夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい1

CHAT NOVEL@CHATNOVEL)さんで公開された「夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい」(リンク先は試し読みのWeb版で3章まで読めます)がアプリで読めなくなったので全文公開します。

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1章 腐男子仲間

【土曜の昼時】
カフェチェーン店内で若い男が落ち着きなく手元の携帯を弄っている。

颯真:(あーやっぱ緊張する)
  :(掲示板ではめっちゃ意気投合したけど)
  :(実際にどんな人が来るのかわかんないもん)
  :(気持ち落ち着けたいな)
  :(もう一回、タクさんとのやり取り読み返そうかな)

慣れた手付きでいつも利用しているゲイ向けの相談掲示板を開いた。

颯真:あ……
  :(新しいコメントが付いてる)

掲示板/通りすがり:随分と楽しげな所に水を差す様で悪いが
         :タクと名乗っているその男は業者の可能性が高いので
         :気をつけたほうが良い

颯真:え?
  :(業者ってどういう意味?)
  :(気をつけろって何を?)

掲示板/腐男子:今から会うことになってるんですけど
       :気をつけた方がいいってどういう事ですか?

タク:えっと、君かな
  :君が腐男子くん?

送信ボタンを押した所で声を掛けられ慌てて声の主を見る。
どうやら待ち合わせ相手が来たようだ。

颯真:あ、はい
  :(どうしよ、本人来ちゃった)

タク:良かった
  :想像してた感じとだいぶ違ってたから声かけるの迷ったよ

颯真:え、そうですか?
  :(タクさんも想像とは違うなぁ)

タク:うん、思ってたよりずっとかっこよくて可愛かった

颯真:普通だと思いますけど
  :というかどんなの想像してたんですか

タク:腐男子なんて名前で書き込みしてる子だからね
  :メガネとかいわゆるオタクファッション的なのとか

颯真:まぁ友達とかには隠してますしね

タク:そっか
  :で、俺はどう?想像通り?

颯真:んー……もうちょっと若いイメージでしたね
  :あと思ってたよりイケメンでした
  :(想像してたよりチャラそうだけど)

タク:お、嬉しいこと言ってくれるね
  :これは期待しても良いのかなぁ

颯真:期待、ですか?

タク:だってBLに憧れてゲイ掲示板出入りしてるんだろ?
  :BL読みすぎて抱かれてみたくなったのがきっかけ
  :って書いてたじゃん

颯真:そ、ですけど
  :でもタクさんとはそういうのじゃ……

タク:わかってるって
  :俺のBL本目当てだもんな

颯真:そ、です
  :さっきも友達には隠してるって言ったけど
  :腐男子仲間とかホント嬉しくて
  :今日も会うのすごく楽しみで
  :でもこんな風に誰かと会うの初めてで
  :(しかもさっき掲示板に変な事書かれてたし)

タク:うんうん、わかるよ
  :まだ緊張してるかもだけど
  :BLトーク始めたらそんな緊張あっという間にどっか行くだろ?

颯真:ですね、多分

タク:掲示板でめっちゃ盛り上がったもんな俺ら
  :俺も今日すっごく楽しみにしてたよ

ニコッと人懐っこい笑顔を見せられ釣られて笑ってしまう。

タク:よし、じゃあ、そろそろ移動する?

颯真:あ、はい

タク:ところでさ

颯真:なんですか?

タク:さすがにずっと腐男子くんとは呼びにくいんだけど
  :名前、教えて貰えない?

颯真:あ、颯真です

タク:かっこいい名前だな
  :それってHN?本名?

颯真:本名、です

タク:そっかそっか

颯真:(なんか凄く嬉しそうなんだけど)

タク:じゃあ行こうか颯真くん

【タクのアパート】
ローテーブルの上やその周りに沢山の本が積まれている。

颯真:凄いっ!
  :これ全部BL!?

タク:もちろん

颯真:どうしよ
  :この量、絶対読みきれない

タク:泊まりでもいいって言った意味わかった?

颯真:はい
  :一応親にも、泊まるかもとは言ってきました
  :(さすがに本当に泊まる気はなかったんだけど)
  :(でもこれを目の前にしたらなぁ)

タク:なら存分に読んでいきなよ

颯真:本当に?

タク:どうぞどうぞ

颯真:俺きっと読むの集中しちゃうけど

タク:何言ってんの
  :そのために来たんだろ〜
  :俺は全部一度読んでるし、適当に何か読み直して時間潰してるから
  :颯真くんが読み終えたタイミングで感想とか言い合おうよ

颯真:それすげー楽しそう!

タク:だろ?
  :一応机の上のが特にオススメのやつな

颯真:じゃあそっちから読みます

続きました→

 
 
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俺が眠らせてあげるから(目次)

CHAT NOVELさんでWeb版が3章まで読めます。
社会人と学生。本編7章+後日談3話。
添い寝やのキャストとして働く主人公のケイが、オーナーであるシュンからの依頼で、不眠が酷いという男性客(修司)を取ったら、その男性客に惚れてしまう話です。恋人エンドでキスまで。
後日談は、そんな二人が初めて体を繋げるセックスをする話。
修司視点で、自分が抱かれる側になるんだと思いこんでいた修司が、ケイを抱きます。

1章 オーナーからの紹介
2章 もっと知りたい
3章 不眠の原因
4章 友だちになりたい
5章 恋人になりたい
6章 元カノ訪問
7章 手放せないなら恋人に
後日談1
後日談2
後日談3

 
 
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俺が眠らせてあげるから7(終)

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7章 手放せないなら恋人に

【ピコン♪】
ケイ:(あれ、修司さんからLINE?)
  :(今夜の依頼はないはずなのに)

修司LINE:昨日の夜、由香と会ったって本当?

ケイ:(なんで知って……)
  :(って、どう考えてもあの女が話したんだよな)

ケイLINE:本当です

修司LINE:泊まらず帰ったのはそのせいだったりする?

ケイLINE:多少は……

修司LINE:直接会って話聞きたいんだけど
     :今日、家来れる?

ケイLINE:はい

ケイ:(添い寝関係なく呼ばれるの初めてなのに)
  :(ちっとも嬉しくないよ)
  :(むしろ何言われるか怖い)

【修司の家のリビング】
促されて緊張しながら対面の席に座る。

ケイ:それで聞きたいことっていうのは……

修司:由香から聞いたんだけど
  :俺にこれ以上関わるなって言って追い返したの?

ケイ:そうですね

修司:由香との事が俺のトラウマになってるとか
  :だからケイくんに添い寝頼んでるとか
  :そういうのも言ってくれたんでしょ

ケイ:すみません

修司:なんで謝るの

ケイ:余計なことまで話しすぎたと言うか
  :腹立って守秘義務守れなかったと言うか

修司:ああ、そうか
  :でもケイくん、俺のことお客ってあまり思えない
  :みたいなこと言ってたしね

ケイ:でも仕事として、お金貰ってる立場ですし
  :それはもっと自覚してなきゃいけないのに

修司:由香から追い返されたって聞いて
  :嬉しかったから気にしなくていいよ

ケイ:嬉しかったんですか?

修司:うん

ケイ:良かった……
  :余計なことするなって、怒られるのかと思ってました

修司:なんで?

ケイ:だってあの女、じゃないや由香さんが

修司:由香に何言われたの?

ケイ:すっごい自信満々に
  :修司さんが復縁を喜ぶはずだって

自信満々の部分を強調すれば修司から苦笑が漏れる。

修司:それはさすがにないけど

ケイ:ですよね〜

修司:でも由香らしいというか
  :俺がそう思わせるような彼氏だったせいだな
  :不快な思いさせてゴメンな

ケイ:不快というよりは不安ですかね

修司:不安?

ケイ:もし由香さんに未練あったらどうしようかと

修司:そういや由香にも俺を好きって言ったって?

ケイ:事実ですから

修司:由香を追い返したのは客の俺を起こさないためだけじゃない?

ケイ:当たり前でしょう
  :少なくとも来客の報告くらいはしますよ
  :結局由香さんから聞いちゃったみたいですけど

修司:由香が俺に接触してこなかったら
  :何もなかったことにしたかった?

ケイ:そうですね
  :知られたくなかったです
  :だって聞いてますよね?

修司:何を?

ケイ:俺が、絶対奪わせないって言ったのとかも

修司:ああ、うん、聞いた

ケイ:恋人でもないくせにって言われたし
  :それは事実で……

胸に痛みが走ってつい俯いてしまう。

修司:困ったな

ケイ:えっ?

慌てて顔を上げれば確かに困り顔だけれど笑っていた。

修司:添い寝依頼も未だ止められないのに
  :こんなの知ったらますます君が手放せなくなりそうで

ケイ:えっ、じゃあ
  :(これってチャンスだよな?)
  :俺を恋人にしちゃえば……

修司:そうしたい気持ちは確かにあるかな

ケイ:それなら!

修司:でも両想いなら即恋人にってわけにも行かないでしょ

ケイ:え、なんで!?
  :俺と恋人になるの怖いですか?

修司:いや、ケイくんとなら
  :もっと関係を深めていけそうって思えてる

ケイ:なら他に何が問題ですか?

修司:俺の独占欲?

ケイ:ってのはどういう意味です?

修司:だって恋人が他の誰かと添い寝してるの
  :嫉妬しないでは居られないよ

ケイ:あ、なんだそんなこと

辞めると告げれば何故か慌てられてしまう。

ケイ:(あれ?ホッとしてくれるんじゃないの?)

修司:そんな簡単に言わないで
  :ケイくんは先輩のとこの売れっ子でしょ
  :結構な額稼いでるんだろうし
  :それを手放せとは言いにくいよ
  :今の俺じゃ金銭的フォローは何も出来ないし

ケイ:俺、本業大学生って知ってますよね?
  :今度の春卒業ですよ

修司:それは知ってるけど
  :まだそれなりに先だよ

ケイ:ほんの数ヶ月ですって
  :もともと続けられるかわからないんだし
  :今辞めたって惜しいことなんかないです

修司:でもその数ヶ月でも先輩としては

ケイ:それもです
  :多分シュンさんおめでとうって言ってくれますよ

修司:え、何がおめでとう?

ケイ:俺、シュンさんに報告済みなんです
  :修司さん好きになっちゃったって

修司:ええっ!?

ケイ:修司さんを諦めずに支えてやってって
  :俺の背中押してくれたのシュンさんです

修司:ま、じで……

ケイ:マジですね
  :あ、じゃあシュンさんに聞いてみましょうよ

携帯を取り出して軽く振ってみせる。

修司:聞くって何を?

ケイ:修司さんとお付き合いするから仕事辞めていいですかって

修司:本気で?

ケイ:もちろん

ケイLINE:修司さんと付き合いたいから仕事辞めたいんですけど

ケイ:はい、送りました

LINE画面が見えるよう修司の前に置いてやる。

【ピコン♪】
ケイ:あ、返信早い

修司:……まじか

ケイ:なんて返ってきました?

修司:ほら自分で確かめなよ

シュンLINE:わかった
      :店のことは心配しなくていいから
      :修司のこと、よろしく頼むな

ケイ:ね、大丈夫だったでしょ

ケイLINE:任せて下さい!

ケイ:シュンさんにも任せてって送っちゃったし
  :これで恋人にしてくれなかったら泣いちゃいますよ俺

修司:これで断るわけ無いだろ
  :好きだよケイくん
  :俺の恋人になって下さい

ケイ:やった!
  :修司さん大好き!
  :これからは恋人の俺をよろしくお願いします

喜びで頬が緩むのを抑えられない中、修司の顔が近づいてきてそっと唇が塞がれた。

<終>

後日談を読む→

 
 
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俺が眠らせてあげるから6

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6章 元カノ訪問

【修司の家の寝室】
部屋は暗く、いつもの添い寝体勢でベッドに入っている。

修司:今日も、来てくれてありがとうな

ケイ:俺、言いましたよね?
  :必要だよって言われたら駆けつけますよって

修司:そうだけど
  :色々お断りしちゃってるしさ
  :いつ愛想尽かされてもおかしくないし

ケイ:でもそれって
  :今はまだ人と深く関わるのが怖いからでしょ?
  :いつかまた人と関わりたくなった時に
  :俺を友達とか恋人とかに選んで貰えればいいかなって

修司:ケイくんのそういう前向きなとこ良いよね

ケイ:惚れてくれていいですよ?

明るく言い放って笑えば釣られたように修司も笑う。

修司:んふふ
  :考えとくよ

ケイ:ぜひ前向きにお願いしますね
  :(この前気まずくなったけど)
  :(ちゃんと話せてるし笑ってもくれるし)
  :(今はこれで満足しないとな)
  :さ、そろそろ目ぇ閉じて

修司:もう閉じてる

ケイ:じゃあお休みなさい、いい夢を

修司:うん、おやすみ

すぐに修司の寝息が聞こえてくる。
しばらくはそのまま様子を見て深く寝入るのを待った。

ケイ:(もういいかな?)
  :(この後予定ないし今日も泊まっちゃお)

眠るつもりで目を閉じたその時。

【ピンポーン♪】
ケイ:(あれ、こんな時間に客?)
  :(このまま出なければ留守と思って帰るかな?)

【ピンポーン♪】
ケイ:(あ、ダメだ)
  :(修司さん起こしたくないし、とりあえず俺が出るか)

そっとベッドを抜け出して玄関へ急いだ。

ケイ:どちら様ですか?

由香:修司?
  :私、由香

ケイ:(由香?)
  :(修司って呼び捨てたし、もしかして元カノ!?)

由香:お願い開けて、話があるの
  :ねえ、お願いだから

【ピンポーン♪】
ケイ:(あ、またチャイム鳴らしやがった)
  :(まさか出るまで鳴らす気か?)

【ガチャ】
修司が起きてしまわないよう渋々ドアを開ける。

由香:良かった修司!
  :って、誰?

ケイ:初めまして由香さん?

由香:修司のお友達?

ケイ:ではないですね
  :(お断りされちゃったしね)

由香:じゃあなんで修司の家にいるの?
  :え?まさか引っ越した?

女は焦った様子で表札を確認している。
その間にケイ自身も部屋の外へ出てしまう。
絶対に入れないと思いながら背中でドアを塞ぐように立った。

ケイ:修司さんの家で間違いないですよ
  :彼、今、眠ってるんで静かにして貰えます?

由香:眠ってるって具合でも悪いの?
  :看病に来てる知り合いだってなら私が代わるわ
  :あなたもう、帰っていいわよ

ケイ:そういうわけに行きません
  :そもそもあなたが何者かも知りませんし
  :(元カノだろうとは思ってるけどね)

由香:彼女よ

ケイ:恋人は居ないって聞いてますが

由香:それは……

ケイ:恋人を語る得体のしれない女なんて
  :ますます家に上げるわけには行きませんね

由香:違うわ
  :今はちょっと別れてるだけで
  :本当に恋人なのよ

ケイ:(は?何言ってんだコイツ)
  :(二股の挙げ句、婚約して修司さん振ったんじゃないのかよ)
  :今は別れてるなら恋人じゃないでしょ
  :元カノはお呼びじゃないんでお帰り下さい
  :でもって二度と来んな

キツめに吐き捨てれば嫌そうに顔を歪める。

由香:というか本当にあなた何者なの?
  :寝てるって言っても修司居るんでしょ?
  :だったら本人に確かめてきなさいよ
  :由香が来たよって
  :絶対喜んで部屋に上げてくれるわよ

ケイ:本当に自分勝手なんですね
  :寝てるって言ってるのに確かめてこいって
  :つまり彼を起こせってこと?

由香:そこまで具合が悪いわけ?
  :ちょっとくらいなら平気でしょ?

ケイ:ダメです
  :そもそも俺が、あなたを修司さんに会わせたくない

由香:なんでよ!
  :というか私のこと知らないでしょ

ケイ:会うのは初めてでも最悪な元カノの話は聞いてますって

由香:修司は私を最悪な元カノだなんて言わないわ

ケイ:(確かにそうは言ってないけど何だこの自信)
  :(修司さん優しいから相当この人甘やかしてたんだろうなぁ)
  :(ダメとか迷惑とか、ほんっと全然言わない人だし)
  :婚約者居るんでしょ
  :そんな女性が夜に別の男性宅を訪れていいんですか?

由香:だからちょっとそのこと含めて相談というか
  :とにかく修司と話がしたいのよ

ケイ:修司さんを余計なトラブルに巻き込まないで欲しいんですけど
  :別れてるならもう修司さん無関係でしょ

由香:無関係じゃないわよ
  :付き合ってたんだから

ケイ:まさか自分からフッたんだから
  :未練があるはずとか思ってませんよね?
  :そんなもん残ってないし、
  :むしろあなたとのことはトラウマになってますし
  :つまりこれ以上修司さんに関わるなって言ってんですよ

由香:トラウマ?

ケイ:そうですよ
  :人間不信と睡眠障害であの人ボロボロでしたよ

由香:人間不信と睡眠障害?

ケイ:俺は頼まれて添い寝してる添い寝屋です

由香:添い寝って、え、修司と一緒に眠ってるってこと?
  :え、うそ、気持ち悪い
  :なんでよりによって男なんかに添い寝頼むの

ケイ:それだけあなたが残した傷が大きかったってことですってば!
  :女性とは同じベッドに入れないそうですよ

:つまり私にフラれてゲイになったってこと?
  :それ本当なの?

ケイ:(違うけど訂正する気になれない)
  :最近だいぶマシになってきたんです
  :あなたのことは極力思い出させたくないんです
  :だからお願いします、帰って下さい
  :そして二度と修司さんと関わらないで下さい

由香:あなたは修司が好きなの?

ケイ:好きですけど
  :それが?

由香:なんだ
  :じゃあ私と復縁されるとあなたが困るってだけじゃないの?

ケイ:はぁ!?
  :復縁なんかするはずないだろ
  :というか婚約者いるだろ
  :その状態でまた二股かける気かよ
  :どんだけ修司さん傷つける気だよ

由香:婚約は破棄するかもしれないし
  :そうしたら別れるし二股にならないわよ

ケイ:身勝手なのもいい加減にしろ
  :本気で修司さんとやり直したいなら
  :せめて婚約破棄されたあとで来いよ
  :絶対奪わせないけど

由香:恋人でもないくせに

ケイ:恋人じゃないのはお互い様だろ
  :とにかく俺が居る時は絶対会わせないから
  :諦めて帰って

由香:わかったわよ!

女の姿が見えなくなってからホッと安堵の息を吐いた。
寝室に戻って修司が眠っているのを確認する。

ケイ:修司さん

起こさぬように小声でそっと呼びかけた。

ケイ:元カノ、追い返しちゃったけど……
  :(もし知られたら何て言われるかな)
  :(余計なことしたって言われないといいんだけど)
  :元カノに未練なんて、ない、よね?

不安から微かに声が震えている。

ケイ:泊まるつもりだったけど今日は帰りますね
  :いい夢、見て下さい

続きました→

 
 
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俺が眠らせてあげるから5

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5章 恋人になりたい

【朝のリビング】
ケイの作った朝食を一緒に食べている。

修司:結局、ケイくんが朝ごはん用意するようになっちゃったよね

ケイ:だって、修司さんに俺が作ったご飯食べて欲しくて

修司:って言われちゃうから
  :俺もついつい甘えちゃうんだよなぁ
  :ケイくんのご飯美味しいし

ケイ:もっと甘えてくれていいですよ?
  :(ちゃんと嬉しいのに……)
  :(でも好きって気づいちゃったから)
  :(胸の中もやもやする)

修司:どうかした?

ケイ:え?

修司:少し浮かない顔してる
  :お泊りの頻度多すぎて、ケイくんが寝不足になってない?

ケイ:(ないとは言い切れないかも……)
  :大丈夫ですよ
  :だから泊まるのなしって言わないで?

修司:そうは言ってもさ

ケイ:俺が泊まるの、迷惑じゃないでしょ?
  :添い寝の依頼も続けてくれてるし
  :嫌ならはっきりダメって言うなり
  :俺を呼ぶの止めるなりしてるはずだよね?

修司:迷惑ではないけど心配はするよ
  :ケイくんの添い寝があるのとないのとで
  :睡眠の質が違うの自分でわかってるから
  :ケイくんの体調が悪くなれば俺の睡眠にも関係してくる

ケイ:(俺を心配するのは安眠確保のためか)
  :(そりゃそうだって思うのに)
  :(胸、痛い……)

修司:ああ、本当に具合悪そうだな
  :食べ終えたら今日は帰るといい
  :それとも、今すぐ帰るかい?

ケイ:や、やだ!

修司:ヤダって言われても……

ケイ:本当に平気だから
  :帰れなんて言わないで
  :だって俺が修司さんとこ来れるの
  :添い寝の依頼入ったときだけなんだよ?
  :少しでも長く修司さんと一緒に居たいよ

必死に言い募るが逆効果だったかもしれない。
微妙な顔をされて、しまったと焦る。

ケイ:あ、その……
  :ごめんなさい、俺
  :あまりに必死過ぎだった
  :あの、もしかしてドン引き……?

修司:ドン引き、ではないけど

ケイ:ないけど?

修司:お金になるわけじゃないのに
  :ケイくんが俺と一緒に居たがる理由がわからなくて
  :前に友達になりたいって言われたときも驚いたけど
  :トラウマ持ちの引きこもりで睡眠障害まである男の
  :何がそんなに興味をひくのかなって

ケイ:そんなの……
  :(どうしよ、なんかずっと胸痛い)
  :好きになっちゃったから、ですよ
  :(ああ、言っちゃった)

修司:ん?
  :今、好きって言った?

ケイ:言いました
  :この前、友達になりたいって言ったけど
  :でも多分本当は
  :恋人になりたいんだと、思う

修司:恋人……

ケイ:眠れないなら毎晩だって隣で一緒に寝てあげたいし
  :気持ちよさそうに眠ってると嬉しくて仕方ないし
  :添い寝屋キャストやる上でいっぱい研修受けたり
  :売れっ子って言われるくらい実績出したり
  :そういうの全部、修司さんと出会うためだったのかもって
  :最近は、そんな事まで考えてる

修司:いやちょっと、待って

ケイ:やっぱ男の俺じゃ、ダメですか?

修司:そうじゃなくて
  :あー……

修司が言葉を探すのを、ただじっと待ってしまう。

修司:驚いたけど気持ちはありがたいと思うよ
  :ただ友達にはなれないって言ったのと同じ理由で
  :今はとてもじゃないけど
  :恋人なんて作る気になれないんだ

ケイ:そ、ですよね……

その後、気まずいまま時間だけが過ぎていく。
結果、朝食後には修司の家を後にした。

ケイLINE:シュンさん、ごめんなさい

シュンLINE:どうした?

ケイLINE:俺、修司さんのこと好きになりました

シュンLINE:え?

ケイLINE:客に本気になるなんてキャスト失格ですよね
     :俺のこと、クビにしますか?

シュンLINE:気が早いな
      :というか二人で俺をからかって遊んでないよな?

ケイLINE:そんなことするわけないでしょう

シュンLINE:なら本気ってのを信じるけど
      :それ恋愛感情でって意味だよね?

ケイLINE:そ、です

シュンLINE:修司には?

ケイLINE:言いました
     :気まずくなりました
     :もう俺ホント何やってんだろ

シュンLINE:ホント何やってんだよ
      :で、修司はなんて?

ケイLINE:今は恋人作ろうと思えないからって
     :俺が男だから無理とは言われなかったけど
     :それは気を遣ってくれただけかも?

シュンLINE:実際、今は恋人どころじゃないんだろ
      :そういやケイはどこまで事情聞いてるの?

ケイLINE:元カノの話は聞いてます

シュンLINE:知ってて告白したのか

ケイLINE:だってなんかもう抑えられなくて
     :どんどん好きになっちゃうから
     :なんか苦しくって

シュンLINE:なるほどな
      :相性いいだろうなとは思ってたけど
      :そうか、どんどん好きになっちゃうか

ケイLINE:シュンさんのせいですよ!
     :ってことにしたいくらい、やらかしてる自覚はあります
     :なのでクビでも受け入れるので

シュンLINE:修司だけが特別で、他の客で問題起きそうにないなら
      :オーナーとしては辞められる方が困るかな

ケイLINE:修司さんだけが特別です

シュンLINE:なら処分は修司次第かな
      :クレーム来たら考えるわ

ケイLINE:クレームはわからないですけど
     :さすがに次の依頼はないと思うんですよね

シュンLINE:それはどうかなぁ
      :あっちはあっちでケイのことかなり気に入ってるから

ケイLINE:未練残っちゃうから止めてくださいよそういうの

シュンLINE:はいはい
      :じゃあ、修司の件は俺の預かりで

ケイLINE:わかりました

【数日後】
シュンLINE:【朗報】
      :喜べ、修司から次の依頼が来たぞ

ケイLINE:素直に喜べません
     :ていうか行かないとダメですか?

シュンLINE:行きたくないの?

ケイLINE:気まずいですって
     :そもそも行っていいんですか
     :オーナーとして止めるべきとこじゃないですか?

シュンLINE:でも修司がケイ以外じゃ眠れそうにないって言ってるし
      :アイツのこと、諦めずに支えてやってよ
      :あ、これ、オーナーとしての指示じゃなくて
      :アイツの先輩からのお願いなんだけど
      :どう?

ケイLINE:どうなっても知りませんよ?

シュンLINE:俺は自分とこのキャストも可愛い後輩も信用してる

ケイLINE:もー!

続きました→

 
 
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HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

俺が眠らせてあげるから4

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4章 友だちになりたい

【修司の家の寝室】
ベッドで二人とも横になっている。

ケイ:修司さん眠そう

修司:うん、ごめん……

ケイ:ううん、謝らないで
  :俺と一緒に横になってると安心して眠くなるってのは
  :普通に嬉しいと思ってるし

修司:でも

ケイ:それにほら
  :今夜はロングコースで朝まで一緒だしさ

修司:今夜は、って言うけど
  :最近は後の予定なかったら勝手に泊まってくよね?

ケイ:それは、そうなんだけど
  :でも俺が泊まっても、迷惑、ではないでしょ?
  :シュンさんにもずっと内緒にしてくれてるし
  :(それが二人だけの秘密っぽくて嬉しいんだよな)

修司:迷惑ではないけどやっぱり申し訳ないよ
  :毎回ロングで朝までお願いできればいいんだろうけど
  :さすがにそこまで懐に余裕がない

ケイ:そこは気にしないでって言ったよね?
  :というか無理してロング頼まなくていいんだからね?

修司:そうは言っても、先輩に黙ってる負い目もあるしさ
  :たまにはお店の売上に貢献しとかないと

ケイ:でも俺が、修司さんともっとお話したくて勝手にやってるだけだし
  :後に予約あればちゃんとそっち行くし
  :つまり空き時間の有効利用なだけだから!

修司:んふふ

柔らかに笑う気配がする。

ケイ:(笑った?よね?)
  :(滅多に笑ってくれないのにこのタイミングって)
  :(ああ、暗くて顔よく見れないの残念だな)

修司:夜は俺がさっさと寝ちゃうからってのはわかってるんだけど
  :なんでそんな必死なの

ケイ:だって気にされてロング頼まれると泊まりにくくなっちゃう

修司:無理はしてないつもりだから安心してよ

ケイ:それ、信じてますからね?

修司:うん、信じて

ケイ:(とは言っても、休職中って知っちゃってるし)
  :(正直、もうお店通さなくたっていいくらいなんだけど)
  :(もともと正規のお客ってわけでもないんだし)
  :(ああでも、シュンさんはどう思うんだろ)
  :(もし俺がやってることバレたとして……)
  :(売り上げどうこう言わない気もするんだけどなぁ)

修司:スー……

ケイ:修司さん……?
  :寝ちゃった?

修司:スー……

ケイ:(この安らかな寝息聞けるのって俺だけなんだよな)
  :(シュンさんだって知らないんだ)
  :(って思うとすっごい優越感)
  :(ああああもー)
  :(俺もちょっと仮眠とろ)
  :(明日、修司さんに寝不足顔見せれないし)

【翌朝】
ケイが作った朝食を二人で食べている。

修司:うん、美味しい

ケイ:ありがとうございます

修司:というか凄いよね
  :この朝食作ってくれるサービス

ケイ:希望者にだけですけどね
  :だって朝までってお願いしてくれるお客さんに
  :何か特別感出したいじゃないですか

修司:そういうとこも人気なんだろうなぁ

ケイ:あ!

修司:え、何?

ケイ:勝手なお泊りを黙っててくれるお礼に
  :今度から泊まったら朝ごはん作りましょうか?

修司:いやいやいや
  :悪いよ

ケイ:えー、作りたい〜

修司:だって朝までコースなお客さんへのサービスだろ?

ケイ:そうだけど
  :俺が帰ったって朝まで眠れるんだから
  :朝まで居る必要ないのわかってるし
  :でも修司さん、ダメって言わないし

修司:俺、利害が一致してるからって言わなかった?

ケイ:それ、修司さんのメリットよくわかんなくて
  :俺が朝まで居ると何かいい事あります?

修司:んー……リハビリ的な?

ケイ:リハビリ……?

修司:なんせ夜はすぐ寝ちゃうからね

ケイ:それってつまり、修司さんも
  :俺ともっと話したいって思ってくれてる?

修司:思ってるよ
  :人間不信酷くて仕事もままならないって言ったろ
  :でもケイくん相手だとそんな気負わず話せるんだよね
  :なんせ隣で安心しきって眠れるような相手だし

ケイ:あー相性がいい、みたいな?

修司:ケイくん選んで派遣してくれるあたり
  :先輩は俺を良くわかってるよね

ケイ:(俺もシュンさんには感謝してるけど)
  :(でもなんかちょっと面白くないよね)
  :(って俺、シュンさんに嫉妬してる?)
  :俺だって修司さんのこと
  :もっともっとわかりたいって思ってますよ?

修司:うん、知ってる

穏やかに頷く姿に何かが引っかかる。
何が気になるのかと思っていると。

修司:本当に先輩が言ってた通りだよ

ケイ:え?

修司:うちのキャストは優秀だからって自慢したくなるの、わかる

ケイ:あ、わかったかも
  :(修司さんのこと知りたがるの仕事でって思われてる)

修司:何がわかったって?

ケイ:あーその、俺
  :修司さんと友達になりたい、です

修司:友達?

ケイ:うん、友達としてなら昼間会いに来たっていいでしょ?
  :俺、修司さんのこと、もう
  :あんまりお客さんって思えてないとこあるし……

修司:あー……
  :ケイくん相手にリハビリしてるとは言ったけど
  :でも友達になりたいとは思ってないと言うか
  :今はまだ、新しい人間関係を構築するのに
  :不安と抵抗が強すぎると言うか

ケイ:そ、ですか……

修司:せっかくの申し出、断ってごめんね

ケイ:いえ、俺こそ無理言ってごめんなさい

【別の日の夜】
隣で修司が安らかな寝息を立てている。
そっと頭を撫でれば甘やかな吐息が漏れた。

修司:んふ……

ケイ:ふふっ
  :(気持ちよさそな寝息)
  :(この前、断られちゃったけど)
  :(でもやっぱり修司さんと友達になりたいなぁ)
  :修司さん……
  :(もっともっと修司さんのこと教えて欲しい)
  :(もっと修司さんに近づきたい)
  :(特別になりたい)
  :(だって俺、こんなに修司さんのこと……)
  :すき……
  :(ああ、そうか)
  :(いつの間にかこんなにも……)
  :(だからシュンさんに嫉妬したりしちゃうんだ)
  :(これ、気づいちゃって良かったのか?)
  :(これからどうしよう……)

続きました→

 
 
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