夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい7

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7章 タク VS 翔

【土曜の夜】
翔のマンションへ向かって歩いている。
まだかなり距離はあるが入り口に佇む見知った顔に思わず足を止めた。

颯真:(あれってタクさん?)
  :(なんでこんなとこに居るの)
  :(ていうかあれじゃマンション入れないよ)

颯真LINE:翔さんもう帰宅してるよね?

翔LINE:どうした?

颯真LINE:マンションの前にタクさんが居るんだけど
     :どうしよ
     :顔合わせたくない

翔LINE:わかった俺が行こう
    :安全が確認できたら呼ぶから
    :それまでどこかに隠れてるといい

タクがこちらに気づいた様子で近づいてくる。

颯真LINE:ダメだ
     :見つかっちゃった

翔LINE:すぐに着くから待ってろ

タク:久しぶりだねぇ立木颯真くん

颯真:なんで知って……
  :(下の名前しか教えてないのに)

タク:まさか逃げられると思わなかったからさ
  :ちょっと色々使って探したよね

颯真:(つまりあそこで俺を待ってたってこと?)
  :俺に、何の用ですか

タク:わからないの?

颯真:わかりません

タク:この前の続きをして貰おうと思って

颯真:続きって……

タク:だって颯真くんもう非処女でしょ
  :飼沼翔って男に毎週末ズコバコ嵌めてもらってるんだもんね?

颯真:ちょっ、そういう言い方止めて下さい

タク:どう言ったって事実変わんないでしょ
  :今日だって抱かれるために来てるくせに

颯真:止めてって言ってるでしょ!

キツく睨んでもタクは飄々と受け流してしまう。

タク:そうカッカするなよ
  :大事なことだろ?

颯真:どこが!?

タク:こんな初めてやだっ!って逃げたんだから
  :初めてじゃないならいいって事でしょ

颯真:いいわけあるか!
  :絶対イヤです

タク:そう言われてもねぇ
  :まぁカメラは無事だったからいいとして
  :颯真くんを家に呼ぶために買った
  :大量のBL本の費用くらいは回収したいわけ

颯真:(お金払えってこと?)
  :(抱かれろって話じゃないの?)

タク:うちのBL本持ってっていいからさ
  :俺とハメ撮りしてよ

颯真:あっ!
  :やっぱAV撮ってるんじゃん

タク:AV撮影ってほど仰々しくないって
  :ちょっとした趣味だよ趣味

颯真:(売ってお金にしてたら同じようなもんだろ)

タク:てわけで、ほら、さっさと行くよ

颯真:ちょっ、やだ、放してっ

:颯真!

タクに腕を掴まれた所で翔の声が大きく響いた。

颯真:翔さん!翔さん!!

タク:ああ、面倒くさいのが来ちゃったよ

:おいお前、颯真を放せ

タク:あんたはお呼びじゃないんで帰ってくれます?

:お前が町山拓人か?

颯真:えっ?

タク:へぇ……
  :そういうあんたは飼沼翔だろ?
  :どうして俺の名前を知ってる?

:俺の仕事までは知らないのか?

タク:小さな不動産屋勤務だろ?

:そうだ
 :親族経営の小さな店舗だが
 :長年の信頼と実績でそこそこ近隣に顔が利く
 :颯真のおかげでアパートの場所がわかったからな
 :そこから色々辿らせて貰った

颯真:(タクさんのアパートの場所)
  :(なんで知りたがるのかと思ったら)

タク:なんで俺を調べてる?

:お前のやってることが目に余るからだ
 :あちこちのゲイ掲示板で被害が報告されてる
 :既に充分犯罪の領域だぞ?

タク:俺のやったことって証拠でも?

:お前が流出させた動画類
 :確認できる範囲全てが同じ部屋だった
 :颯真に見せたらお前の部屋だって証言してくれるんじゃないか?

タク:あっそ
  :で、確証取れたらどうすんの?
  :俺を訴えてみる?

:警察には相談済みだし
 :大家にも報告済みだ

タク:は?

:警察沙汰を嫌がる大家が多いから
 :今は犯罪に使われている可能性を知らせただけだが
 :もしこのまま颯真を連れて行くなら
 :俺は躊躇わずに通報する

タク:なるほどね

:ついでに警告しておくが
 :今後も今みたいなことを続けるなら
 :俺の顔が効く範囲ではまともに部屋を借りれなくなると思えよ
 :問題ある借主の情報はそれなりに共有されるもんだ

タク:えらっそーに
  :そういうあんただって
  :ほぼ毎週末、高校生家に連れ込んで楽しんでるくせにな

:は?

驚いた様子で翔が颯真に振り返る。

:大学生じゃなかったのか?

颯真:それは……

タク:幼いとは思ったけど高校生だったなんてな
  :俺も逃げられて探さなきゃ知りようがなかった

颯真:(どうしよ)
  :(まさかこんなバレ方するなんて)

タク:まぁ誕生日までは知らないし
  :既に18って可能性もあるけど
  :地域に根ざした信頼と実績ある不動産屋社員が
  :男子高校生をお泊りさせてエロいことしてるなんて知られたら
  :周りにどう見られるんだろうねぇ?

颯真:タクさん待って!

:颯真は黙って

颯真:そんな……

:それはそういう噂を撒いてやるという脅しのつもりか?

タク:だとしたら?

:好きにすればいい
 :こちらも好きにさせてもらう

タク:チッ

動じる様子のない翔にタクが忌々しげに舌打ちした。

タク:余計なことをする気はないし
  :当分は大人しくしてっから
  :そっちもあんま余計なことすんなよ
  :ってのでどうだ?

:当分は、というところが引っかかるが
 :まぁ、いいだろう

タク:ったく、こんなんなら
  :深追いすんじゃなかったわ

ブツブツと不平を漏らしながらもタクが去っていく。

:さて、颯真くん

颯真:はい……

硬い声に名前を呼ばれてその視線から逃げるように俯いた。

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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい6

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6章 翔さんのトラウマ

【翔の家の寝室】
寝バックで突かれながら気持ちよさげに喘いでいる。

颯真:あ、あ、あっ
  :や、翔さん、これ、だめっ

:寝バック試したい、寝バックでイカされたい
 :そう言ったのは誰だっけ?

颯真:ぁ、ぁんっ、でもぉ

:凄く気持ちよさそうだけど?

颯真:あ、ぁ、だっ、て、や、ぁあっ
  :(気持ちよすぎて怖いんだってば)
  :それ、や、やぁ

:本当に嫌?
 :前立腺、感じられるようになったろ?

颯真:そ、だけどぉ
  :そこばっか、されたらっ

:イッちゃう

颯真:あたま、へんに、なりそぉ

:頭変に、なりたくないの?
 :頭バカになるくらい気持ちぃ経験してみたいんじゃなかったっけ?

颯真:それは、言った、けど
  :ぁ、でも、こわ、怖ぃ、から

:大丈夫だからこのままイッちゃいな

颯真:でも、ぁっ、あ、でもぉ

:怖くない怖くない
 :凄く気持ちよくなるだけだよ
 :ほら、俺も一緒にイクから

颯真:んぁあああっっ

促す声と少しばかり激しくなった律動に頭の中が白く爆ぜた。

【カチャ】
シャワーを浴びて寝室へ戻ればすっかり後片付けが済んでいる。

:おかえり
 :じゃあ俺もちょっとさっぱりしてくるわ
 :疲れてるだろうから寝ちゃってていいぞ
 :あと、明日の朝は

颯真:仕事あるから起こすぞ、でしょ

:わかってるならいい

翔が出ていった後、整えられたベッドに潜り込んだ。
しかし眠るつもりはなく、あれこれ考え込んでしまう。

颯真:(週末しか泊まれないのに残念だけど)
  :(仕事じゃしょうがないもんなぁ)
  :(休み合わないから一緒に出掛けたこともないけど)
  :(恋人でもないのに)
  :(デートしてとかも言えないしなぁ)

【カチャ】
颯真:おかえりなさい

:なんだ、起きてたのか

颯真:翔さんの腕枕がないと眠れない

:眠りたくないの間違いだろ
 :ほら、これでいい?

颯真:うん
  :(セックスはどんどん気持ちよくなるばっかだし)
  :(セックス中以外もこうやって甘えさせてくれるのに)
  :(なんで恋人になれないんだろう)
  :ねぇ、もう寝ちゃう?すごく疲れてる?

:どうした?

颯真:聞きたいこと、あって

:いいよ、言ってみて

颯真:あのさ、2回目抱いて貰う時にさ
  :すぐに夢から覚めるだろって言ったの覚えてる?

:ああ

颯真:色々試して抱かれるのも慣れたつもりなんだけど
  :俺、ちっとも飽きないし
  :幻滅だってしそうにないよ
  :それどころかどんどん翔さん好きになってる
  :でもさ、だからさ、

:どうして恋人にしてくれないんだろう?

颯真:うん、そう
  :俺と恋人になるの、何が問題?
  :俺がいつまでも夢から覚めなかったらどうするつもり?

:うーん……
 :颯真くんて腐男子なだけでゲイではないんだよね?

颯真:翔さんの事こんなに好きになってるから
  :もうゲイじゃないとは言えそうにないんだけど

:じゃなくてさ、本来の恋愛対象って女の子じゃないの?
 :女の子と恋愛できるならそっち選んだ方が絶対にいいよ
 :俺とのことは若気の至りの好奇心だったってことにしてさ

颯真:女の子と恋愛……
  :出来る気がしないって言ったら?
  :俺が男しか好きにならないゲイなら恋人にしてくれるの?

:ゲイなら恋人になれるかもなんて理由で
 :自分はゲイだと言うのは止めた方がいいな

颯真:でも俺、彼女居たこともないし

:は?

颯真:いいなって思う女の子は確かに居たけど
  :翔さんを好きな気持ちとは違うというか
  :むしろこんなに好きになったの翔さんが初めてっていうか

:ちょ、待って、初耳

颯真:あれ、言ったことなかった?

:ないな

颯真:えと、まぁ、そういう事なんで
  :俺、多分、腐男子のゲイなんだと思う

:ねえ、確認したいんだけど

颯真:何を?

:つまり今現在、童貞だったりする?

颯真:あ、はい
  :翔さん以外とセックスしたことないですし

:ファーストキスは?

颯真:それ聞いちゃいます?
  :タクさんに無理やりされたベロチューが初めてです

:はぁあああ、もう
 :君って子は本当に……

颯真:(え、これってそんな嘆かれるようなことなの!?)
  :童貞じゃダメなんですか?
  :他の誰かと試してくるの無しって言ってたから
  :俺が翔さん以外知らないの
  :喜んでくれるかと思ってたのに

:ここに来てそんなカミングアウトされるとは思わなかったよ

颯真:やっぱ恋人にはなれない?
  :ていうか童貞なら抱くのもなしとか言い出さないよね?

:今更そんな事言う気はないけど
 :あー……
 :これは俺の問題で
 :颯真くんは何も悪くないんだけどさ
 :俺、若い子に好き好き言われるの苦手なんだよ

颯真:えっ、なんで!?

:昔、もう5年ほど経つかな
 :その頃俺は大学生で
 :薄々感づいては居たけどゲイの自覚はまだなくて
 :そんな時に家庭教師先の男の子がね
 :俺にめちゃくちゃ好意寄せてくれてて
 :カッコイイとか、先生みたいになりたいとか
 :当たり前に大好きとかも言われてて
 :手、出しちゃったんだよね
 :と言ってもキスして押し倒したくらいだけど

颯真:えっと、その教え子と恋人になったって話?
  :(破局した時のトラウマとかあるのかもだけど)
  :(元カレの話とかあんま聞きたくないなぁ)

:いや違うよ
 :泣かれてなじられて恋人になんてなれなかったから

颯真:ええ、どういうこと!?

:そういう意味の好きじゃなかったんだって
 :こんな兄貴が居たらいいなみたいな
 :家族に向ける好きと一緒とか
 :そんなのわかるわけないよね

颯真:ええぇぇ……

:まぁたとえ両想いだったとしても
 :高校生に手ぇ出していいわけがないし
 :しかも教え子だし
 :完全に俺が浅はかなバカだっただけなんだけど

颯真:(高校生に手ぇだしていいわけない、か)
  :(どうしよ)
  :(掲示板に書き込む時大学生のふりしちゃったけど)
  :(本当は高校生なんだよね)

:おかげで俺はゲイの自覚とともに
 :若い男の子の好きって言葉にはめちゃくちゃ警戒するようになった

颯真:俺の好きにも警戒してる?

:信じてないわけじゃないんだけど
 :どうしてもね
 :俺が本気になった途端
 :手のひら返して泣いてなじられるかもって考えちゃう
 :好きになっちゃダメだってセーブしちゃうんだ
 :俺のトラウマのせいでゴメンな

颯真:そ、っか……
  :(これは好きになって貰うの無理そうだよなぁ)
  :教えてくれて、ありがと
  :(しかもそれ以外の問題も山積みだし)
  :(トラウマもだけど俺が実は高校生なのとか)
  :(バレたらセフレすら解消されそう)
  :(だからって自分から終わりになんて出来ない)
  :(諦められないよ……)

続きました→

 
 
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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい5

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5章 忘れられなくて

【颯真の自室】
翔とのセックスを思い返しながらの自慰に耽っている。

颯真:ぁ、ぁ、はぁ、翔さん好きぃ
  :んっ、ん、気持ちぃ
  :もっと、あ、ダメっ
  :だめ、イッちゃう、も、イッちゃう
  :あ、ああ、んんっ……

ビュクビュクと白濁が溢れ手を汚した。

颯真:はぁあああ……
  :(虚しすぎる)
  :(でも最近は)
  :(翔さんとのエッチ考えないオナニーじゃ上手くイケないし)
  :(てかあんなの忘れられるわけない)
  :(テクないとか言って嘘ばっか)
  :(結局気持ちよくイカされちゃったし)
  :翔さんに会いたいよぉ
  :好きって言いたいしもっかい抱いてって言いたい
  :翔さんの恋人に、なりたい……
  :(でも一回だけ特別にって抱いて貰ったんだもん)
  :(好きになっちゃったって言われても困るだろうし)
  :(家知ってるからって押しかけたら絶対迷惑だし)

【翔の自宅玄関ドア前】
壁に寄り掛かりながら翔の帰宅を待っている。
靴音が聞こえてそちらを向けば、驚いて目を瞠る翔と視線があった。

:なんで颯真くんがここに?
 :って、聞かなくてもわかる気がするからやんなるなぁ

颯真:俺が来た理由、わかってるの?

:当たってないといいなとは思ってるよ
 :とりあえず上がって
 :想像通りならこんなとこで話せる内容じゃないだろうし

颯真:はい

移動したリビングで促されるまま椅子に腰掛ける。

:で、またエッチしたくなっちゃったから抱いてって話?

颯真:なんでわかるの!?

:俺が想定してた以上に
 :いい思いをさせてあげられたみたいだから?
 :あと、他にも色々と試したい事があるみたいだったからな
 :またしてって言われる可能性はあるかもって思ってた

颯真:してって言ったらしてくれる?

:あの日、俺はちゃんと
 :今回だけ特別だと念を押しただろう?

颯真:わかってるけど
  :でも翔さんのこと好きになっちゃったんだもん

:いやそれ、思い込みだから
 :BLの読み過ぎだから

颯真:そんなことは

:本当にないって言い切れる?
 :優しくされて気持ちいいセックスして貰って
 :あの日、帰る前に何言ったか覚えてるか?

颯真:俺、何か変なこと言った?

:俺のことを理想の攻めだとかなんとか言ってたろう

颯真:それは、言った、けど
  :(だって本当に理想の攻めだなぁって思ったし)
  :(初エッチの余韻で浮かれまくってたし)

:初めてでも気持ちよくなれたのは
 :俺のテクがどうこうより
 :颯真くんが自分で慣らしてたからだと思うし
 :本当の俺は理想の攻めなんかとは程遠いから
 :俺を好きになったなんて言ってないでさ

颯真:でも俺、翔さんのこと考えながらじゃないと
  :オナニーでイケなくなったんだけど

:ちょっ、ええ……

大きなため息と共に頭を抱えこんでいる。
やはり相当困らせてしまったようだ。

颯真:(こうなるのはわかってたろ)
  :(でもここまで来て今更引けないよ)
  :(迷惑承知で押しかけてるんだから)
  :俺、本当に翔さんのこと
  :好きになっちゃったんだって思ってるんだけど
  :また抱いて欲しいし、恋人にだってなりたい
  :どうしたら信じてくれる?

:どうしたら、って言われても……

颯真:俺は翔さんじゃなきゃ嫌だし
  :他の人で満足なんて出来ないって思ってるけど
  :でも翔さんだから気持ち良くなれたんじゃなくて
  :俺が自分で弄ってたせいだってなら
  :他の誰かで試してくればいい?

:は?

颯真:他の人に気持ち良くして貰った後
  :それでもまだ翔さんが好きだったら
  :俺の好き、信じてくれる?

:待て待て待て
 :はぁ、もう、なんでそうなるんだ

颯真:だって諦めたくないから
  :出来そうなことは何でもしようと思って

:だからって他の誰かを試そうとか
 :よくそんな事を思いつくな

颯真:そんなにオカシイかな?

:それもBLの影響か?

颯真:どうだろ、そうかも?

:全くもう……
 :そんなに言うなら抱いてあげるから
 :他の誰かを試そうとするのはやめてくれ

颯真:抱いてくれるだけ?

:恋人云々は保留で

颯真:俺の好きが信じられないから?
  :それとも、俺じゃ翔さんの恋人にふさわしくない?

:そうじゃない
 :すぐに夢から覚めるだろうと思ってるだけだ

颯真:夢から覚める?

:俺を理想の攻めだと思って夢見てるんだよ
 :色々試して抱かれるのに慣れたら
 :きっと満足して興味をなくすと思ってるよ
 :もしくは、理想なんかじゃなかったって気付く方が早いかもな

颯真:(恋人にはならないけどセックスだけはしてくれるって)
  :(つまりセフレにならなるよって言われてるの?)
  :(まさかこんな話になるなんて思わなかったよ)
  :(セフレでも抱いて貰えるだけマシなのかなぁ)

:考え込んでるが、もちろん断ってくれても構わない
 :ただ、保留が不満なら諦めて他を探して欲しい
 :今の俺に、君と恋人になる選択肢はないよ

颯真:わかった
  :保留でいいから、抱いて下さい
  :(セフレなんてやだけど)
  :(でも諦めるのはもっと嫌だ)

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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい4

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4章 初めてのH

【翔のマンション】

颯真:まさか自宅に招待されるとは

:招待ではないな

颯真:わかってますって
  :あの車でラブホ入れなかっただけってのは

:抱いてくれるって言うまで絶対に車降りないって言った事もだ
 :言っておくが、

颯真:今回だけ特別、でしょ
  :わかってるよ
  :俺がまた変な男に引っかかるよりマシ
  :みたいな理由でオッケーしてくれたのも

:ならいい
 :風呂場に案内するからシャワー浴びておいで

颯真:はーい

【寝室】
ベッドの上にはバスタオルが敷かれローションやゴムの箱も見える。
それらにこの後の行為を意識してしまい恥ずかしい。

:早くこっちにおいで
 :それとも止める?

颯真:止めません
  :絶対抱いて貰いますから!

:そんなに意気込まなくても抱いてあげるって
 :それよりどんな風に抱かれたいの?

颯真:どんな、って

:BL読みまくったせいで抱かれてみたくなったなら
 :憧れのシチュエーションとかあるだろ?
 :希望の体位とか

颯真:なら、ラブラブな恋人みたいに
  :いっぱい甘やかされて繋がる時は正常位で
  :とか言ったら叶えてくれるの?

:ん、ふふっ

颯真:ちょ、なんで笑うの!?

:いや、それが本心だってなら
 :昼間の展開はさぞ不本意だったんだろうなと

颯真:本心ですけど!
  :こんな初めて絶対やだっ!って言って逃げましたけど

:そうなんだ
 :そういやキスから先の話は聞いてなかったな

颯真:(だってキスしてくれるとか言うから)
  :(話の続きどころじゃなくなったよね)
  :んー、まぁ、その後は
  :キス気持ち悪くて舌に噛み付いたら叩かれて
  :痛いの嫌ならおとなしく言うこと聞けって言われたけど
  :初めてがハメ撮りとか絶対嫌で
  :やだって言ってカメラ蹴倒したらそっちに意識向いたから
  :その隙に逃げました

:そうか……
 :暴力有りの脅しまでするのか

颯真:はい、でもそんな本気じゃなかったのかな
  :痛かったのは叩かれた時だけで
  :今はもう全然平気

:本当に?

颯真:別に頬赤くなってたり腫れてもないでしょ?
  :言うまで気づかなかったんだから

:そうだな
 :痛くないなら触ってもいい?

颯真:いいですよ

温かな手の平が頬を包んで気持ちがいい。

:本当にもう痛くない?

颯真:ちっとも
  :むしろ気持ちぃ

:俺に撫でられるのが?

颯真:ん、そう

:もっと?

颯真:ん、もっと

:なら目を閉じて?

颯真:はい

【ちゅ】
颯真:(あ、キス……)
  :(キスも、気持ちぃ)

【ちゅくっ】
颯真:んっ、ふっ……
  :(口の中、ゾワゾワする)
  :(でもちっとも気持ち悪くない)

口の中を探られながらゆっくりと体を倒されていく。
横たえた体をあちこち撫でられるのも気持ちが良かった。

颯真:(手付き、優しい)
  :(でも俺が感じるとこ探してる)
  :(撫でられてるだけでなんかエロい、ヤバい)
  :ぁっ……

:しっかり勃ってるね
 :気持ちいい?

颯真:気持ちぃ、です

:そろそろ後ろにも触っていい?
 :確か一人でする時に弄ってるんだよね?

颯真:う、あ、はい……
  :(確認されるの恥ずかしすぎる)
  :(てか匿名だと思って赤裸々に書きすぎたよな)

:じゃあ、触ってくね

颯真:はい、……ひゃぁ、んんっっ
  :(うわっ、人に触られるのって全然違う)

:声、我慢しなくていいから

颯真:でも、はぁんんっ

:可愛い声だよ、大丈夫

颯真:そんな、ぁ、あっ
  :(喋ろうと口開けたら別の声でちゃう)

:そのまま声聞かせてて
 :中、触るよ

颯真:ぁっ、ぅ……あ、あんっ
  :(翔さんの指、入ってる)

:思ったより柔らかいね
 :良かった

颯真:よか、った?

:車の中でも言ったけど
 :俺、そんなにテクあるわけじゃないからね?
 :初めての子をいきなり気持ちよく抱いてあげるなんて無理だから

颯真:(最初は確かにそう言われて断られたけど)
  :(本当に無理なのかなぁ)

:でも颯真くんが自分で弄って広げてたから
 :少なくとも怪我させたりはしなくて済みそう

颯真:俺、ずっと気持ちぃばっかですけど
  :テクないとか嘘でしょ?

:買い被り過ぎだよ

颯真:まぁでも、初めてが痛くて苦しいとかも
  :いっぱい読んだからダイジョブです

:そういうの読んでても最後までしたいの?

颯真:したいです
  :初めては絶対に翔さんがいい
  :翔さんと、最後まで、したい

:本当に君って子は……
 :未経験だって言うくせに
 :煽ってその気にさせて誘うの慣れすぎだろ

颯真:それも、いっぱい読んだから

:だろうね
 :それより、多分ここ、なんだけど

颯真:うぁっっ

お腹の中をぐっと押されてビクッと体が跳ねた。

颯真:え、や、なに
  :あ、ああ、えっ、やっ

:さすがに前立腺は開発できてないか

颯真:今の、前立腺?

:そう
 :でもまだ気持ちよくなかったね
 :普段はお尻弄りながら前扱いて気持ちよくなる感じ?

颯真:ん、そう、かな
  :お尻が気持ちいいってより
  :お尻に入ってる、っていうのがなんか興奮する感じで

:なるほどね
 :じゃあそろそろ本当に抱くけれど
 :なるべく楽にして、声はちゃんと聞かせてよ

颯真:ん、はい
  :(翔さんももうちゃんと勃ってるんだ)
  :(しかも本当に正常位で抱いてくれるんだ)
  :(どーしよめちゃくちゃ嬉しい)
  :ぁっ、すごっ、入って……ぁあっっ

:痛くない?

颯真:ん、へーき、です、ぁ、あんっ

:ふふっ、思ったより気持ちよさそうな声出てるな
 :ほら、これで全部入ったよ

颯真:ホント?嬉しい
  :(初めてが翔さんでホント良かった)
  :(ちょっと強引に頷いて貰ったけど)
  :(抱いてってお願いして良かった)

へにゃっと頬を緩ませ笑えば柔らかに笑い返された。

続きました→

 
 
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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい3

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3章 本当に来てくれた

【日が落ちて暗い路地裏】
:君が腐男子の颯真くん?

そっと掛けられた声に慌てて立ち上がった。
目の前の男は背が高く、見上げながら頷いてみせる。

颯真:そ、です

:良かった
 :俺が来るまで見つからずに済んだみたいだな

颯真:あ、あの
  :あなたが、通りすがりの、翔、さん?

:そうだよ

颯真:ほんとに、来てくれるなんて思わなかった

:待ってる間不安にさせた?
 :でも絶対行くって言ったし
 :到着予定時間もオーバーしなかったろ?

颯真:そ、ですけど、でも……
  :(だって掲示板でたまたま見つけただけの他人だよ?)

:目が赤いな、泣きそうだ
 :こんな場所で一人待たせてたのは悪かった

颯真:謝らないでよっ
  :来てくれて、嬉しいんだ
  :ホッとしただけ、だから

言葉にしたら緩んでいた涙腺が決壊した。

颯真:ご、ごめっなさ

:気にしなくていい
 :なんなら胸を貸そうか?

頷けばふわりと抱きしめられる。
柔らかなリズムで背を叩かれながらひとしきり泣いた。

颯真:(落ち着いてきたら途端に恥ずかしいぞこれ)
  :(ど、どうしよ)

:そろそろ落ち着いた?

颯真:は、はいっ

:車で送られることに抵抗がないなら車で
 :会ったばかりの男の車に乗るのが不安なら公共交通機関で
 :ここまでくれば安心と思える場所まで送るがどうする?

颯真:電車とかで送ったらまたここに戻ってくるの?

:まぁそうなるな

颯真:じゃあ車で

:なら車まで案内しよう

颯真:はい

:しかし怖くないのか?
 :タクって男に襲われかけた直後なんだろう?

颯真:車に乗ったら翔さんも豹変して押し倒してきますか?
  :カーセックス興奮するだろ、みたいな

:そんな性癖はないな
 :それにそんなことをしたらクビが飛ぶ

颯真:クビが飛ぶ?

:急いでいたから職場の車を借りてきたんだ
 :車体にばっちり社名が入ってる

ほらと言われて指された先の車の側面には飼沼不動産の文字が書かれている。

颯真:ホントだ、って、もしかして仕事中だった??
  :(気にしてなかったけどよく見りゃスーツじゃん)
  :(不動産屋勤務なら土曜仕事も当然か)

:いや今日の業務は終わってた
 :ただ昼に見た「今から会う」って書き込みが気になって
 :何度も掲示板をリロードしてた

颯真:だからあの早さで返信してくれたんだ
  :正直あれはかなりビックリした

:おかげで「助けて」にすぐ反応できて良かったよ

ふわっと柔らかに笑われて心臓がドキンと跳ねた。

【車の中】
自宅最寄り駅へ送って貰いながら今日起きたことを話している。
しかし強引に口を塞がれたという場面で言葉が詰まる。

:さっきも言ったけど
 :聞きたいと言ったのは俺だが無理して話す必要はないんだからな?

颯真:いや俺も聞いて欲しいんで
  :ただちょっと、
  :口の中好き勝手舐められて気持ち悪かったの思い出しちゃって
  :体中ゾワゾワしたっていうか

:好きでもない相手とのキスに拒否反応を起こしたんだろう

颯真:そう、なのかな……

:もしくはやはりBLが好きなだけでゲイではないんじゃないか?

颯真:あー……
  :(そっか、掲示板に書いたこと全部知られてるんだ)
  :(ゲイじゃないなら翔さんでも同じように気持ち悪いのかなぁ)
  :(確かめてみたいけどキスしてなんて言えないか)

:どうした?

颯真:いえ、なんでも

:試してやろうか?

颯真:え?

:キス、俺ともしてみる?

颯真:ええっっ!?

:今、俺とキスしても気持ち悪いのかって考えたろ?

颯真:なんでわかったの!?

:視線?

颯真:ほんとに、してくれんの?

:ただの腐男子でゲイじゃないんだって自覚ができれば
 :抱いてくれる相手を探そうなんて思わなくなるだろ?

颯真:(ゲイじゃない前提かよ)
  :じゃあもし翔さんとのキス
  :気持ち悪くなかったら?

:その時はあれだ
 :あーなんて言ったっけオキヨメ?

颯真:オキヨメ?ってまさかお清めセックス?
  :レイプされた受けが
  :恋人とか好きな相手とかに抱いて貰う的なアレ?
  :嫌な記憶上書きしてあげる、みたいな

:ああ、それだな
 :お清めと言うよりは記憶の上書きだ

颯真:あの、翔さんてBL読むんですか?

:そりゃ多少は触れる機会もあるよ
 :腐男子と言えるほど好んでは居ないが

颯真:そっか……

:それで、どうする?してみる?

颯真:して欲しい、です

:なら車どっか停めるからちょっと待ってね

やがて車通りの少ない路肩に車が停止した。

:颯真くん

そっと肩を抱かれて相手の顔が近づいてくる。
しかしキスは一向に深くならず何度も軽く触れては離れていく。

颯真:あの……

:もっとリラックスして
 :怖くなくなったら自分から少し口を開いて

颯真:あ、そっか……
  :(無意識だったけど、口、固く閉じてた)

:いいよ
 :気持ち悪いキスされたばっかりだろ
 :颯真くんの気持ちの準備が出来てからね

颯真:(これ深くなっても絶対気持ち悪くなんか思わないよね)
  :(翔さんになら口の中も舐めて欲しい)
  :(早くキスの上書き、して欲しい)

意識的に口を開けばゆっくりと舌が入り込んでくる。

颯真:んっ
  :(ほらやっぱ全然気持ち悪くない)

【ちゅ……ちゅく、ちゅっ】
颯真:ぁっ……はぁ……
  :(音、小さいのになんか凄くエロい)
  :(どうしよ気持ちぃ)
  :(上書きなんかじゃなくて最初がこのキスだったら……)
  :(っていうかファーストキスがあんななの最悪だよ)

:颯真くん?

颯真:も、っと

:泣いてるのに?

颯真:えっ?

:泣いてるよ

颯真:あれ?

:これではっきりしたろ
 :ゲイじゃないなら

颯真:違っ!
  :凄く気持ちよかった、です
  :ただちょっと思い出して悔しくなっただけで

:悔しい?

颯真:あんなキスされたくなかった、って
  :このキスが上書きのキスじゃなければ良かったのにって

:そうか

颯真:ねぇ翔さん、俺、翔さんに抱かれたい

:は?

颯真:俺の初めて、翔さんに貰って欲しい
  :俺、初めては絶対翔さんがいい

続きました→

 
 
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HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい2

1話戻る→    目次へ→

2章 豹変

静かな部屋の中、二人の男が黙々と漫画を読み耽っている。

颯真:はぁ……
  :(ヤバい)
  :(なんかムラムラしてきた)

タク:どうした?

颯真:いえ、なんでも……
  :(エッチシーンが激しくて興奮したなんて言えない)

タク:顔赤くなってるけど
  :もしかして刺激強すぎた?

颯真:いや、あの
  :(バレバレじゃん)

タク:別に隠さなくっていいよ?

颯真:いやいやいや
  :普通に恥ずかしいですって

タク:まぁ恥ずかしがってるのもそれはそれでソソるけどね

颯真:え?

タク:寝室行こうか

颯真:は?

タク:おいで

本を置いて立ち上がったタクに腕を引かれて焦った。

颯真:ま、待っ、あのっ
  :し、寝室って、なんで……

タク:なんで、って、抱いてあげようと思って?
  :さすがにここで押し倒すのはムードなさすぎるしね

颯真:(当然みたいな顔して言われても困る)
  :俺、そんなつもりは……
  :(タクさんとは確かにめっちゃ盛り上がったけど)
  :(ここ来たのは本読ませて貰うだけのつもりだったし)

タク:うん、俺のBL本が目当てなのはわかってるよ

颯真:なら!

タク:でも勃ったんでしょ?

颯真:それは、だって
  :(タクさんのオススメ本って過激なの多いんだもん)

タク:別にそう大げさに考えなくても良くない?
  :ゲイじゃなくても腐男子でそういう事に興味津々なんだろ?
  :大丈夫、俺、上手いからさ

颯真:いやそんな、自信満々に言われても

タク:せっかく来たんだから試すだけでもしてみよ?
  :読んでた本と同じ事、されたくない?

颯真:それは……
  :(そりゃ興味はあるけど)
  :(でもタクさんとしたいかって言うとなぁ)
  :(だって今もちっともドキドキしてないし)

迷っている内に強引に立たされ隣室へ連れて行かれる。
部屋の中にはベッドに向けられたカメラが用意されていた。

颯真:なんでカメラ?
  :あっ……
  :(そういや掲示板の新しいコメント)
  :(業者だから気をつけろってまさか……)
  :タクさんってAV撮る人?

タク:何言ってんの違うよ
  :カメラはね、撮りながらするのが好きなだけ
  :不安なら最後にちゃんとデータ消してあげるからさ

颯真:(なにそれ絶対ウソだろ)

タク:普通にするより興奮するよ?
  :って言っても経験ないんだっけ
  :抱かれたことなくても女の子とはしたことある?

颯真:(それもないけど)
  :(でも言いたくない)

タク:あれれ?
  :もしかして童貞だったりする?

ニヤニヤ笑われてキュッと唇を噛み締める。

タク:ああ、やっぱ童貞っぽいなぁ
  :全然経験ないのにBL読みすぎて抱かれてみたくなっちゃったとか
  :腐男子くんは夢見がちだねぇ

颯真:BLがファンタジーだってのは俺だってわかってますよ

タク:いやいや別に悪くはないよ?
  :初めてなのにこんなに気持ちぃ〜みたいなの
  :ちゃんと経験させてあげるよ?

颯真:いいです要らないです
  :俺、帰りますから

タク:バカだねぇ、すんなり帰すわけ無いだろ

颯真:んぅっ

唇を塞がれとっさに口を閉じようとしたが間に合わない。
ぬるりと相手の舌が入り込んできた。

【ちゅ、ぴちゃ……ぢゅうっ】

颯真:(うぇ、なにこれ)
  :(ベロチューってこんななの!?)
  :(気持ち悪い気持ち悪い)
  :(ヤダヤダヤダ)

【ガリッ】

タク:痛っっ

相手の舌に思い切り歯を立ててしまえば相手が呻いて顔が離れていく。
しかしホッとする間もなく頬に熱い痛みが走る。

【バシッ】

タク:おいこら、いい度胸だな

【バシッ】

颯真:や、やだ、やめて

タク:痛い目見たくなきゃ大人しくしてな
  :あんま暴れっと縛るからな?
  :そういうプレイよか優しく気持ちよくのがいいんだろ?
  :ラブラブ恋人セックスがお好みっぽいもんなぁ?

颯真:(さっきまでのタクさんと全然違う)
  :(怒らせたんだろうけど顔も口調も怖すぎる)

タク:おい、返事は?

颯真:は、はいっ
  :(なに返事しちゃってんの俺)

タク:わかったならほら
  :ハメてるとこ撮るんだからベッド行けよ

颯真:(行ったらそのまま抱かれちゃうんだ)
  :(いくらBLはファンタジーって言ったって)
  :(こんなのってないだろ)

タク:やっぱ無理やりされる方がいいか?

掴まれた腕をとっさに振り払い相手のことを突き飛ばした。

颯真:こんな初めてやだっ
  :絶対いやだっ!

設置されたカメラを思い切り蹴り倒してやる。

タク:あ、この野郎
  :待てっ、ああくそ、カメラが

荷物を掴んでアパートを飛び出した。

【狭い路地裏】
颯真:ハァ、ハァ、ハァ
  :(足、震えて上手く走れない)
  :(追ってきてはいないみたいだけど)
  :(とりあえずここで様子見しよう)
  :(とにかく落ち着かないと)

携帯を取り出し例の掲示板を覗いてみる。

颯真:(これもうすっかり癖になってるな)
  :(でも人の悩み読んだり書き込みに返事貰ったりするの)
  :(なんか凄く安心するし落ち着くんだよな)
  :あ……
  :(さっきの返事来てる)

掲示板/通りすがり:君は他所の掲示板は覗いていないんだろうな
         :あちこちでタク・タクト・タッくんなどの名前で
         :誘いをかけてる男がいる
         :ゲイ掲示板慣れしてなさそうな若者がターゲットだ
         :巧みに誘い出し家に連れ込み行為を撮影するらしい
         :合意がなかっただの動画が流出しただの
         :被害報告をいくつか読んだことがある
         :当人とは限らないが直接会うのは止めたほうがいい

颯真:(これもっと早く知りたかったなぁ)

掲示板/通りすがり:その後の書き込みがないがもしかして遅かったか?
         :家には行ってないといいんだが
         :心配だな
         :無事なら何か一言書き込みして欲しい

颯真:(通りすがり、なんて名前なのに)
  :(凄い心配してくれてる)
  :うぅっ……

掲示板越しではあるが人の優しさに触れて涙が溢れてきてしまう。

掲示板/腐男子:助けて

颯真:(こんな書き込みしたって助けてくれるわけないんだけど)
  :(でもちょっとくらい夢見たっていいよね)
  :(大丈夫か、心配したぞって、イケメンが駆けつけてくれる的な)
  :(そもそも俺の居場所も知らないで駆けつけるもないけどさ)
  :はぁ〜……
  :あれ?

掲示板内をウロウロと眺めていると先程の書き込みに返信が付いている。

掲示板/通りすがり:連絡先を載せたから直接メールしておいで
         :今いる場所をここに書き込むようなことは
         :絶対にするなよ

颯真:う、そでしょ
  :(いくら地域別の掲示板だって言っても)
  :(それなりの範囲はあるのに)
  :(俺が今どこにいるかも知らないで)
  :(なのにまさか本気で助けに来てくれる気なの?)

半信半疑ながらもメールアイコンをクリックしてメッセージを打ち始めた。

続きました→

 
 
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