃあ、そう言われたら」
「お前のそういうとこに散々つけ込んできた俺が言うのもなんだけど、お前とちゃんと対等に付き合いたいって言ったろ。良いんだよ。無理して応じようなんて考えなくて。今日は疲れたからまた今度ねって言ってくれれば」
 なんでもかんでも受け入れようとしなくてもと言われて、別に無理して応じようとしてるわけじゃないんだけどなと思う。
「相手がお前ならまぁ良いかって思っちゃうだけで、無理して良いよとか言う気はないんだけど、でもまぁ、今日は疲れたからまた今度ね」
 その今度はそう遠くない未来だとわかっているし、次の約束をするのも悪くない。これはこの先も続いていく関係なのだと、はっきりするようでなんだか嬉しい。
 彼に向かって初めて告げる、またしようねの言葉がむず痒く、ふへへっと笑ってしまえば相手は妙な顔でグゥと呻いた。けれど、どうしたと聞いてもなんでもないと返されて、ごまかすみたいな軽いキスが一つ。
「腑に落ちない」
「いい。わかんなくていい。それより、これどうする。シーツまで濡れてる。ていうか、シーツの下もやばいかも」
 これ、といって彼が汚れ防止に敷いていたバスタオルを持ち上げれば、確かにシーツにまで濡れているとわかる染みが広がっている。
「うわっ、えっ、なんで」
「なんで、て、お前が気持ちよさそうに潮吹きまくってたせいだろ」
「は? えっ? 潮噴き? って、あの?」
 頭の中に大量の疑問符が巡った。
 男でも潮吹きできるというのはもちろん知っているが、射精後の亀頭を刺激し続けるという方法がメジャーらしいのに、今回、ペニスはほとんど扱かれていない。ペニスの先から粘度の低い液体をぴゅっぴゅとこぼしていた自覚もなくはないのだけれど、でもそれは何度も吐き出して薄くなった精液だと思っていた。
「でもペニス弄られてなかったけど」
「前立腺への刺激でも潮吹きするってどっかで読んだから、ってっきりそれだと思ってたけど」
「えー……」
 アナニーに関してはそれなりに自分も情報を漁るけれど、アナニーで目指す先と言えば、やっぱりドライオーガズムじゃないのかと思う。いつかは自分もと思っているけれど、ペニスに触れずにイクときはトコロテンしてしまうので、残念ながら未だドライを経験したことはない。
 そして、アナニーで潮吹きを目指すというのはそうメジャーでも無いというか、言われればそんな記事も読んだことがあるような気がしないこともないけれど、でもペニスに触れないままで潮を吹いていたかまで記憶にない。
 なんてことをわざわざ説明する必要はなかった。という事に気づいたのは、ふんふんと話を聞いていた相手が、じゃあ今度はドライ目指してみるかと笑った時だ。
「えっ?」
「まさか、セックスとオナニーは別とか言って、一人でアナニーしてドライオーガズム目指す気だった?」
「え、いや、そういうわけじゃ」
「そういや今も平日の夜とか、一人でアナニーしてたりすんの?」
「えっ?」
「週末、俺とするだけじゃ足りなそう?」
「いやいやいや。充分。じゅーぶん足りてる」
 彼にアナルを弄られるようになってから先、彼の居ない平日の夜に、一人でしたことはなかった。元々、それなりに準備が必要なのもあって、仕事の後でなんて余程のことがなければしない。
「アナニーは別腹って言われるかと思ってたけど、なんだ、平日はしないんだ」
 言えばあからさまにがっかりされた。どうやら今後は平日の夜にもそういうことが出来るかもと期待していたらしい。
「まぁでも、キスしたりハグしたりできりゃいいか。あ、準備の問題なら、手で抜くのもありだったりする?」
「なぁ、それ、平日の夜にも来るって言ってる?」
「え、うん。言ってる。昼仕事就いたの、お前と一緒の時間増やしたかったからだし」
 あっけらかんと肯定されて、平日の夜なんて飯食って風呂入ったら寝るだけみたいな生活なのにと思う。思うだけでなく、口に出しても言ってみた。
「平日の夜なんて、飯食って風呂入ったら寝るだけなんだけど」
「一緒に飯食うだけでもいいよ。あ、いや、ハグとキスと一緒に夕飯、だな。俺の職場近いし、俺のが早く帰れるだろうから、夕飯は俺が用意するし」
 食べたらすぐ帰るよと言った後、少し迷って、逆にお前がうち来て食べてくのも有りかなぁなどと言い出す。
「待て待て待て。というかそもそも、お前の家ってどこなんだよ。そんな毎日行き来できるくらい近いの?」
「ああ、言ってなかったか。イチマルニ号室だよ」
 指を下に向けた相手が告げたのは、真下の部屋番号だった。

<終>

 
 
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今更なのに拒めない17

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 目の前も頭の中も真っ白に弾けるような衝撃に、悲鳴なのか咆哮なのかわからない声を上げながら、必死で目の前の体にしがみつく。しがみつこうと、した。
 お腹の中で生まれた快感がぶわっと膨らんでいくのがわかる。あまりの気持ちよさに全身から力が抜けて、というか思い通りに体に力が入っていないから、正確にはしがみついているというよりも、相手の腕に強く抱きしめられているようだ。
「あ゛ぁあ゛あ゛ああ」
 自分の上げている声だという認識は出来ているのに、それはどこか遠いところで響いている。しかも、体中の力が抜けているのに、どうやら体は痙攣しているらしい。
 持ち上げられていた膝が降ろされていることにも、すぐには気づけなかった。だって下半身の感覚もなんだかおかしい。布団に踵が触れている感触が、体を包む快感に邪魔されて、きっと脳みそまで届いていない。
「あ゛ぅぁ゛ぁ……ぁ……」
 それでも最初の衝撃が去ったのか、体がこの状態に慣れたのか、少しずついろいろな感覚が戻ってくる。
「少しは落ち着いたか?」
 優しい響きをしているのに酷く苦しげで、どうにか腕に力を入れて密着していた体を少しばかり離し、相手の顔を確かめた。興奮を耐えるように眉間にシワが刻まれている。また、こちらだけ絶頂して、相手に耐えさせてしまったらしい。
 だってまだ、好きだって伝えていなから。
「ねぇ、好き」
 好きかと聞かれては居ないけれど、たまらず自ら告げていた。早く知って欲しかった。だってもう充分メロメロしている。
「えっ?」
「とっくに好きだよ。だから、ねぇ、もぅ、お前も一緒にイッて」
 お前に惚れてると続けた所で、ぎゅうと抱きしめられてそのまま相手が腰を引いた。また体の中で快感が弾けて悲鳴を上げたが、今度はその快感が落ち着くのを待ってはくれず、再度ぐぽっと亀頭がS字を抜けていく。
「ふっ、ぁあ、なぁ、すっげ嬉しい」
 こちらの体をゆさゆさと揺すりながら、相手が何かを喋っているが、正直うまく聞き取れない。でも、嬉しそうに笑っているから、良かったと思う。
「ぁぁああはぁあああんんっっ、……あぁ、ぁああっ、いぃ……すごっ、ぁあっ」
 S字部分を彼のペニスの先がぐぽんくぽんと何度も出入りして、縁が撫でられるたびに軽い絶頂を繰り返している。ペニスの先からはぴゅくぴゅくと、薄くなった精液らしきものがこぼれ続けてもいた。
「ん、俺もいいっ、きもちぃ、ああ、好きだ。好きだよ。お前が可愛い」
「ぁっ、ぁあっ、あ、すきっ、俺も、ぁ、きもち、ぁあっ、すきだよぉ」
 好きだと言ってくれているのがわかって、必死に好きだと繰り返す。相手が愛しげに笑ってくれるから、胸の奥が暖かくなる。胸の奥もお腹の奥も、キュンキュン疼きっぱなしだった。
「お前んとこ来て良かった。も、今度はずっと捕まえとくから、お前も俺を好きで居て?」
「ぁぅっ、ぁ、ああっ、んっ、うん、すきぃ」
 何かを聞かれて必死に頷いてしまったけれど、正直もう限界が近い。
「ぁああっ、やっ、あっ、くるくる、すごいの、あっ、だめっ」
 何度も小さく絶頂しているのに、それで開放しきれない快感がじわじわとたまって、大きなうねりになっている。
「いいよ、だめじゃない。凄いの来て。S字抜かれてバカになってるお前の、うんとやらしくイクとこ見せて」
 おいで、いいよ、と繰り返されて、大きな快感の波が押し寄せた。
「ぁあああ、やっ、いっしょに、いっしょ、いって」
「ん、イクよ。俺も一緒にイクから」
 相手もイクと繰り返していることに安心して頷いて、何度目かわからない快感の波に身を委ねる。
「ぁあああっっ」
 くぽっと嵌りきった亀頭を思いっきり締め付ければ、今まではなかった脈動を感じ取ってホッとした。

続きました→

 
 
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